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規制サバイバル 厳格化する世界を攻略せよ 2023.01.30 2/3




日経ビジネスの特集記事 62

規制サバイバル 厳格化する世界を攻略せよ 2023.01.30 2/3

<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>

CONTENTS

PROLOGUE 覇権国の規制に揺れる日本

PART 1 各国で“見えないルール”も避ける時代 経済安保、企業活動に網 海外規制の「域外適用」も

PART 2 黙って従うか、抗って変えるか 成長競争に出遅れる 現場に広がる焦燥感

PART 3 ルールと戦う企業が見る景色 規制の最前線に立ち 道を開く企業家の志

EPILOGUE 企業よ、泥を被る苦痛に備えよ 



第2回は

PART 2 黙って従うか、抗って変えるか 成長競争に出遅れる 現場に広がる焦燥感


を取り上げます。


弱肉強食の世界で一定の規律を保つため設けられる規制。それは強きを制限する“鎖”であり、弱きを守る“傘”でもある。自由競争を是としてきた戦後の国際秩序は、対立する大国の思惑に左右されて、新たな規制の網に覆われつつある。規制を使いこなせばゲームチェンジャーにさえなれるのだ。


PART 2 黙って従うか、抗って変えるか 成長競争に出遅れる 現場に広がる焦燥感

まず、「規制」ついて再確認しておきましょう。
Wikipediaによれば、下記のように記載されていました。

規制(きせい、: Regulation)とは、特定の目的の実現のために、許認可・介入・手続き・禁止などのルールを設け、物事を制限することをいう
直接規制(政規規制)と間接規制に区別され、さらに直接規制は経済的規制と社会的規制に区別される

規制 Wikipedia  


さらに次のようにも記されていました。

規制の目的
外部性の回避
環境規制・安全規制など
情報の非対称性による不利益の回避
品質表示・安全表示など
規模の経済性が存在することによる不利益の回避
発電所など大規模である方が効率がよい産業など
幼稚産業の育成や衰退産業の円滑な構造転換
参入規制など
食料需給調整
食料の価格安定など
公益性の実現・ユニバーサルサービスの達成・安全性の達成
郵便・通信・交通などにおける、参入規制・価格規制・撤退規制、有害物質の閾値規制・安全規制などがある

規制の類型
Command and Control型
命令と規制によって直接的に管理を行う手法。発生してはならないことを確実に防止するのに有効である。

経済的手法
外部性(社会的コスト)を価格に反映させるよう介入することで間接的に管理を進める手法。達成手段が各主体に委ねられ自由度が出ることで、完全市場下ではより経済的に効率的になるのが特徴。
完全競争市場実現のための諸規制
市場がうまく機能するための、市場規制・情報公開規制・市場ルールの整備など。情報の非対称性の解消、モラルハザードの防止、逆選択の防止、独占禁止、情報公開ラベリングなど

規制 Wikipedia  


規制の目的規制の類型を時々参考にしていきます。

🔴日本では、政府や企業が経済成長の起爆剤として規制緩和に動くのが定番。しかし抜本的に踏み込めず、適切な改革に結び付けられないケースはざらだ。(規制サバイバル 厳格化する世界を攻略せよ 2023.01.30 p. 018)

規制サバイバル 厳格化する世界を攻略せよ 2023.01.30


歴史ある業界を覆う規制の波
新たなビジネスチャンスを探せ

🟦ファイアウォール規制

金融審議会の作業部会はこの日、金融市場の制度に関する中間報告書案を公表した。銀行と証券の情報共有に歯止めをかける「ファイアウオール規制」の追加緩和について、「引き続き検討を行う」とした。三井住友FG傘下のSMBC日興証券と三井住友銀行の間で、この規制に違反する行為が発覚していただけに、判断先送りの結論は「御の字」だった。

規制サバイバル 厳格化する世界を攻略せよ 2023.01.30  
p. 018  


銀行業界における緩和対象

銀行業界は、緩和の対象を中堅・中小企業や個人にまで広げることを求めている。全国銀行協会が22年4月に金融審に出した資料は、「追加緩和によりイノベーションの担い手であるスタートアップの徹底支援が可能になる」というアピールから始まる。

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⭐私の疑問

銀行業界はスタートアップに本当に徹底支援が可能なのだろうか?
スタートアップは担保になる資産はほとんどないことが多い。
銀行は担保を確保した上で融資するのが原則だ。経営者を見て融資するということは昔はできたが、現在ではできていない。

そこで、国がスタートアップを支援できる仕組みを作るということになったのだが、形式だけ整えても中身が伴っていかなければうまく行かない。

銀行を巡っては、業務範囲と出資の規制が21年の銀行法改正で大幅に緩和された。低金利の環境が長引き、新たなビジネスモデルを模索するよう迫られたためだ。もちろん、その前から厳しいルール下で、他業への進出を図ってきた銀行はある。

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p. 019
  
規制サバイバル 厳格化する世界を攻略せよ 2023.01.30


次の図表を見ると、銀行は規制緩和の恩恵を受けてきたことが伺われます。

厳しさ増す経営を規制緩和に支えられてきた銀行

規制サバイバル 厳格化する世界を攻略せよ 2023.01.30


規制を受けてきたのは金融だけではありません。
医療分野も同様です。
オンライン診療は新型コロナウイルスが蔓延した頃から拡大してきました。

オンライン診療が解禁され広まってきた経緯

そもそもオンライン診療は、厚生労働省が15年に「離島やへき地以外でも利用できる」との見解を示し、全国で解禁されたはずだった。一方で厚労省は、ガイドラインでオンライン診療を対面診療の補助的手段と位置付け。距離や利用頻度、金額などでさまざまな制約を設けた。

しかし20年、新型コロナウイルスの感染が収束するまでの時限的な特例措置として、初診からのオンライン診療が解禁された。これを機に、政府は制度の見直しにかじを切り、全面解禁に反対していた日本医師会などを説得してオンライン診療を一気に促進した。

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薬剤師の環境はデジタル化が遅れた

規制サバイバル 厳格化する世界を攻略せよ 2023.01.30


オンライン診療システム大手メドレー

オンライン診療システム大手メドレーの豊田剛一郎取締役は「診療報酬の改定が大きかった」と振り返る。22年度のオンラインの診療報酬は、初診が2510円に設定された。これは対面(2880円)の9割近い水準で、コロナ特例の2140円よりも高い。さらに再診の報酬も20円増やし、対面と同じ730円にそろえた。

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オンライン診療を実施できる条件

オンライン診療は新たなルールにより、初診での利用が認められた。また「30分以内に通院か訪問できる」「3カ月ごとに対面診療も併用する」「オンライン診療の割合を報酬金額ベースで1割以下に抑える」といった規定が廃止された。担当は原則としてかかりつけ医だが、他の医師でも事前に患者の診察履歴など医学情報を確認できれば、オンライン診療を実施できるようになった。

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厚労省がオンライン診療を容認する条件

規制改革推進会議はオンライン診療の利用について、自宅や老人ホームのような居宅に限られている現在の規制を見直し、地域の公民館や通所の介護施設などでの受診を認めるよう主張してきた。利便性を高め、地方の高齢者らが自宅以外でも受診しやすくする狙いがある。

厚労省は容認する条件として、その場に診療所を開設したり、自治体の認可を必要としたりする案を示した。これを受け入れれば公民館でオンライン診療を受けるためのハードルが上がることは明らか。会議側のいら立ちは募る一方だ。

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EU農薬規制で生じる波紋

「2030年に5兆円」という農林水産物・食品の輸出を目指す日本。それが困難になりかねない規制案が欧州連合(EU)で持ち上がっている。

22年6月、欧州委員会は30年までに化学農薬の使用量を半減させる規則案を公表した。生産効率の低下を懸念した東欧諸国などの反対でスタート時期は宙に浮いているが、いずれは農家への補助策とセットで導入されるとの観測がある。まず域内の規制から始めつつ、結局は域外にも影響させるのがEUの得意技だ。

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欧州の食品市場、新たな参入障壁

●EUの農薬規制案
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化学農薬の使用、不使用は気になる問題ですね。
農薬には2種類あるそうです。化学農薬と生物農薬。

「化合物」が主体となっている「化学農薬」と、生物由来の「生物農薬」の2つに大きく分けることができます。

農薬ってなに?知っておきたい農薬の種類と効果の違い 


農薬ってなに?知っておきたい農薬の種類と効果の違い


上の図表を見て、私の想定と大きく違っていました。アメリカは大規模農法を行ない、ヘリコプターによる農薬散布が行われていることは動画でよく見ていましたから。

今ではヘリコプターの代わりにドローンを使っているかもしれません。
次の動画は日本のものです。

農薬散布ヘリ


農家の負担軽減へ ドローンで農薬散布の実証実験


農薬が人体に有害であるという問題があるため、脱農薬に取り組む食品企業もあるそうです。まだ少数のようですが。

「海外での抹茶は有機の引き合いが圧倒的なので、対応を一段と強化したい」。丸山製茶(静岡県掛川市)の丸山勝久社長は、こう意気込む。乾燥した茶葉を砕いて使う抹茶は、煎茶よりも有機のニーズが強い。同社は年間約200トンの抹茶を輸出し、9割超が有機だ。新型コロナウイルス禍でも欧米で「matcha」の需要が伸び、同社の輸出量は約2年で2倍になったという。

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丸山製茶は欧米から引き合いの強い有機抹茶の輸出を強化している
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無農薬にも課題はある

ただ、無農薬だと雑草や害虫の駆除に相当な手間がかかる。

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海外流出するスタートアップ

日本の規制を嫌い、有望なスタートアップが海外に流出する事例は相次いでいた。起業家の吉田直人氏は日本でのブロックチェーンゲーム開発を模索したが難しいと悟り、シンガポールに開発会社デジタル・エンターテインメント・アセット(DEA)を設立。非代替性トークン(NFT)を活用して遊ぶゲームの開発運営を始めた。

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規制先進国であると逆手に取る

web3の領域で日本は自らを「規制先進国」だとアピールする手はある。企業が安心して事業を展開できる国という印象を世界に浸透できれば、海外からの投資を呼び込めるかもしれない。

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上記の考え方をさらに進め、web3の領域で競争に勝ち残ることができるのでしょうか?

日本は「規制先進国」の立場を確保し、web3の領域で競争に勝ち残ることができるのか。平議員は「ギリギリ(勝負の)土俵際には残っている」とみる。ここから巻き返しを図れるか。新しい技術を巡る規制の在り方が問われている。

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データローカライゼーション(越境データの流通を制限)とは何か?

データの重要性が強く認識され始めると、越境データの流通を制限する「データローカライゼーション」を導入する国や地域が出てきた。要請する事項はそれぞれ異なるが、サーバーの国内設置とデータ自体の国内保存、そして複製データでも越境移転に制限を求める内容が多い。

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データローカライゼーション(越境データの流通を制限)の概念図

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中国でデータローカライゼーションが強化されているそうです。

データローカライゼーションの先駆けはEUの一般データ保護規則(GDPR)と捉える向きがあるが、国際的な関心が高まったきっかけは中国が17年6月に施行した「サイバーセキュリティー法」だろう。

 中国のデータローカライゼーションはその後も強化され、21年6月にデータセキュリティー法、21年8月は個人情報保護法がそれぞれ成立し、データの国内保存と越境移転を制限。中国企業が海外に上場する際の管理強化にも使われている。

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データローカライゼーションの考え方は世界的な広まりをみせるでしょうか? 覇権をめぐり醜い争いとなることが目に浮かびそうです。

次回は

PART 3 ルールと戦う企業が見る景色 規制の最前線に立ち 道を開く企業家の志

EPILOGUE 企業よ、泥を被る苦痛に備えよ


をお伝えします。


🔷編集後記

規制緩和や規制撤廃が常に良いことではないことを次のケースが教えています。

「なんでも規制緩和」路線が招いた外資による農地買収「自由化」の末路

2023年7月――。  「よくぞここまで…」  「もう中国に農地を買わせないと農水省が踏み込んだ」  本年9月から、農地を新たに取得する個人や法人に対し、農水省が国籍の報告を義務付ける方針であると伝えられると、右系に近いメディアでは鬼の首でもとったかのように歓迎した。よいことではあるが、はしゃぎすぎである。外資による農地買収の勢いはそれでも止まらないからだ。

Yahoo! Japan ニュース 2023/08/03  


農地は全地目の中で唯一、売買規制がある地目だったが、2023年4月、構造改革特別区域法の改正により、限定的だった企業(外資含む)の農地所有について、その特例を希望した全国の自治体(市町村)に認めるという新制度が成立した。農地法等がほぼ骨抜きとなり、市町村と農業委員会の決定権が増し、委ねられるかっこうになった。審査力に乏しい自治体は、形式審査しかできず、容認せざるを得なくなってしまうだろう。

Yahoo! Japan ニュース 2023/08/03 


北海道の土地やホテルが中国人によって買収されたという話はよく聞きます。北海道に限らず、長野なども同様だということです。

中国では土地を所有することができず、売買も認められていません。そのため、北海道の原野などを買い漁っています。水資源を手に入れたいのです。日本の安全な水資源を手に入れるために土地を取得します。

ホテルの場合は経営権を手に入れ、今まで通り日本人による手厚いサービスは継続することでクオリティを維持するのです。

宿泊客はそのホテルの経営者が誰かを知らないでしょう。いつの間にか経営者が代わっていても気付かないでしょう。

こうしたことが日常茶飯となるかもしれません。規制緩和や規制撤廃に対し、私たち国民はもっと注視しなくてはならないかもしれません。

日本の多くの土地が外国人によって占拠されてしまうかもしれません。なんとしてもそれは防がなくてはなりません。


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