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大前研一 名言集 『ロウアーミドルの衝撃』(24)

『ロウアーミドルの衝撃』(24)

「自分のことを中流」と考える日本人が、かつて多く存在しました。私自身もその一人でした。

しかし、いまや上流と下流だけといった二極分化の様相を呈しています。

派遣社員の首切り、正社員の激減、給与、賞与の大幅削減など従業員には逆風が吹き荒れています。

そうした現況を踏まえて、ロウアーミドル(中流以下)という概念を示しつつ、生き抜く指針を提示している本が『ロウアーミドルの衝撃』(発売日 ‏ : ‎ 2006/1/26です。

現実から逃避せず、現実を直視し、少しでも明るい未来像を描けるようになりたいものです。
 
 

所得階層の二極化によって日本はM字型社会になり、国民の8割がロウア-ミドルクラス以下の時代になった


所得階層の二極化によって日本はM字型社会になり、国民の8割がロウア-ミドルクラス以下の時代になった

平均収入が減少して日本の(給与などの)フローが少なくなり、逆に(個人金融資産などの)ストックはますます増えていく。

これはストックを持たない若い世代にとっては極めて不公平な世界である。

『ロウアーミドルの衝撃』 大前研一の名言 1 〈316〉                              



ただでさえ若い世代は負担が重く、年金に関しては自分たちが支払った分より少ない額しか貰えない


ただでさえ若い世代は負担が重く、年金に関しては自分たちが支払った分より少ない額しか貰えない

高齢者を支えるための健康保険や介護保険の負担もさらに重くなる。

この状況下で目減りしていく所得に課税しようとすれば、若い世代が反乱を起こす可能性は極めて大だ。

『ロウアーミドルの衝撃』 大前研一の名言 2 〈317                             
                                  
         







私の考えでは、基本的には日本には2つの税があればいい。そのひとつは資産に対する課税である


私の考えでは、基本的には日本には2つの税があればいい。そのひとつは資産に対する課税である

所得税は現在でもたった14兆円の税収しかないが、今後は国民の所得そのものが減っていくのだから、この部分で増税しようとしても、国民の重税感が増すだけで実際の税収アップ効果は薄い。

そもそも所得税を増やそうというコンセプトそのものが、じつは間違いなのである。

『ロウアーミドルの衝撃』 大前研一の名言 2 〈318〉                  



➳ 編集後記

ロウアーミドル(中流以下)という概念を示しつつ、生き抜く指針を提示している本が『ロウアーミドルの衝撃』です。


🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。

Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。
あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。


大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います。私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。


➔ 大前氏の今回の言葉も、私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。


🔷 資産税の趣旨は、固定資産の流動化を促すということです。

固定資産とりわけ土地に課税されれば、大地主は土地を手放さざるをえない状況に置かれます。

その結果、土地の流動化が促進され、増収にもつながるというアイディアの提示です。

大前氏は、「生活者」という目線で常に考えているので、既得権益者からは敵視されることが多いですが、既得権益者に厳しいことを堂々と意見する人です。こうした人物は貴重です。

一般人は、「長い物には巻かれろ」という態度を取ることが生きる道と考え、行動することが多いですね。

体制派に属している方が、有利にことが進むと考えがちですが、それでは何も良い方向へ進みません。

納得がいかないことは、正々堂々と意見を言うことは大事だと思います。
もちろん、発言には責任を持たなくてはいけませんが。


🔶 大前氏は評論家ではありません。言うだけで自分では何もしない人ではありません。大前氏は行動する人です。だから大前氏の提言は説得力があるのです。




⭐ 参考になるデータは下記のサイトでご確認ください。


固定資産税

これは総務省の公式サイトですので、参考になると思います。
このサイトから固定資産税の計算式を掲載します。

税額の計算方法 総務省


・住宅用地特例
 住宅やマンションなど、居住できる建物の敷地を「住宅用地」といいます。住宅用地は、税負担を特に軽減する必要があるため、その面積によって特例措置が講じられます。200m2以下の住宅用地は、課税標準額が価格の6分の1に軽減されます。200m2を超える住宅用地は、超えた部分の課税標準額が価格の3分の1になります。


日本の公的年金

これは厚生労働省の公式サイトです。






大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。




🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。

『企業参謀』(1985/10/8 講談社という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。

それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。

『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』(‎ 1986/2/7 講談社が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。






🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。



大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。

この元記事は8年前にAmebaブログで書きました(2014-07-09 22:15:36)。「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。私にとっては、いわばレガシィです。

その記事を再編集しました。


✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長[1]韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授[1]高麗大学名誉客員教授[1]、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役[1]、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長[1]等を務める。    (Wikipedia から)


大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。

その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。
大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。










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