青天の霹靂(1/3章)/小説
一、 重いスーツケースを持ち上げながら暗くて狭い階段を登って、やっと五階までたどり着いた水谷まどかは、踊り場で一呼吸して、上がった息を整えた。
物価が高いニューヨークでやっと見つけた、アパート一室の格安シェアハウス。家賃が安いだけに、建物が古くてエレベーターがない。
休んで息が落ち着いたまどかは、五〇二号室のドアまで歩くとピンポンを押した。
しばらくすると、ドアの向こうから話し声が聞こえてドアが開いた。
「ハーイ! 入って入って。マドカよね? ペドロよ。これからよろ