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伊藤雅俊の商いのこころ 第3回

伊藤雅俊の商いのこころ

イトーヨーカドーとダイエーの商売のやり方は、対照的でした。

イトーヨーカドーは、店舗開拓をする場合は賃貸方式でした。土地購入と比べ、多額の資金を必要としないビジネスモデルでした。

一方、ダイエーは土地を購入し、その土地を担保にして、金融機関から多額の借り入れをする方式でした。土地の値上がりを前提にしたビジネスモデルでした。

その結果は、言うまでもありません。

ダイエーは多額の負債を抱え、単独で事業を継続することができなくなり、最終的に、イオンの傘下に入りました。


泡銭(あぶくぜに)は身につかない

闇でボロ儲けした人を何人も知っています。しかし、ある時、気がつくと、そういう人に限って、ほとんどが消えてなくなっていたものです。

泡銭(あぶくぜに)は身につかないといいますが、お客様のことを考えない、その時限りの商売がたどる当然の報いだと思います。

『伊藤雅俊の商いのこころ』 p.48                       



私が兄から学んだのは、人の運命の苛酷さと、人の純粋な心の尊さです

人は自分の意思や責任とは関係なく、時代や環境にもてあそばれ、地道な努力が報われるとは限りません。

そんな人の世の不条理を見せつけられ、それでも誠心誠意を尽くすところに、人間の素晴らしさがあります。

私が兄から学んだのは、人の運命の苛酷さと、人の純粋な心の尊さです

『伊藤雅俊の商いのこころ』 p.60                       



賃貸方式は地主さんとヨーカ堂の共同事業のようなものですから、責任は重大です

ヨーカ堂が採用した賃貸方式の利点は、ヨーカ堂が自前で土地を買い、店舗を建てる場合に比べて資金負担が軽くてすむ点です。

その反面、自社物件ではないので、土地の値上がりで利益を得ることはできません。

それどころか、この賃貸方式は地主さんとヨーカ堂の共同事業のようなものですから、責任は重大です

『伊藤雅俊の商いのこころ』 p.77                       




➳ 編集後記

この記事を最初にアメブロに投稿したのは、
9年前(2014-04-19 18:08:25)のことです。

もうそんなに時が経ったのか、というのが実感です。
投稿した当時はあまり時間の概念が把握できていなかったと思っています。

古稀こきに近づいてくると(2023年6月30日で68歳)、年々時間が経つのが速くなってきていると感じます。

実際には、時間は万人の誰に対しても等しく経過します。ある人には1日は30時間あり、他の人には15時間しかない……ということはありません。

1分は60秒でこれも誰でも同じです。ですが、人によって1分が30秒にさらに言えば15秒に感じることがあります。

同じ時間でありながら、人により、状況によって長くも短くも感じられます。

🔴「人の世の不条理を見せつけられ、それでも誠心誠意を尽くすところに、人間の素晴らしさがあります」

この言葉と行動は、人間としての「到達点」に達しなければ実現できないことです。言うだけなら子供でも言えます。大人でも人徳を積んでいなければ説得力がありません。「言うは易く行うは難し」。

人間的に優れた人からはオーラのようなものが感じられます。エセ人格者は、人を見る目のある人が見れば、偽物と見破られます。

ただ騙されやすい人たちは大勢います。悪質な新興宗教による勧誘に引っかかって洗脳されたり、簡単に儲かるという話に乗って多額のお金を巻き上げられたり、振り込め詐欺に遭ったり、高額な模造品を売りつけられたり……。

そのような例は枚挙に暇がありません。

伊藤雅俊さんの言葉は商いをする(商売とは飽きずにやらないといけないことから商い)上での心得を述べたものですが、人間としてどうあるべきかということにも通底するものです。

人間を見据えた洞察力の為せる技です。深掘りをしなければ、洞察力は身につきません。成功体験も失敗体験も不可欠です。頭で考えただけでは洞察力は得られません。



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