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メルマガ VS LINE公式 どのくらい効果違うの?

近況報告がてら、研究成果発表です。

広告代理店からECモールの業界に戻った時に興味深かったものの1つに、CRM(リピート施策)の文化が大きく違うことがありました。

ECモールは、僕が新卒で楽天に入った15年ほど前から何度か変革はありましたが、いまでも中心となっているのはメルマガです。
一方で、広告代理店時代は、メルマガはあまり話題に上がることはなく、LINE公式や、InstagramストーリーズといったSNSを舞台にしたリピート施策が中心でした。

両方やってみてわかるのですが、モール業界も、WEB広告業界も、それぞれ自分のCRM方法に自信を持っています。自分の方法が優先度80%、もう一方が20%くらいの認識で、こうも認識が違うのは面白いと思いました。ターゲットユーザの年齢・性別に大きな差は無いはずですが、なぜこんなに認識に差があるのだろう。本当はどちらが有効なのだろう。なので、気になって調べました。

結論から言うと、楽天においては
LINE公式の方が、メルマガより、クリック率が3倍以上高く
1通あたりの売上も倍以上となりました
下記の表は、半年にわたってLINEとメルマガにまったく同じ内容を送った結果です。なお、セグメントも全ユーザー配信で揃えています。

楽天では、メルマガは購入時にチェックを外さないと自動で会員登録。
LINEは自動登録がないので、クーポンなどをフックに登録させる方法をとっています。

パフォーマンスはLINE公式のほうが効果が出やすい結果となりました。
ここからは考察です。

・開封率(開封数/送信数)
こちらはほぼ同じ数字となりました。どちらも想像より高い数字が出ます。どの店舗においても50%ほどの数字です。メールもLINEもついている通知を消そうとして開封している人がいるので、そこまで違いが出ません。

・クリック率(クリック数/開封数)
これは前述の通り3倍以上の開きがありました。予想通りではありつつ、大きな差だったので何が要因か少し考えてみましたが、おそらく、受け取るアカウントが1つしかないから、が可能性として一番大きいと思いました。
LINEには捨てアドレスのような概念がないので、1つのアカウントで全メッセージを受けるため、取捨選択されているから、価値を感じているユーザの割合が多いのでしょう。

・送信通数
そうなると気になるのは、ブロック率・配信停止率はLINE公式の方が多いのでは、です。これは予想とは異なり、蓄積数・残存数についてはメルマガより、LINEの方が多い結果となりました。これもなぜか考えてみると、LINEは登録時のメリットと、その後に送られてくるメリットが近しいから、かもしれません。この考え方は他の施策に応用が効きそうだと思いました。

・なぜモールでのLINE施策の優先度が低いのか
これは特に歴の長い店舗ほどですが、すでに持っているメルマガのリストが大きく、LINEのリストを1から溜めていくこと(長期的施策)に対しての優先度が下がってしまう事が多いです。モールの運営もギリギリの運営リソースで回しているので、なかなか自社だとこういった余裕が出ないというのも現場ではよくあることです。

ここからは反証です。

今回の検証では、LINE公式とメルマガではLINE公式のほうが効果が出やすい結果となりましたが、全クライアントその考えでよいでしょうか。
1点考慮する必要があるポイントでいうとコスト・利益面です。
パフォーマンス以外に差があるポイントが、会員登録時のクーポンの有無にあります。今回は3000円以上で使える1000円OFFクーポンを発行していて、そのコストがかかっています。
コストデメリット<パフォーマンスメリット、になっているでしょうか。
今回の件は1通あたりの利益金額から計算すると1年で回収できる見込みでした。ですが、リピート率の低い商品だとデメリットの方が大きくなり利益が減る可能性があるので、クーポンの金額を調整するなどの注意が必要です。

まとめると
・パフォーマンスはLINE公式のほうが優れていました
・特にクリック率で3倍ほどの数字がでるなど大きな差がありました
・ですが、クーポンなどのプレゼントが無いと登録数が伸びません
・クーポン費用によってマイナスになるケースもあるので注意が必要です




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