盛田昭夫 『21世紀へ』(019)
盛田昭夫 『21世紀へ』(019)
現在では、ビジネスをする上で「競争」「協働」「共創」がキーワードになっていると思います。
正当な競争がお互いの価値を高め、協働(コラボレーション)によって、
リスクヘッジを図りながら、相互補完の目的で共創することが求められている、と考えています。
ただし、そこには常に「顧客」の存在を念頭に置いたモノづくりのこころ、
商いのこころがなくてはなりません。
このことは何も、メーカーや流通業に限った話ではなく、マスメディアにおいても番組作りや紙面づくりに生かしていかないといけないことです。
番組を提供する側の人たちは、次の意見に耳を傾けてほしいと思います。
『21世紀へ』 盛田昭夫
2000年11月21日 初版発行
ワック
目次
はじめに
第1章 経営の原則
第2章 人材の条件
第3章 マーケットの創造
第4章 国際化への試練
第5章 経済活性化の原理
第6章 日米関係への提言
第7章 変革への勇気
第8章 日本国家への期待
第9章 新世界経済秩序の構築
あとがき
第2章 人材の条件
「新入社員への手紙」(1967年)から
ビジネスは個人プレーではない。団体競技なのである。そこにチームプレーの重要性が現れてくる
「マキシマムの力を発揮せよ[インタビュー]」(1967年)から
企業というものは自由経済機構、すなわち競争を前提としているわけで、競争ということは闘いを前提としているわけだ
本当のエグゼクティブというのは、やはり各々自分の専門分野では最高のナレッジを持っていなければならない。それを持っているスペシャリストというのが、本当のスペシャリストだ
盛田昭夫公式ウェブサイト
➳ 編集後記
『21世紀へ』を読み返して感じたこと
『21世紀へ』は、20世紀を全力で走り抜けてきた盛田さんが、このままでは日本がダメになるという危機感に、すべての日本人が気付いてほしいという悲痛な気持ちが伝わってくる本です。
盛田さんの「予言」はいみじくも当たってしまいました。
少なくとも現状においてですが。
この警世の書に書かれていることの多くが当たっています。
盛田さんの慧眼は本当に素晴らしいと思いました。
本書をアマゾンや楽天でなくても、ブックオフ等で目にしましたら、ぜひ手に入れてください。なかなか見つからないかもしれませんが。
その内容の濃さと経験に裏打ちされた説得力のある文章に惹きつけられることでしょう。
🔴「ビジネスは個人プレーではない。団体競技なのである。そこにチームプレーの重要性が現れてくる」
この言葉は、現代において捉え直す時期に来ていると考えています。
少なくとも、次に掲げる前提を考慮すべきです。
1 学生のうちは、勉学は個人プレーである。ただし、スポーツは個人もチームもある。勉学においては個人の成績はすべて自分に返ってくる。
極論を言えば、私が提唱する「自調自考自働」(自分で調べ、自分で考え、自ら働く、自ら周囲に働きかける)のうち、自調自考の2つでよいのです。
2 社会人になると、学生のように自調自考の2つだけでは済まない。
チームプレーが基本になる。基本的に毎期売上を増加させ、利益を出さなければならない。個人プレーでは全体への影響は軽微である。
単独行動はチームの足を引っ張ることになりかねません。
プロフェッショナルといえども、独立して一切合切一人でやっているようであっても、クライアントと協働していかなければ、問題解決には至らない。
経営コンサルタントをイメージしてもらえば理解できるでしょう。
経営コンサルタントはクライアントの現場に幾度も足を運び、真の問題点は何なのかクライアントと討論を交わし、調査し、徹底的に調べ上げ問題点を抽出します。真の問題点が見つけられなければ、問題解決には至りません。
表面的な問題をいくらかき集めても、モグラたたきになるだけで、問題が次から次に出現します。真の問題は2~3つ。多くても5つ以内に集約されます。
この件については、大前研一氏や堀紘一氏の書籍にぜひあたってほしいと思います。
3 チームプレーといえども、個人が属するチームにおんぶにだっこでは、チームの足を引っ張ることになる。
チームの中で自分の役割は何かを把握し、次にその役割を拡張していく(両手を広げていく)、メンバーと協力し合う(チーム内の協働)ことが求められる。
強いチームは個人の力も強い。チーム力向上には個人力向上が欠かせない。
4 現代では個人の力を強化することは不可欠である。
組織においてはチームプレーが基本だが、個人の能力が低ければチーム全体を低下させる。
個人は自分の能力の一層の向上が求められる。言われてからやるのではなく、日々自己研鑽に積極的に取り組む。
5 現在所属するチームでは自分は浮いてしまう、あるいは自分の活躍の場はここにはない、と思うのであれば、そこにとどまる必然性はない。
現代の転職は自分を高く評価してくれる企業に移ることだ。向上心の表れでもある。
あなたも現状に不満を抱いているのであれば、思い切って転職を真剣に考え、行動に移すことはその後の人生に無駄なことではありません。
ちなみに、私は転職(本来職種を変えること)も転社も複数回あります。
・経理→営業→在庫管理→経理→総務
・専門商社→自動車ディーラー→外国の書籍・雑誌の輸入卸売り会社(在籍年数が最も長い、約20年)→不動産業界
⭐参考データ
盛田さんは、一点の曇りもなく、自分に正直で、言行一致した行動派の経営者でした。また、今ではなかなか見つからないダンディなジェントルマンでもありました。表現がダサい? 古い?
⭐ソニーの現状 (ソニーグループの子会社)
ソニーを日本企業とは知らない人たちがいることに驚きました。
ここ数十年で業態を変えてきたことは、世の中の変化に素早く対応できることを示しています。
ソニーは「エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野」を扱う企業ということになりますが、半導体も生産していますし、得意な映像技術を深掘りしています。映画部門も持っていますね。
極論すれば、音と映像を2本柱にして、これらに関わる技術を開発し、横展開していると言えます。
ただし、ウォークマンが大ヒットしたあと、アップルの iPhone のようなスマートフォンがなぜ作れなかったのかと悔やまれます。技術力はあったはずです。目利きが及ばなかったのでしょう。
スマホがここまで世界中に受け入れられるとは想像していなかったのかもしれません。
⭐『21世紀へ』について
『21世紀へ』に関するこのブログを最初に投稿したのは、アメブロで9年前(2014-07-24 21:40:30)のことでした。
note に再投稿するにあたって、大幅に加筆修正しました。
『21世紀へ』の「はじめに」の1行目から2行目にワック編集部による
この本の説明が書かれています。
ソニーは日本を代表する世界的企業であることに異論はありません。
✑ 盛田昭夫氏の略歴
巻末の「著者紹介」から
盛田昭夫(もりた あきお)
ソニー創業者。1921年生まれ。大阪大学理学部卒業。
海軍技術中尉に任官し、井深大と出会う。
46年、井深とともにソニーの前身、東京通信工業を設立。
ソニー社長、会長を経て、ファウンダー・名誉会長。
この間、日米賢人会議メンバー、経団連副会長等を歴任。
海外の政財界にも幅広い人脈をもち、日本の顔として活躍した。
98年米タイム誌の「20世紀の20人」に日本人として唯一選ばれる。
99年死去、享年78。
著書に『学歴無用論』(朝日文庫)『新実力主義』(文藝春秋)
『MADE IN JAPAN』(共著、朝日文庫)『「NO」と言える日本』
(共著、光文社)等がある。
⭐出典元
クリエイターのページ
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カリスマコンサルタント 神田昌典
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