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大前研一 名言集 『ロウアーミドルの衝撃』(2)

『ロウアーミドルの衝撃』(2)

「自分のことを中流」と考える日本人が、かつて多く存在しました。私自身もその一人でした。

しかし、いまや上流と下流だけといった二極分化の様相を呈しています。

派遣社員の首切り、正社員の激減、給与、賞与の大幅削減など従業員には逆風が吹き荒れています。

そうした現況を踏まえて、ロウアーミドル(中流以下)という概念を示しつつ、生き抜く指針を提示している本が『ロウアーミドルの衝撃』です。

現実から逃避せず、現実を直視し、少しでも明るい未来像を描けるようになりたいものです。
 
 

人口分布の変化、法人部門の変化、個人部門の変化
経済学が前提としていない状況が、今の日本では三つ重なって起こっているのだ


今の日本では、お金がジャブジャブになってもモノが流通していない。経済がカネを吸収しないのだ。
その理由は三つ。
モノをあまり必要としない高齢者の増加(人口分布の変化)、在庫を必要としないジャスト・イン・タイムの生産方式への転換(法人部門の変化)、
将来への不安からモノよりカネを握っておこうとする消費者心理(個人部門の変化)である。
つまり、経済学が前提としていない状況が、今の日本では三つ重なって起こっているのだ

『ロウアーミドルの衝撃』 大前研一の名言 1 〈250〉                     



我々が今「デフレ」と呼んでいるのは、じつはデフレではなく、歴史的な視点で見れば「物価の正常化プロセス」にすぎないのである


今、日本でデフレと呼ばれる現象が進んでいる原因は、第一にボーダーレス化による影響である。
ボーダーレス化が進んで、資金やモノの流通が簡単に国境を越えるようになると、もともとモノの価格が高かったところには、世界中から良質かつ低価格のモノが流れ込んでくるようになる。
我々が今「デフレ」と呼んでいるのは、じつはデフレではなく、歴史的な視点で見れば「物価の正常化プロセス」にすぎないのである

『ロウアーミドルの衝撃』 大前研一の名言 2 〈251〉                             
                                  
         







事の本質がボーダーレス化とサイバー化による「価格の正常化プロセス」であるとわかれば、いくら回復を待っていても価格下落の流れは止まらない


事の本質がボーダーレス化とサイバー化による「価格の正常化プロセス」であるとわかれば、いくら回復を待っていても価格下落の流れは止まらないし、ましてインフレターゲット論などはナンセンス極まりないことが理解できるはずだ。

『ロウアーミドルの衝撃』 大前研一の名言 3 〈252〉                                                                     



➳ 編集後記

ロウアーミドル(中流以下)という概念を示しつつ、生き抜く指針を提示している本が『ロウアーミドルの衝撃』です。


🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。

Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。
あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。


大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います。私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。


➔ 大前氏の今回の言葉も、私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。

🔷 長年デフレが続いていましたが、安倍晋三内閣が発足してから、インフレの兆しが見えてきました。

インフレとデフレをごく簡単に説明すると、次のようになります。

インフレとは、モノの値段が上がること、言い換えるとお金の価値が下がること。

デフレとは、モノの値段が下がること、言い換えるとお金の価値が上がること。

かなり粗っぽい説明であることは、私自身自覚しています。
ですが、私たちは経済学の専門家になるわけでも、総合研究所などのエコノミストになるわけでもありません。

一番重要なポイントは、大雑把でもいいから定義(意味)をきちんと理解することだ、と考えています。

同じ用語を使っていても、定義を共有していないと、議論が噛み合いません。

まず、定義すること。これを忘れていけません。

その点、大前氏はきちんと定義して説明してくれます。

ジャーゴン(専門用語)を羅列させ、「分からないだろう?」と悦に入っている、えせ専門家には注意しなくてはいけません。

ジャーゴンを並べ立てる人は、実際にはよく分かっていない人が多い、と思います。

大前氏は、物事の本質を見通す力が抜きん出ていて、難解な用語を使わずに、難しい内容を分かりやすく説明してくれます。

だから、凡人の私でも、大前氏の主張がよく理解できるのです。

本当に頭が良い人は、難解なことを分かりやすく説明できる人だ、と思います。深く理解しているからです。

大前氏は、まさにそういう人物です。


大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。




🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。

『企業参謀』(1985/10/8 講談社という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。

それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。

『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』(‎ 1986/2/7 講談社が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。






🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。



大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。

この元記事は8年前にAmebaブログで書きました(2014-05-12 22:53:16)。「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。私にとっては、いわばレガシィです。
その記事を再編集しました。



✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長[1]韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授[1]高麗大学名誉客員教授[1]、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役[1]、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長[1]等を務める。    (Wikipedia から)


大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。

その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。
大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。









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