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SEOの将来性と市場価値

採用候補者との面談や各所からのヒアリングやインタビューで頻繁に聞かれる質問の一つが「SEOの将来性」についてです。

生成AIも登場し、3年に一回くらい言われている「SEOオワコン説」が直近でもにわかに出始めています。

ただ、SEOの将来性はまだまだ明るい(なんなら直近も市場が伸び続けている)と思っていますし、SEOのプレイヤーの市場価値は今後も伸び続けるはずです。

このnoteでは、SEOの将来性とSEOプレイヤーの市場価値について、私個人として思うところを述べていきます。

SEOの将来性

私は、SEOの市場は、今後も伸び続け、先行きは明るいと考えています。

市況感として、下記の2つが起きています。

  1. 企業の広告宣伝費がTVや雑誌などのマスコミ媒体からインターネットに流れ続けている

  2. インターネットの広告宣伝費が、デジタル広告からSEOへかなりシフトしてきている

1は、どこでも言われていることなので割愛しますが、今後もインターネット広告やWebマーケティングの市場は伸び続けるでしょう。

2については、デジタル広告の民主化が起きたことで、より多くのプレイヤーが参入してきた結果、デジタル広告の入札単価が高騰し、デジタル広告に頼りきった集客が難しくなってきたことに起因しています。

デジタル広告のクリック単価が高騰
参考:https://www.digitalcommerce360.com/article/merkle-quarterly-digital-marketing-report/

デジタル広告とSEOの違いとして、SEOが中長期的な資産となり、将来的に無料で集客し続けてくれるチャネルになる点があり、デジタル広告の入札単価が高騰し投資金額が膨らみ続ける時代において、SEOの価値がより明確に認識され始めてきました。

SEOと運用型広告の違い
参考:https://lany.co.jp/blog/enterprise-seo/

今後も引き続き、デジタル広告の入札単価は高騰していくと予想しております。というのも、生成AIがテキストも画像も高品質で生成できる時代になってきているため、これまで代理店が秘伝のタレとして持っていたノウハウや高頻度でPDCAを回し続けるオペレーションの価値が薄まり、よりインハウスでデジタル広告に参入する企業が増えるためです。

また、代理店に20%の運用費を支払う必要もなくなれば、その分入札単価もより攻めることができるため、デジタル広告の入札競争はより激化していくでしょう。

そうなったときに、すべての企業がデジタル広告だけを頼りに集客をし続けることは難しくなるはずです。

また、デジタル広告は、予算を止めれば、その瞬間からゼロ集客になります。

その特性を頭では分かっていてもなかなか実感しづらいものですが、コロナ禍で広告宣伝費を大幅にカット、もしくは、ストップした企業は、痛みを伴いながらその性質を痛感しました。

コロナ禍でデジタル広告の重要度が再認識された
参考:https://twitter.com/semrush/status/1461310729433321477

人件費を削るか広告宣伝費を削るかの2択では、日本企業は広告宣伝費を削ることを選択します。その際に、デジタル広告一本足打法で集客を得ていた企業は、事業が立ち行かなくなるほどダメージを食います。

そのタイミングで、過去からSEOに中長期的に投資をしてきた企業は、広告宣伝費を止めても集客が止まることはなく、コロナ禍を乗り越える体力があったとも言えます。

そんな市況感もあり、コロナ後にSEOコンサルティング業界への発注が殺到しており、直近でもSEOコンサルティングを提供する何社もの企業がIPOを達成しております(IPOについては昔から準備していたかと思うので一概に市況感のおかげではないですが。)

コロナによってSEOの重要性が再認識され、SEOに予算が流れているこの状況は、今後数年は続くと予想しています。

また、直近の生成AIの登場によって何か市場環境に大きな変化があったかでいうと、現時点ではほとんどありません。

LANYでも数多くのお客様をご支援させていただいておりますが、SEO経由での検索流入が減っているお客様もいなければ、SEOコンサルティングの依頼が減るような状況もありません。事実としても、我々はほぼ毎月増収増益を続けています。

個人的な意見となりますが、生成AIがさらに市場を占有するようになったとしても、人々の「検索」という行動がなくなることはないと考えます。

あくまでも「使い分け」が起きていくだけであり、探索的な検索という情報収集の形態がなくなるとは思えません。

そうなれば、SEOは永遠に残り続けると思いますし、生成AIとどう住み分けていくのか、生成AIをどのように活用してさらにSEO(もしくは事業)を伸ばしていくのかという新しい論点を解いていくような状況に変わるでしょう。

検索という行動がなくならない限りSEOは残り続けると思いますし、この後にお伝えさせていただくように、SEO担当者が "本質的に行っていること" を考えれば、極論無くなったとしても、市場価値の高いプレイヤーとしてあり続けられると考えています。

まとまりのない話になりましたが、このような状況から、SEOの市場はアツいかつ、今後も伸び続けると信じています。

SEOプレイヤーの市場価値

今後のSEOプレイヤーの市場価値がどうなっていくのかについて個人的な見解を述べたいと思います。

前提、私は下記のように強く思っています。

  • SEOプレイヤーの市場価値は、低く見積もられ過ぎている

  • 今後のSEOプレイヤーの価値は、より高くなっていく

まず、SEOプレイヤーの市場価値は、低く見積もられ過ぎていると考えています。

前提として、SEOプレイヤーが行っている業務は、時代とともに大きく変化してきました。

かつては、SEOのメイン業務は、「被リンク対策」「Webサイトのお作法の実装」などだったと思います。その業務が時代の流れとともに変化してきており、現在ではSEOの仕事は、「プロダクト開発」や「プロダクトマネジメント」に近い仕事になってきたと思っています。

私自身は2018年からSEO業界へ参入したので、過去のSEOへの解像度が高くないのですが、各所で出会う方々のSEOへのイメージが「職人技」「裏技」のようなものな場合が多いです。

しかしながら、SEOもデジタル広告同様に民主化してきており、SEO会社しか知らないようなノウハウはほぼ無くなっていますし、過去のように被リンクを貼っておけばSEOで勝てる、といった単純なものではなくなってきました。

また、WordPress等のCMSの浸透で、最低限のSEO対策のなされたWebサイトの構築や運用はもはや意識せずとも誰にでもできるようになりました。

そんな状況の中でSEOプレイヤーが担う仕事は、かつてのように「情報の非対称性」を用いたノウハウの提供ではなくなっています。SEOで成果を出すためには、サービス・プロダクトをよりよくするために本質的なプロダクト改善をする仕事になってきています。

このように、SEOプレイヤーが行うべき業務内容は数年前とは大きく変わっている事実があります。

また、SEOがプロダクト開発やプロダクトマネジメントに近い仕事になってきていると述べましたが、私自身、数千万ページを保有する大規模サイトのSEO担当者としてキャリアをスタートしたのですが、その規模でもSEO担当者はほぼ1人というケースも多いです。

しかしながら、SEOの流入シェアはそのサイトの50%程度と、影響度はかなり大きかったりもします。一つの施策でサイト全体の流入数を10%も20%も引き上げ、P/Lに大きな影響を与え得るチャネルを、1人のSEO担当者が何を行うかを決定し、複数名の開発や営業、その他諸々の方々を巻き込んで推進していくような形です。

また、よく考えるのが、SEOが担うKPIはマーケティングの指標(広告宣伝費から予算が降りて、その中でマーケティングの部署として獲得すべき目標値を達成していく)ではあるものの、実行する内容は開発施策が多くなる特性上、マーケと開発の両方に圧倒的に明るくなければ成果が出せません。

しかも、SEOが民主化した現在では、どのサイトもベストプラクティスが実装されているため、HTMLをこのようにマークアップしよう、被リンクをつけよう、記事をたくさん書こう、などの単純な施策では成果は出ません。

アドホックに分析を積み重ね、適切な課題設定と戦略立案及び戦術策定を行い、開発や営業など他部署の人間を巻き込みながら推進するプロマネ力や開発ディレクション能力までもが求められます。

SEO施策で巻き込む必要がある人

それらの重要な仕事を大規模サイトであってもある程度1人の担当者が司令塔となって動かしていくことになるため、難易度もストレスおよびプレッシャーも非常にかかります。

プロダクトのSEOに関する話が多くなってしまいましたが、コンテンツSEOであっても「高品質な記事を書く」だけでは、全く成果が出なくなってきている時代です。

サイトとしてどのようにテーマ性を高めていくのか、コンテンツだけでなくプロダクトとしてのサイトにしていくにはどうすれば良いのかといった、より大きな視座で考える必要も出てきており、難易度は非常に高いです。

それにも関わらず、SEOプレイヤーの市場価値が低く見積もられている気がしているため、私としては非常に遺憾です。そして、SEO業界をリードしていきたい気概がある我々LANYとしては、この状況を大きく変えていきたいです。

また、今後のSEOプレイヤーの市場価値はより高くなっていくと考えています。本質的には、本当に成果の出せるSEOプレイヤーが少なくなってくるため、少数のSEOプレイヤーの価値が高まり、大多数のSEOプレイヤーの価値が低くなるのが本質的な部分であると捉えています。

エンジニアリングの世界でも、スーパーエンジニア一人を1億円で雇った方が、通常のエンジニア10人を1,000万円で雇うよりも成果が出ると言われていますが、SEO業界でもどんどんその状態に近づくはずです。

SEOの民主化が進み、世の中にSEOのベストプラクティスを誰もが理解していたり、生成AIによって、より効率的かつ生産的に施策の検討や実行ができる世界では、ラストワンマイルのSEO改善ができるプレイヤーでなければ成果を出すことが難しくなるでしょう。

逆に言えば、簡単に成果を出すことができない世界では、成果の出せるプレイヤーになっておくことで、需要が一極集中し、より大きな旨みが得られるでしょう。

そして、SEOの仕事がプロダクト開発やプロダクトマネジメントに近づいていると述べましたが、その傾向もあり、SEOを軸にキャリアを築くことが最終的にはプロダクト全体を見るような仕事やプロダクトを作る仕事に繋がりやすいです。

最近だと、中国のファッションECのSheinの創業者がSEOエンジニア出身であることが話題でしたが、SEOプレイヤー出身で事業開発やプロダクト開発に進むキャリアは描きやすいです。

熱くなってしまいまとまりのない話になってしまったかもしれませんが、結論、SEOの需要は今後もなくならないと思っていますし、よりSEOプレイヤーの市場価値は高まっていくと強く信じています。

最後にはなりますが、一緒にSEOプレイヤーとしてより強くなっていきたい方がいらっしゃれば、LANYで一緒に働きませんか?

下記に採用サイトもありますので、ぜひ少しでも興味を持っていただけた方がいたらカジュアル面談でもご応募でもお気軽にお声がけください!


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