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「あつかったら ぬげばいい」を贈られた日

疲れてると思われてんのかな。

遠方の知人から唐突に絵本を送り付けられてまず抱いた感想。
帯に「心を緩める」とか書いてあるし。

子どもがいるわけでもない相手に送ってくるということは、何かしら話題の本なんだろうと思って検索したら、やはり。ヨシタケシンスケさん、だいぶ有名だった。

タイトルのように、「ふとっちゃったら」「せかいがかわってしまったら」「だれもわかってくれなかったら」等々の仮定と、それに対する「○○すればいい」という答えが見開きでひとつずつ載っている。
かわいらしいイラストと、ネガティブな状況や気持ちを肯定してくれるような解決(?)策たち。たしかにこれは、疲れた大人に効くやつだ。

複雑なことを削ぎ落して削ぎ落して、物事をシンプルに捉えることが大切なんだと思わされる。
そうすると、自分はいま何がいちばんしんどいのか、が顔をだす。そのいちばんしんどいことに対して、何かしらの対応をひとつ決めてしまう。もしそれが根本的な解決になっていなくても、身動き取れない状況からは一歩抜け出せるようになる。

個人的なお気に入りは、「あたたかくて やわらかいものをさわりたくなったら」のページ。

このページのイラスト、やたら哀愁漂っているのだ。
ページごとにメインのキャラクタがいて、老若男女いろいろなのだけど、この「あたたかくて やわらかいものをさわりたく」なる主人公はおでこの広い、眼鏡のサラリーマン風男性。
「○○すればいい」のページの表情というか、俯き具合や膝の角度が何とも言えない。
たしかに「あたたかくてやわらかいもの」をさわれているのだけど、この人さわりながら何考えているんだろうとか、帰り道は歩きかな、夜ご飯なに食べるのかなとか、いらない妄想を掻き立てられる。
絶妙に孤独で愛くるしい。
ここだけ、ほかのページとはちょっと違う方向性で癒された気がする。

で、読み終わったあとの感想としては。

やっぱ疲れてると思われてんだな。

だった。
で、じゃあ疲れてることにして甘いものたーべよ、と思わせてくれる絵本だった。
送り主の真意は確認しなかったが、いい本ありがとうと伝えておいた。


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