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電子書籍作成「縦書小説PDFメーカー」備忘録

どうも、こんにちは、こんばんは。
今回は小説のPDF作成でお世話になっている「縦書小説PDFメーカー」さんについての、メモを書いていきます。

web小説の原稿がテキストファイルにあることを想定しています。
まず全話をひとつのファイルに結合して保存してある状態からはじめます。
ルビは青空文庫形式「|漢字≪よみ≫」(注:本来は《》)で統一されているとします。

■■自分が使ってる設定

「縦書き本文メーカー」

  • 挿絵「なし」

  • サイズ「A6」 / とじしろ無し

  • 縦書き / 段組無し

  • ページ番号「下・中央」

  • タイトル「上・中央」
    左ページタイトル「(タイトル)」
    右ページタイトル「(タイトル)」
    ※同じものを記入

  • フォント「明朝」(源暎こぶり明朝)

  • 背景「なし」

設定目的。
PC、スマホ両環境で見やすいものを目指しました。電子書籍なのでPDFですが印刷のことは考えていません。
サイズはA6が一番適しているようだったので、そうしてあります。
閲覧中に何を表示しているかわかるように「タイトル」を上に入れています。
とても長いサブタイトルがついているときは、サブタイトルを省略します。
文字数に余裕があるときは「コーヒーと猫/滝川 海老郎」のように"/"などで区切り、著者名を入れるのもいいと思います。
印刷ではないので左右ページとも同じ見た目になるようにページ番号を下中央へ入れています。
タイトルとページ番号はなくてもかまいませんが、あると親切です。

A6PDFですがスマホで見るとぎりぎり読めるくらいの小ささのフォントサイズです。
もっと大きくするにはlargeくらいしか方法がありません。気になる場合は別のツールを検討してみるのも手です。

■■メモ

■表紙

表紙は挿絵を1ページ目に入れるのではなく、後でペラ一枚のjpeg、pngファイルをこの関連ツール「PDF結合」で連結して作っています。
正確かはわかりませんが僕はA6サイズになるように「1240 x 1841」で「300dpi」の設定にします。dpiは「MSペイント」では設定できないので「MediBang Paint Pro(無料/Mac, Windows版)」で設定しています。

表紙の作成は今回の範囲外とします。
タイトルが短くそれだけでいい場合は、各種「表紙メーカー」のようなものを使うというのも手です。
しかし一部で流行っているサブタイトルが長いものなどだと、メインのタイトルを大きい字にしてその下に小さいサブタイトルを入れるというのができるサイトがあまりないです。結局自分は上記、MediaBang Paintで処理しました。このツールはもともとFireAlpacaというツールでした。

表紙の絵、画像は「CC0」と明記されているものが便利でおすすめです。
もっともラノベの場合は「売上を考えているのなら、専用のアニメ絵を有料で描いてもらう」が実質唯一の選択肢です。手抜き表紙は売上に直結してくるので、ちゃんと絵とデザインをしてもらったほうがいいです。
自分で絵を描ける人はうらやましいです。頑張ってください。

表紙「元貧乏エルフの錬金術調薬店」

■挿絵

挿絵は今回の範囲外とします。自分は使ったことがありません。
本格的にやる場合には、「扉のカラー絵」「キャラ絵(キャラ紹介)」「挿絵」を入れたいですね。

■ルビ

この記法はHTML5と同じで「でんでんコンバータ」で使われるMarkdownを変換した後のepub3でも通用するため、便利です。Markdown内にはHTMLをそのまま書くことができるので無変換でいけます。

<ruby>蹂躙<rt>じゅうりん</rt></ruby>する

ちなみにサクラエディタでなろうルビ(青空文庫ルビ)を変換するときは以下の正規表現で全置換を使います。
丸括弧ルビや縦棒を書かないでルビにするものはここではサポートしていません。

置換前:[|丨]([^||≪≫]+?)≪([^||≪≫]+?)≫
※≪≫は《》に読み替えてください(note上で勝手にルビになるため)。
置換後:<ruby>$1<rt>$2</rt></ruby>

■縦中横

半角の数字を正立にして横に2桁並べるための設定です。

メンバー<num>12</num>人

このように使います。
応用としてこのサイトの明朝フォントでは「:」が縦書きの時に横書きと同じ向きで表示されてしまいますが、これを「・・」と表示したいときありますよね。

<num>・・</num>

このように書くと疑似的に表現できます。なおこの点は半角カタカナの中黒です。

■半角文字(アルファベット、数字)

縦書きのときには、半角文字は横倒しになってしまいます。
数字は漢字にしてしまう方法もあります。特に「2人」「3個」「4つ」「5日」のようなものです。
「攻撃力99999」のようなステータス物は数字のまま全角処理することも多いようです。

<num>で囲った場合には正立の縦中横になります。一応numは1文字でも使えると思います。
しかし3桁以上、3文字以上の英単語の場合は縦中横では微妙なので、他の処理方法を検討します。
1つめは、そのママとして、横倒しで表示する方法です。
もうひとつは「全角化」してしまい、1文字ずつ立てて表示する方法です。
僕は明確な英文と英単語以外は全角化のほうが好きです。

リンゴが3つあった。(全角)
Jリーグ開幕、サッカーで選手11人が試合に出ていく。(全角)
ミカンが<num>5</num>個あった。(半角+num)
お姉ちゃんとDVDをみる。(全角)
新しいTシャツを着た。(全角)
仕様書はPDF、A4判で作成するように。(全角)
おうちは4LDKとなっている。(全角)
最高のSSSランク冒険者(全角)
ユグドラシルのスペルは"Yggdrasill"でちょっとカッコイイ(半角/横倒し)
英語なんてわかんないや「I am a pen. This is a apple.」(半角/横倒し)

■空改行

特に無指定の空改行を入れればそのまま表示されます。
※でんでんコンバータのMarkdownでは、専用の処理が必要なので、別ファイルにして置換して処理します。

横書き小説では頻繁に改段落して空改行を入れますが、縦書きでは句点のまま続けて書いて「webの空改行=縦書きの改段落」くらいのイメージです。
気になるのなら、原稿を全部修正する必要があります(が、自分は面倒なのでこれはあまりしてません)。
短文改行も必要があれば、形式段落を統合して、ひとつの行に納める処理をします。

■空改行(台詞行の前後、台詞間)

web小説では、台詞の前後には空行を入れるのがなかばお約束となっています。
また連続した台詞行の間でも空行を入れる人もいます。
しかし縦書きの従来からの小説ではそうではありません。

ということで、これは"「"を検索(F3)しつつ、手動で削除していきます。
けっこう手間ですが、自分としては必要な作業です。

■下寄せ

そういう指定はできないので全角空白を並べて調整します。
使用箇所は3行目くらいにある「作者名」のみです。
これは原稿用紙スタイルです。

■各話サブタイトル表示

<large>でもいいのですが、それだととても大きいので自分は
「■サブタイトル」
と行頭空白を開けずに黒い四角で強調だけして書いています。
ザッピングして探す際にも右上の■はかなり目立ち便利なので、おすすめしておきます。
サブタイトルの次の行は空行を空けます。

■改ページ

話が変わったら、改ページするようにしています。
念のため単独行に<newpage>と入れています。前後に文字があったときの動作はちょっとわかりませんがやめたほうが無難です。
あと、ハマる点として「最後。」の次に空行を入れるとたまに空行だけの空白ページができる場合があるので「最後。」の次行に入れます。

前のページの最後。
<newpage>
■第3話 遊びに行こう
 
 メアリーとも仲良くなってきたので遊びに行こうと思う。
 今日はルクセンブルク通りのほうの喫茶店がいい雰囲気だったので、そのお店かな。あとは公園。それから中央ロータリーにある噴水公園。

■目次

目次生成機能はないのでサクラエディタの場合は原稿の「テキストアウトライン(F11)」を表示すると「黒い■が先頭にある行が抽出される」のでアウトライン上を右クリックして出てくる「コピー」を使って一覧を取得します。
これを加工します。
僕の場合は、行頭に全角空白2文字を入れます。
やる気があれば「■1 めざせ王都だよ…………………………4」のように3点リーダーで長さをそろえて末尾にページ番号を振ります。
これは一度目次つき仮完成品をPDF出力してみて、ページ番号を実際に確認して後でテキストに入力していきます。
面倒な時はページ番号は省略します。
epub用でんでんコンバータではリンク付き目次を自動生成できるので、そういう点はPDFのほうが少し不便です。
(PDFにも目次機能のようなものもあるのかもしれませんが、すくなくともこのツールではできません)
一般的なepubリフローの場合、ページ番号は可変で不明なので、ページ番号つき目次をつけることはありません。

■あらすじ

あらすじは電子書籍の販売サイトや小説投稿サイトにはありますが、電子書籍ファイルの中身に入っているかどうかは、半々くらいでしょうか。
必要なら入れてもいいと思います。
自分は入れていません。

■■サンプル

元貧乏エルフの錬金術調薬店
~ド田舎から王都に出てきた希少なエルフの血を引く普通の少女は実は王都では錬金術の世界最高水準の技術持ちでした~

                          滝川 海老郎
【目次】
  ■1 めざせ王都だよ
(中略…)
  ■34 お<ruby>祓<rt>はら</rt></ruby>いとペンダントだよ
(中略…)
  ■58 あれから
  ■59 エピローグ<num>・・</num>錬金術調薬店だよ
  ■60 EX1<num>・・</num>魔道マッチだよ
  ■61 EX2<num>・・</num>魔道式懐中時計だよ
  ■62 EX3<num>・・</num>魔道式懐炉だよ
<newpage>
■1 めざせ王都だよ

「低級ポーションください」
「こっちもポーションくれ」
 王都にきて初日。薬草を買い、露店で低級ポーションを実演で作成して販売した。
 売れ行きは思った以上に大盛況だった。
 ――こんなに売れるなんて。王都最高。

  ◇

 今日でハシユリ村ともお別れだ。
 私はずっと憧れだった王都についに旅立つ。相棒はスライムのポムだけだ。
「お兄ちゃん、さようなら、ばいばい」
「おお、達者でな! ミレーユ、ポム」
「きゅきゅぅ」
 ハシユリ村は田舎も田舎、王国の秘境にして、最奥とも言われる辺境の地。
 両親は先に他界しており、私とお兄ちゃんはずっとおばあちゃんに育てられる。
 おばあちゃんは村で唯一の錬金術師で生計を立てていた。

■奥付

末尾に、必要なら奥付を入れます。
あと、好みでですが、完結であるなら本文末尾に「(了)」と入れておきます。
newpageを入れて奥付を単独ページとします。

(前略…)
お値段銀貨6枚。魔道具としては安いと思うよ。おひとつ、どうですか。
(了)
<newpage>

『元貧乏エルフの錬金術調薬店 ~ド田舎から王都に出てきた希少なエルフの血を引く普通の少女は実は王都では錬金術の世界最高水準の技術持ちでした~』

 著者 滝川 海老郎

 2022年6月4日 初版
 2022年6月5日 修正版

 著作権は著者に帰属します。無断転載を禁止します。
 (c) 2022 Ebirou Takigawa

履歴は「初版」「主要な改版日」「誤字修正とかの最終改定日」があればいいと思います。
一応、紙の出版物だと「第何刷」という概念もあります。
もしくはソフトウェアのようにver表記にするというのも手です。
注意点としては「最新版」のような「後で見たときに古い不正確な曖昧な表現」は避けましょう。
Copyright表記は2022年現在、ほとんど意味をなさないのですが、あると「かっこいい」ので入れています。表記がなくても著作権は書いた時点で自動的に付与されます。

 2022年6月4日 初版
 2022年7月5日 第2版
 2022年8月13日 第3版
 2022年8月16日 誤字修正版

 2022年6月4日 ver1.0 初版
 2022年7月5日 ver2.0
 2022年8月13日 ver3.0
 2022年8月16日 ver3.1

こんな感じでしょうか。
以上です。

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