脱デフレで勝つ 高く売るための経営七策 2014.04.07 Vol.66 2/2 2014-05-21 21:55:38
日経ビジネスの特集記事 Vol.66
脱デフレで勝つ 高く売るための経営七策 2014.04.07 Vol.66 2/2 2014-05-21 21:55:38
<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>
デフレ型から脱デフレへ経営モデルを転換することは、中長期的にも、日本企業が生き残るための重要な条件
が主要テーマです。
安く作り、安く売る、という薄利多売のビジネスモデルを20年近く志向してきた日本企業は、疲弊しきっていました。
ここにきて、高品質の商品を高く売るため企業がちらほら出てきました。
びっくりするようなケースが紹介されていました。
「3斤3000円以上する食パン」や「本体価格7万9000円の家庭用ミキサー」「本格的な高級惣菜を販売するスーパー」
などなど…。
こうした商品が、一定の支持を受け、売れているそうです。
購入している人たちの高級志向ということだけでなく、価値が認められるものに対してはお金を出す、ということなのでしょう。
私には真似することはできませんが。
あなたは、「高いけれどコレにはお金を出す」という、モノやサービスはありますか?
PART2 7つの発想転換がカギ
今回はこのうちの4~7を取り上げます。
人事戦略編 4 売上高人件費率は気にしない
アフターサービスはコストがかかるということで、日本企業は効率化を推し進めてきました。
ところが、米国企業には真逆な戦略をとっているところがあります。
例えば、ゼネラル・エレクトリック(GE)です。
2001年に名経営者と呼ばれた、ジャック・ウェルチ氏の後継者として、CEO(最高経営責任者)に就任した、ジェフリー・イメルト氏は「GEを大胆に事業構造を変えてきた」(p.034)そうです。
その方針とは?
「安くしか売れないもの」から「高くても売れるもの」へのシフト
アフターサービスというと、主に故障した商品を修理することですね。
ところが、GEは違うのです。
何が違うかと言えば、「製品が壊れる前に直す、究極のアフターサービス」です。
一体どういうことなのか、気になりますね?
「ビッグデータ」を収集し、故障の可能性を予想
この話で思い出したのは、日本が世界に誇るコマツです。
コマツの建機には、センサーが組み込まれ、現在稼働しているかどうか、が遠隔操作で確認できるそうです。
稼働していないことが分かれば、工事が進んでいないことが分かり、建機の販売代金の回収にも影響が出る、と把握できるのです。
イメルト氏は2013年秋にこう述べています。
製造業の高度化
GEは人材育成に多額の投資をしています。
こうした長期的な戦略が、次世代のGEを生み出すことできるのでしょう。
脱デフレ化に先手を打つ人事戦略と豊富な資源投入
一時的な人件費の上昇を厭わない
日本企業は、従業員を経費=コストと考え、人件費の削減に奔走しています。
正社員を減らし、非正規雇用者(契約社員や派遣社員、パート、アルバイト)の割合を増やすことを重点項目にしている企業もあります。
そうした日本企業が多い中で、今年(2014年)3月に、ユニクロを運営するファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さんが、「パートやアルバイトの1万6000人を正社員化する」と、方針の転換を宣言しました。
人件費が2~3割増加する見込みですが、新たにパートやアルバイトに教育していくことと比較すると、この方がずっとよいという判断が下されたのです。
ユニクロの大転換について知りたい方は、
をご覧ください。
財務戦略編 5 内部留保はため込まない
デフレが続き、日本企業は内部留保を積み増し続けてきました。
当然のこととして、ベースアップ(基本給の上げ)や賃上げは行なってきませんでした。
オランダのフィリップスのケースが紹介されています。
2013年4月に日本で発売した油を使わない調理家電「ノンフライヤー」が好調だそうです。
健康志向にマッチしたのでしょう。
この商品も「通常の調理器具に比べればやはり高い。それでも事前の市場調査で、その価格帯で売れるという結果が出ており自信があった」(フィリップスエレクトロニクスジャパンの稲原薫コンシューマーライフスタイル事業部長)(p.036)から発売に踏み切ったのです。
その結果、販売が好調となっているのです。
なぜ、こうした戦略が打てるのか?
儲かりにくい事業を売却して得た資金を儲かる事業を買う原資に活用する
経営目標編 6 成長率は低くても構わない
ハーゲンダッツといえば、高級アイスクリームの代名詞です。
1個100円ほどの競合品が並ぶ中で、主力商品である「ミニカップ」が263円(税抜き)に据え置かれています。それでも売れていますね!
この秘密は意外なところにありました。
「急成長を目指さない」
一体どういうことなのでしょう?
「特別感」を保つ
つまり、今までに何度も出てきましたが、キーワードは「高付加価値化」と「価値の維持」です。
戦後、日本が復興できたのは、「安かろう悪かろう」と揶揄されながら、技術を磨き高品質な製品を安く製造してきたことと、米国が購入してくれたという紛れも無い事実があります。
当時の米国と日本の関係が、現在の日本と新興国との関係に相当します。
そうした時代があったことを、日本人も日本企業も忘れてしまったのではないでしょうか。
外国企業の例が多く紹介されたので、ここで地方の高級スーパー「アマノパークス」をご紹介しましょう。
私はその存在を知りませんでした。
それもそのはず。山梨県内に4店舗展開しているだけだからです。東京ミッドタウンへの出店依頼があったそうですが、
ということです。
アマノパークスはどんなことをしているのか、といいますと、本格的な高級総菜を毎日夕方4時からの手作り総菜バイキングに出しています。
こうした状況なら、人気があるのもうなずけますね。
研究編 7 あれもこれも研究する
先に、高級掃除機ダイソンが売れる秘密をお伝えしました。
掃除機といえば、もう1つ有名なものがありますね。
そうです! アイロボットのロボット掃除機「ルンバ」です。
つい最近、日経ビジネスの社長インタビューに、コリン・アングル(Colin Angle)氏[米アイロボットCEO(最高経営責任者)]が登場しました。
少々長いですが、その一部をご紹介します。
アイロボットのルンバ
アイロボットは「ルンバ」だけの会社ではありません。
軍事、家庭用など数多くのロボットを製造・販売する会社です。
アイロボットはR&D(研究開発)に力を入れています。
アイロボット社は、昨日今日にできた企業ではありません。
1990年に、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の人工知能研究室で知り合ったヘレン・グレイナー氏とロドニー・ブルックス氏が共同で創業しました。
四半世紀の歴史があります。
アイロボットの研究開発への投資額を見てみましょう。
脱デフレへの一つの解答は中核技術への思い切った投資といえるかもしれません。
PART3 デフレ型、余命5年
ドキッとする見出しが出ています。
日本社会の近未来で確実なことが一つあります。
それは少子高齢化に伴う、人口減と生産年齢人口が大きく減少することです。
1本(3斤)で3143円(税抜き)もする高価格食パンを販売するイコールコンディション(東京都世田谷区)があることはご存じですか?
相場の3倍もする食パンは、インターネット通販専門のパン店「ルセット(recette)」で全て予約販売しているそうです。
この価格はどこから来ているのか、そしてなぜ、売れているのか、その秘密が知りたくなります。
突き抜けるほどの、こだわりがありますね。
蛇足ですが、モーツァルトの曲は、人も動物も穏やかな気持ちにさせる効果があるそうですね。
乳牛や豚などの畜産農家でも、モーツァルトを流しているところがある、という話を聞いたことがあります。
酵母菌にも効果があるのでしょうね。
毎日100本限定の「最高級パン」を販売するイコールコンディションの意図はどこにあるのでしょうか?
次の言葉に凝縮されています。
ストーリー
日経ビジネスは次のようにまとめています。
🔷編集後記
この特集記事(元記事)が公開されたのは、9年前のことで、アメブロでも9年前(2014-05-21 21:55:38)のものです。加筆修正してあります。
日本のデフレは数十年続いていました。外国がインフレでモノの値段が上がり、大騒ぎをしていた時、我が国はデフレ下でモノが安く手に入りましたが、賃金の上昇も抑えられてきました。
企業は内部留保に血道を上げ、従業員の昇給を抑え、株主にはわずかな配当金でお茶を濁してきたという歴史があります。
2022年後半辺りから昇給を真剣に考える経営者が出てきて、先鞭をつけました。日本の労働者と海外の労働者との賃金格差が乖離していたからです。
同じ企業に勤めながら、海外勤務と国内勤務でドル建てで大きな差が出ていたという実態が明らかになりました。
海外勤務だった従業員が国内に異動になった時、給与が減るということがあったのです。昇給はその是正の意味もありました。
今回は主にモノの値上げについて取り上げました。
9年前には脱デフレができなかった訳ですが、今は物価高が激しく、食品・電気料金やガス料金、水道料金などの水道光熱費、公共交通機関の料金などの値上げが相次いでいます。明らかなインフレとなっています。
黒田東彦前日銀総裁の下では、デフレ経済を続けてきました。
消費者物価指数の上昇率を2%に引き上げようとしていましたが、在任中には実現しませんでした。
ところが、2023年3月に前年同期比で3.2%となっていました。
出所:総務省作成の消費者物価指数(pdf)
2020年基準 消費者物価指数 全国 2023年(令和5年)3月分及び2022年度(令和4年度)平均 (stat.go.jp)
電気料金は数ヵ月前に上がりましたが、再度値上げが取り沙汰されています。
私たち庶民は生活防衛のために、節電などに取り組まなくてはなりません。
ロシア・ウクライナ紛争がさらに長引くようですと、原発再稼働が現実味を帯びてきます。
*高級食パンブームは終焉を迎えたと言われていますが、しぶとく生き残っている店はあります。
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