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第11回 「理念採用」のための新卒向けインターンシップのあり方とは?

1 インターンシップ飽和状態で、あなたの会社は戦えているか

 シリーズ、“武田斉紀の『大手に勝てる「理念採用」』”も終盤です。第5回からお話ししてきた面接における実務ノウハウ、「なぜ?」という質問の効果的な使い方を前回で終え、今回は新卒採用におけるインターンシップを取り上げてみたいと思います。

 インターンシップはもうずいぶん前から先行して実施している企業がありました。

 中には純粋に学生が就業体験を通して仕事へのイメージを持つための支援として実施したところもありました。学生の就職への不安の解消に応える企業姿勢が評価されて、就職先としての好感度を上げる効果も。当時はまだ珍しかったこともあってマスコミにも取り上げられ、宣伝効果も大きかったでしょう。

 しかしインターンシップは同時に、企業にとっては、会社説明会解禁前に学生に接触できる貴重な機会です。採用のための直接的な選考は行っていないと説明しながらも、インターンシップへの応募書類の絞り込みでは、より意欲の高い優秀な学生に会ってみたいと思うでしょう。

 またインターンシッププログラムで学生とやり取りする中で、採用したい候補は出てくるものです。多くの企業にとって、まして外資系など指針などに縛られない企業にとっては、現実のインターンシップは採用活動そのものです。

 株式会社リクルート・就職みらい研究所の調査「就職白書2020」によれば、「新卒採用を実施している企業のうち、2019年度にインターンシップを実施した(予定含む)企業は95.0%。5年前の2014年度は49.9%でしたので、年々増加しほぼすべての企業で実施されるようになってきたことがわかります。。

 学生の参加率は20年卒で62.2%、こちらも年々増加しています。学生1人当たりの平均参加社数は4.53社ですが「1社」が最も多く24.3%、次いで「6社」20.6%、「2社」20.5%と個人差があるようです。


 同時に気になるデータがあります。同調査によれば「インターンシップ参加学生の39.9%が、インターンシップ参加企業に入社予定である。参加企業ではないが、同業種の企業に入社予定は29.2%で、合わせて69.1%がインターンシップに参加した業種へ、入社予定となった」とのこと。

 つまり参加率約6割も考慮すると、インターンシップ参加先に就職した学生は全体の4人に1人で、その会社の同業に就職した学生が約2割。インターンシップに参加しなかったあるいは参加したが就職先に影響がなかった学生が残りの約5割ということです。

 首都圏や大都市圏でインターンシップ参加率が高い(21卒以降はコロナ過でオンラインが一気に普及して地方学生の参加率が上がりましたが)ことを考慮すれば、首都圏や大都市圏ででは実感値はもう少し高いことでしょう。

 もはやインターンシップは特別なものではなく、企業・学生双方にとって採用プロセスの一部となりました。インターンシップ実施が当たり前になる中、ただ実施しましたというだけでは埋もれてしまい、特に大手や人気企業以外では費用や時間をかける割に高い効果が出にくくなっています。

 インターンシップ実施企業が増える中で大手や人気企業に打ち勝つには、またインターンシップからもっとより効率的に採用につなげるにはどうすればいいのでしょうか。

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