滝川千夏

東京生まれのアーティスト、作家。販売促進や翻訳家として日本の外資系企業に勤めた後、バッ…

滝川千夏

東京生まれのアーティスト、作家。販売促進や翻訳家として日本の外資系企業に勤めた後、バックパッカーやワーホリを経て、イギリスで海外勤務。帰国後、自身の海外経験を基にした小説の執筆を開始。東京都在住。

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乗り継ぎ空港での予期せぬ出来事

「すみません。これをあなたの荷物に入れてくれませんか?」  インドのコルカタに向かう途中、乗り継ぎ空港である中国のチケットカウンターで、列に並んでぼーっと待っていたところ、浅黒く彫りが深い、見知らぬインド人らしき男性にいきなり声をかけられた。 「えっ? 無理です」  突然のことで、私の目は点になり、セリフを棒読みしているかのように応えた。 「えっ! 何でですか? 重さギリギリなんですか?」    その男性は私が断るとは夢にも思っていなかったかのようだ。驚いた表情で聞い

    • 落ちているゴミを3個拾う習慣

       昨日、川に遊びに行った。カンカン照りの夏の暑い日、川には、BBQや川遊びに既に大勢の人が遊びに来ていた。  河原の空いている場所を見つけて、シートと椅子を置く。すると、端のほうにゴミが捨ててあるのに気づく。  大勢で来て、酔っぱらって、持って帰るのを忘れたのか。はたまた、わざとゴミを捨てていったのか。  ゴミを捨てていく人の気持ちが理解できない。  川で泳いだ後、椅子に座って休憩していると、背中のほうで人が話しているのが聞こえた。  振り向くと、中学生くらいの男の

      • 長期有給休暇が取れない日本

        「有給休暇を十日も連続して取るなんて、娘さんは一体どんな会社に勤めているんですか?」  母親が私との海外旅行に行くために有給休暇を申請したときに、上司に言われた言葉。 「同僚に迷惑をかけるし、こんなに長く有給休暇を取るのは今回っきりだわ」と、母親も、自分が悪いことをしているような口ぶり。  当時、私は、海外で働いていて、長期休暇を取ることは当たり前のことだった。  しかし、海外で働く経験をしなかったら、長期休暇を取ろうとは考えもしなかったかもしれない。  私が海外で

        • 生ごみは捨てずに再利用

          我が家では、生ごみは捨てずに堆肥作りに再利用している。 きっかけは、庭で野菜作りを始めたことだ。 要らない生ごみで堆肥を作れば、野菜作りの肥料代と土代がかからないし、ごみも減らせる。いいことづくしだ。 私の生ごみ堆肥の作り方はシンプル。 蓋つき容器に生ごみを貯める 生ごみが貯まったら、庭に穴を掘って、生ごみをいれて土と混ぜて、乾いた土をかぶせて踏みつける 穴が埋まるまで1~2を繰り返す 穴が埋まったら、別の場所に穴を掘って1~3を繰り返す 半年経ったら堆肥とし

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        乗り継ぎ空港での予期せぬ出来事

          太陽と青空

          スペインの街角で空を見上げる。 太陽と青空 #夏の1コマ #太陽 #青空 #スペイン #空 #見上げる #街角 #写真 #夏 #滝川千夏 

          太陽と青空

          素直に想いを伝えるということ

           昨日、姪から手紙をもらった。  一番の宝物は子供からもらった手紙、と聞いたことがあるが、なるほど、本当だ。子供のいない私にとって、姪が自分の子供という存在に近いのかもしれない。家に帰って、早速、その宝物を冷蔵庫に貼った。  家でお母さんに見てもらいながら、小さい手で、習ったひらがなを鉛筆で紙に書いている。そんな姪の姿を想像するだけで、自然に顔に微笑みが浮かぶ。  『大好き』という言葉の連続。手紙のこのシンプルな文章に心を打たれる。  私は姪に会うのがいつも楽しみ。そ

          素直に想いを伝えるということ

          青天の霹靂(3/3章)/小説

          ◆前回のお話 第一章はこちら 第二章はこちら 六、 翌日、早速カミラが教えてくれた市民相談センターに向かった。  始業時間を少し過ぎた頃に到着したのに、狭い待合室は、既にたくさんの人でごった返していた。私以外にも多くの人が問題を抱えていることに驚く。  受付で番号が書かれた紙を取り、空いている椅子がないので、壁に寄りかかって待つことにした。  一時間くらい待った頃、やっと私の番号が呼ばれたので、声のしたブースの方へと向かう。 「今日はどういったご用件でしょうか?」  

          青天の霹靂(3/3章)/小説

          青天の霹靂(2/3章)/小説

          ◆前回のお話 第一章はこちら 四、 平穏な日々が続いていたある日、夜中にすごい物音がして目が覚めた。  ――まただ。  時計を見ると朝の三時。ペドロの部屋のほうから、数人が大声で話している声と床をドンドンする音が聞こえる。一体何をしているのか。残業続きで疲れていた私は、ベッドから出て壁を叩く気力もなく、もう一度寝ようと目をつぶった。    しばらくすると、ドタンドタンという音に続いて、何かを引きずっているような音が聞こえてきた。何だろう。話し声が一段と大きくなったと思っ

          青天の霹靂(2/3章)/小説

          青天の霹靂(1/3章)/小説

          一、 重いスーツケースを持ち上げながら暗くて狭い階段を登って、やっと五階までたどり着いた水谷まどかは、踊り場で一呼吸して、上がった息を整えた。  物価が高いニューヨークでやっと見つけた、アパート一室の格安シェアハウス。家賃が安いだけに、建物が古くてエレベーターがない。  休んで息が落ち着いたまどかは、五〇二号室のドアまで歩くとピンポンを押した。  しばらくすると、ドアの向こうから話し声が聞こえてドアが開いた。 「ハーイ! 入って入って。マドカよね? ペドロよ。これからよろ

          青天の霹靂(1/3章)/小説

          自己紹介

          著者情報東京生まれのアーティスト、作家。 販売促進や翻訳家として日本の外資系企業に勤めた後、バックパッカーやワーホリを経て、イギリスで海外勤務。帰国後、自身の海外経験を基にした小説の執筆を開始。東京都在住。 出版本Amazon