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面白い、けどno.1は…【コンフィデンスマンJP英雄編】感想と古沢さんの魅力

脚本家・古沢さんが好きで、ドラマ「リーガルハイ」に「デート」、映画「キサラギ」など見たほか、相棒シリーズの古沢さんのだけ探して見たこともあります。この人は本当に天才ですね。いまチェックしたら映画「探偵はBARにいる」も書いてたとか。知らなかった…こんど見てみよう。

当シリーズの放送時は実は見てないけれど、再放送でドはまりしました。昨年末に映画に合わせた再放送がまたしてもあったため、何回も何回も見てます。ダー子は理想の女性です。長澤まさみはじめ、俳優さんたちの演技も好き。

英雄編、ぜったい行く。

と決めて公開間もなくいってきました。ここからネタバレあり。


いつもと違う感じに「うーん」

今回の舞台はイタリア・マルタ島ということで、全体を通してカッコイイ! そして華やかな雰囲気でした。これぞ映画、という感じ。

あらすじなど詳細は公式情報に譲るとして、いつものコン・ゲームとはちょっと違うストーリー展開でした。いつもだったら、オサカナを吊り上げるための具体的な行動だったり作戦が展開されるところ、今回は英雄・ツチノコの話を軸にしながら、お宝の彫刻「踊るビーナス」を巡る争いが進んでいきます。

(この「踊るビーナス」、生田絵梨花演じる富豪の妻に似ているので、何か伏線があるのかと思いました)

いつもだったら最後のネタバラシに集約させている「ダー子の場合」「ぼくちゃんの場合」「リチャードの場合」という時系列と主役が一時入れ替わるシーンが、今回は途中で挟まれます。

流れがブツっと切れると同時に客席でわたしの集中力もブツっと切れて我に返ることが何度かありました。ネタバラシだとドキドキワクワクがあるのですが、まだ騙している途中でいきなり「数か月前」に飛ぶので、せっかく「ここから盛り上がりそう」と思ったらゼロに戻るような感じでした。膨らみかけた風船がしぼむような。

このようないつもと一味違う展開が好き嫌い別れそうです。大前提として面白いとは思いつつ、わたしはいつもの感じの方が好きかな。

あとストーリー展開とは別に、「なぜいまこの場所にこの人が?」「この場面転換はどゆこと?」というところもありました(わたしの頭が追い付いていってないだけ?)。もちろん、最後まで見るといつも通り「なるほど」と思わされるけれど、比較的、伏線としては弱いかなという印象です。

あとはどこかで誰かが書いているのを見ましたが、最後一気に伏線回収する際にいつもより駆け足というか粗いというのに一票。

このような諸々を総合的に見ると、私の中でNo1、2は過去作品だとロマンス編とか、ドラマ第1話みたいなのでしょうか。今作は「〇番目に好き」というよりは番外編のような感じです。

でもやっぱいいよね

マイナスポイントばかり書いてすみません。ただやはり、映画館の大きなスクリーンで見るにふさわしい映画です。本シリーズは頭脳戦がメインであるため、自宅のテレビで十分ですが、本作に関しては、美しい街並みや海、派手なアクションはさすが映画館ならではでした。

また、一部の伏線回収は別として、ラストのネタバレターンにおけるメイン=オサカナの話は濃いです。オサカナさんの狂気に満ちた演技は見ごたえありました。近頃はテレビを見ない私が見ている数少ない番組の出演者で、普段の感じとギャップが大きすぎるのと相まって楽しめました。

あとは、なんだかんだいって「そうくるか」というのもあります。わたしの場合はアレコレ詮索はしない方なので、毎回素直にびっくりする方です。しかし、謎解きを楽しみにしている人もいることでしょう。そのため、オサカナやコネコちゃんについておおよその見当はつく人も多いでしょうが、それでも意外な人の意外なかかわり方に多少は驚くかと思います。

古沢さん真骨頂「英雄とは?」の問い

映画タイトルでもある「英雄」とは何なのか?

古沢さん脚本の魅力の1つは、ちょっとした哲学的要素のような、人生の問いのようなものを含んでいることです。

本作ではマルタ島の華やかな舞台と素朴な日本の古い家の縁側で行われるただの会話劇が対照的です。静と動で際立っていますし、軽い会話に見えてここに物語で伝えたいことの全てが含まれています。この会話を立証するためのオマケがマルタ島でのドタバタなんですね。ストーリー展開としても、テーマ性としても。

舞台が華やかな場所であろうと、ド派手なアクションてんこ盛りになろうと、話の軸が”人をだます”コンゲームであろうと、そこには一貫したテーマがあります。古沢さんのすごいところってこういうところなのかもしれません。ショック療法的なエンタメではないからこそ、人の心に残る作品になるのではないでしょうか。

また、別のブログにも書いたのですが、古沢さんの脚本は細かいところも描写されています。些細な動作をさせることでその人の人柄を表すようなこともしてるんですよね。そういうのは1回見ただけじゃ気づかないけど、何度も見ると新しい発見があったりします。その辺は、テレビ放映かオンラインかdvdで見る時のお楽しみということで。

本作の表面的な面白さとは別に、やっぱり一見の価値がある作品でした。

令和のルパンシリーズ 次回作も期待

本シリーズは寅さんかルパンか、そんな感じで末永く続いてほしいものです。CMでは「最後のコンゲーム」みたいなことを言いつつそうでもない感じですし、公式で最後とは言ってないので続けてくれるのでしょう。願わくば2ndシリーズかスペシャルドラマを希望します。

ただ、いまやオサカナをだますよりも視聴者をだますネタを考えるのが難しそうですね。古沢さんや関係者の皆さんは大変でしょうが応援してます。

そういや、いま古畑任三郎シリーズのコレクション?が販売されてますが、平成を代表する喜劇脚本家が三谷幸喜さんなら、令和(平成もだけど)は古沢さんで決まりです。数十年後に古沢シリーズが並ぶに違いない。

…と思っているのは私だけではないはず☆



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