『夢の中』 シーズン2 第67話 残された時間
第67話 残された時間
やがて詩音はゆっくりと身を起こすと、ようやく落ち着いたようだった。
その泣き腫らした目を見ればわかった。私達は、本当に長い間会っていなかった。私達の間には空白の時間がたくさんあるけれど、その時間は取り戻せるはず。これからの時間で全部埋め合わせられるはずだよ……。
だからね。もう一度聞くね。
「悟史くんのことどうする?」
「えぇっと、悟史は……」
詩音も迷っていた。私と同じ気持ち。悟史に会いたいと思っているのは同じなのに、どうして私に遠慮をするのだろう。
そう思うと私は、自分ばかりわがままで、ずるい気がして申し訳なくなった。本当は、私の方が謝るべきことなのに。
「ごめんね。私だけ、勝手に舞い上がってさ」
私がこんな風に言うと、
「そんなことありません」
と詩音は首を横に振った。
「じゃあ、おあいこだね」
詩音の言葉を借りるとそういうことになった。何だかくすぐったくて笑ってしまうけど、詩音がそう言ってくれると、とても楽になるのを感じる。詩音と対等になったような気がするからかもしれない。
それから詩音と二人で話をしていると、不意に、誰かが私と詩音の会話に入り込んできた。魅音ではないことは明白だ。だってその声には聞き覚えがあったから。
でも、それが、私がよく知る人のものだということを理解するまで、数瞬の間を必要としたかもしれない。どうしてここへやって来たのかはよくわからなかったけど、その人がとても心配そうな顔をしていることだけは確かだった。そう。それは圭一だったんだ。
どうしてここへやって来たのかはわからない。
それに、どうして私達が抱き合ってる姿を、圭ちゃんが見ていたのかということについても、全然理由がわからなかった。だから私は突然の出来事にしどろもどろになって、うまく言葉を返せないでいると、代わりに詩音が応対してくれる。
魅音と一緒に帰ってきたということを知ると、途端に私の表情は強張るのが自分でもよくわかった。だって、その二人の組み合わせだと、悪い想像しかできないもん。詩音は、私とは正反対のことを言った。
魅音は私に対して怒っているのではなくて、ただ、寂しいだけだったということを。私は、その言葉で自分の考え違いを反省した。私と魅音とでは考え方が違う。
それをよく知っているはずの自分が、魅音の考えを誤解していたなんて。魅音と私。同じくらい似ているようで、実は、違うんだね。
圭ちゃんはその答えを聞くと満足げな表情を浮かべ、魅音に向き合うと、何かを話していた。何を話したのかわかんないけど、魅音の顔色を見ればわかる。今の私みたいに、真っ赤になって俯いているに違いないのだから。
* 玄関先。魅音と圭ちゃんが何の話をしているかは知らないけれど、きっと私と詩音のことなんだと思う。私は居ても立ってもいられなくなって、そわそわし出したのだった。その時の私の気持ちを表現するのはなかなか難しかったかもしれない。嬉しいやら恥ずかしいやらといった感情がないまぜになり過ぎていて。
ただひとつはっきりと言えることがあったとするなら、早くここから逃げ出してしまいたいという強い思いだけだったと思う。魅音たちのやり取りは終わり、圭ちゃんは立ち去る様子を見せ始める。もうこれ以上、ここで話し込んでいる時間がないことはすぐにわかった。
でも、私はこの場ですぐに決断することができなかった。詩音が魅音を呼び止めてくれなければ、たぶん私は逃げ出すことすらできなかっただろう。詩音が引き止めることで、少しだけ猶予が生まれた。
だけどそれも束の間のことでしかない。圭ちゃんが立ち去り次第、私も逃げなければならないのだから。だがそこで、圭ちゃんの口から思わぬ言葉を聞いた。それは、私にはまだ許されていないことだと思っていたからだ。
「え?今、何て?」
それは、私が一番恐れていることでもあって、私にとっては、死刑宣告のようなものだった。
でも、詩音はそれを、私が望んでいたかのように喜んでくれた。
それは詩音が受け入れてくれるかどうか、私が判断しなくてはいけないことだったから。詩音が嫌がれば、私がどうすることもできないことなのだから。私は、そんなことを望まれたくはない。
でも、私は、やっぱり、詩音にだけは嫌われたくない……。
詩音が望んでくれさえすれば、私は何もかもを詩音に任せられるのだ。詩音が私にして欲しいと思っていてくれることがすべてであって、私の意思なんて、詩音にとってはまったく意味のないものにされてしまうのだ。
そんなことを望むべきじゃないと頭では理解しているつもり。
私は詩音とは違う。詩音の望む通りに何でもするなんて、絶対にあり得ないことなんだ。そう思っていた。あの時までは。
詩音が悟史くんの名前を口にする前までは。でも、私は心の底でわかっていた。それが私の願望であることに。そう。それは私が心の奥底で願っていることに違いなかった。
詩音は、私がずっと、悟史くんの影を追い続けていることを知っていながら、それでも詩音は、そんなことはおくびにも出さずに居続けた。こんなにも私のことを想ってくれるのだろうか。そんなことを考えている間に、時間はどんどん過ぎていった。
私達に残された時間は、とても少なかった。でもね、とても、幸せなひと時だったよ。本当に幸せすぎて…、何だか今でも信じられないくらい。
だから、とても時間が経つのが遅かったように思う。
気がつくともう、夕日が沈みかけていた。でも私にはその光はあまりに強く眩しくて、目を開けていられなかった。
ようやく薄暗くなった頃に目を開けることができたのだった。その頃にはすっかり、詩音の心も落ち着いていて、詩音も私と同じように、とても短い時間で、とても多くのものを感じたみたい。
そして、最後にもう一度だけ抱きしめ合ってから、お互い、さよならを言う。私は詩音と手を繋いで歩き出した。
続く……
<編集後記>
最初の「夢の中」(シーズン1と仮に命名)は299話で話が中断してしまいました。AIのべりすとが意味不明のテキストを出力し続けたためです。
2023年1月3日にプレミアム会員「ボイジャー会員」に登録したことを機に、過去に遡って再度AIのべりすとにテキストを生成させてみました。
AIのべりすとによる一貫したテキスト生成がいつまで続くかは定かではありませんが、続く限り継続していきます。
言い換えれば、意味不明なテキストを生成し始めた場合には、一旦中断し、再度遡りテキストを生成させるか、新たな小説に挑戦するか決定します。
🔴お知らせ
2022/11/19 23:00頃に突然AIのべりすとのサイトに接続できなくなりました。
しばらく様子を見ることにしました。
20分程経った後、AIのべりすとのサイトに接続できました。
よく見ましたら、言語モデルがバージョンアップしていました。
使用中の言語モデル: とりんさま6.8B beta V2 → とりんさま7.3B V3
2022/11/19 23:25頃
接続が切れた時、もうこれで終わりかと一瞬思いました。
AIのべりすとが旧言語モデル(とりんさま6.8B beta V2)でテキストを生成していた時、バージョンアップが行われたため接続できなくなったことが分かりました。
言語モデルは (とりんさま7.3B V3) から とりんさま7.3B V5 (3WAY)(2023/01/03)に変更しました。
「AIのべりすと」の設定
「AIのべりすと」の言語モデルは下記のものです。
2023年1月3日にプレミアム会員の1つの「ボイジャー会員」(970円+税/月)に登録しました。
プレミアム会員の詳細については「AIのべりすと プレミアム」をご覧ください。
使用中の言語モデル: とりんさま7.3B V3(2022/11/19 バージョンアップ) → とりんさま7.3B V5 (3WAY)(2023/01/03)
このモデルを使い、テキストを生成してもらうのですが、3種類の設定のどれかを選ぶとあとは自動的に生成します。文章が途切れることがあるので加筆修正が必要です。
1. デフォルト AIに好きに書かせます
2. セリフ 台詞を優先
3. ナラティブ 地の文を優先
この3つの設定の中から一つを選び、AIにテキストを生成させます。
設定を変更することは任意です。
いつでも変更はできますが、ストーリーがつながらなくなる恐れがあります。その際には、修正が必要になります。
「2. セリフ 台詞を優先」から
「3. ナラティブ 地の文を優先」に変更しました。
✅文章を単調化させないために、2023年2月17日から「2. セリフ 台詞を優先」と「3. ナラティブ 地の文を優先」を併用することにしました。
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