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♠うれっそうな外科医♠(後編)

 病院は勤め先の近所だったので、先に職場によって事情を話し、仕事の引き継ぎをしてから、来院した。

 朝一8時半に行ったのに、いろいろな検査を受け、まずは内科へ、ドクターの説明によれば、内科治療レベルではないらしい!手術になるようだ。この時点で15時!

 続きまして、外科へ、なかなか呼ばれない!もう患者さんは
いないはずなのに、もう17時になろうとしているのに、呼ばれない!

 17時を過ぎたころやっと呼ばれた。
 若いドクターは「すぐにでも胆のう摘出手術をしましょう❗」開口一番、
ニコニコしながら私と同行した家内に言った。
 
 「一日待ってください!」あまりに急な通告だったので、手術なんかしたことなかったし、怖じ気づいて、そう言ってしまったが、家内もドクターも ナースも何?という顔でコチラを見ていた。

 「すぐと言っても執刀は明日の午前中ですから」と若いドクターは子供に言うような感じで、ニコニコしながら言ってくれた。何か、嬉しそうにみえる。

 ナースが事務員さんと何か話している。どうやら病室が空いていないようだ!若いドクターが、今度はニヤニヤしながら「ラッキーなお知らせがあります。なんと今、個室しか空いてません。4人部屋料金で、ホテルのような個室に入院できるチャンスですよ!手術しましょうね!」
 私はうなずいた。何かラッキー。

 個室は確かにホテルのようだった。
 
 それからドクターより手術の説明があり、腹腔鏡手術とかいうやり方で、へそから胆のうを取り出すらしい。よく解らなかったが、「お任せします。」と返答した。 
 続いて入ってこられたのは、麻酔科医で淡々と明日の全身麻酔の説明があった。このドクターはニコニコドクターと正反対で、にこりともしない!
 全身麻酔って本当に意識がないのかなど、何かわくわくしてきた。

 今度は看護師さん、下剤や浣腸やら、そしてまた別の看護師さん、
またまた別の看護師さんと、なんともアワタダシイ。
 痛みが全く無い状況なので、話を聞く余裕はあった。20時を過ぎている。
 
 入院するつもりではなかったので、家内は明日の朝持っくる入院グッズの準備の為、20時で家に帰った。
 私も寝る事にした。しかし、あの若い外科医は、何であんなに楽しそうに。嬉しそうにしていたんだろう?

 朝8時、家内に起こされた。下剤のせいで、夜中に何度も目が覚めた。    トイレとシャワーまで部屋にあるのが本当にに嬉しかった。
 昨日と違う看護師さんが入って来て、「10時から始めます。便は出ましたか?」 あと手術用ふんどしを着けるようにと手渡された。

 9時になって、ナースが検診に来る。❲今さらだが私の中では、上下白のズボン姿の方が看護師さんで、ピンクやブルーのスカートタイプの方がナースと使い分けている。❳

 続いて、ニコニコドクターも調子を見に来た。昨日にもまして、嬉しそうにみえる。

 時間が来た。ナースに付き添われて手術室のフロアーに行く!何か独特な空気を感じる。
 手術室の自動ドアが静かに開き、思ったより広い部屋に10人くらいは居たと思う。
 手術台に寝っ転がって、注射を打たれ、カラス型マスクを鼻口を覆われた、、、まででこの先は全くわからない。
 
 気がついた時、無事に手術は終わっており、家内が何かをカメラで撮影していた。もうろうとした意識だが、それはハッキリ覚えている。

 完全に目が覚めたのは14時で、ニコニコドクターが様子を見に来て、
「奥さんに、見せてもらいましたか?」と満面の笑みで尋ねて来た!
 家内がまだだと伝えると、「た ん の う 観といてくださいね❗あれはアートですよ!」 「へ?」

 家内にあとでさっきカメラのいきさつを尋ねた。
 
 これを聞いて嬉しそうなニコニコドクターの笑顔の謎がとけた!

 家内の説明によれば、手術を終えたドクターが家内に、「カッチカチなんですよ。こんなの初めて観ました!胆石の数も、ちょっと見ます〰️?」
と、お宝を堀当てた感じだったらしい。撮影も快く承諾してくれたらしい。
 
 数日後、診察室にて、パソコン画面に写された画像は大きい方から順番に
キレイにコレクションされたエメラルドのような私の胆のうと胆石だった!

      「アートですよ!」

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