阪神ファンとは何者でしょうか？

　昨日、５年ぶりにプロ野球を観戦しに球場へ足を運んだ。もちろん阪神タイガースの試合を見に。５年前は京セラドームで、今回は聖地甲子園球場である。知り合いからチケットを２枚もらったのだが、急だったので、亡くなった家内も阪神が好きだったこともあり、遺影を持って結局１人で行った。

　甲子園は何年ぶりだったか忘れてしまうぶりくらいで、今回は初めての外野席しかもライトスタンド。きっつそうである。

　何がきついかは後で説明するが、甲子園球場はいろんな顔を持っている。
　
　高校野球の時はさわやかな球場だし、一度知り合いが出ていたシニアの大会では河川敷のんびりした球場に見えるし、ミュージシャンのライブになるとまた別の場所に映る。阪神戦の試合となれば急に地獄の球場と表現してしまうというのが私の見解である。

　今回は興味のない方も多いと思うので野球の話ではなく阪神ファンについて書こうと思う。

　阪神ファンは今や巨人ファンよりも多いと聞く。全国各地に阪神ファンはいるが、なかでも地元関西のファンのくせの強さは聞いたこともあるだろうと思う。特に偏見かもしれないが大阪の方々は強烈で、それを今日、目の当たりにしたので、このことを書きたくなった。

　さかのぼること５０年前くらい私が小学２年生の頃、幼なじみのお父さんに連れて行ってもらったのが最初で、その時の印象はとにかく怖くて、早く帰りたっかた。現在のような女性ファンはほとんどおらず、おっさんの、それも酔ったおっさんのかたまりだった。試合を観戦するというよりも、日々のうっぷんを選手たちへの野次やファン同士のけんか、グラウンド内へのものの投げ込みではらしているようで本当に怖かった。友人の父親もビールをのみほした紙コップの底を器用に、くり抜きそれをメガホンにして私に手渡し、なんか言うたれと強要してくる。私が首を振ると、後ろにいたべろべろの赤鬼にメガホンを奪い取られ、「貸してみい、わしが言うたら」となにやら、選手に向かってフェンスに張り付いて野次ってるところを警備員数人に連れられて、放り出されていた記憶がある。

　あれから５０年、かつてのタイガース色は鳴りを潜め、リニューアルされた球場はLEDを駆使し清潔感のある現代的なイルミネーションが多彩な、カップルでも女性同士でも安心して試合を観戦出来るいい感じのスポットになっている。とりわけトイレは見違えるように綺麗に女性用トイレも多く設置されている。１０年くらい前とは全く違う、あの入った瞬間吐きそうなくらい臭かった、ハエが飛び回っている印象のあのトイレが。しかし########

　外野席でおそらく年間シートを契約している方たちは皆顔馴染みみたいで、お茶の間にいるかのようなくつろぎっぷりで、まるで我が家でテレビをみているかのようで、最初からアクセル全開のおばはんとその家来たちが私の席に荷物を置いて、試合開始30分前にはすっかり出来上がって感じで、全身ピンクでしかも刺繡ワッペンと選手の缶バッチでコーディネイトされたその独特のコスチュームは下品極まりない。

　自分の席だとアピールすると「ごめんなー、ここいっつも空席やから、どうせ今日もやと思て」「一人やったらココはええねー。」家内の遺影を置こうとしてることをとても言い出せず一人荷物を足元に置きおとなしく見ようと決めた。
　ピンクタイガーおばはんは、ほとんど席に座らず椅子の上に立って、巻き舌で、エラーした選手に対して、「こるらあ～～～、おのれえ～～、何さるらしとんねん！！」なんて下品な、話してるのを聞く限り、試合が始まって10分しかたってないのに　すでにビール、酎ハイ合わせて7杯飲んでるみたいだ。このすっかり「できあがってる」おばはんとそれを見守るおっさん達
なぜか、すぐに彼女たちグループのあだ名が降ってきた。＜ピンキーとキラーズ＞なんてピッタリなんだと思った。このピンキーはじっとしていない。
どこか、知り合いがいたらその席の近くの空席を勝手に使用してべしゃくり倒しては、別の席へ、それを繰り返し、また繰り返し。という風に。昔の酔った赤鬼がレディースに変わっただけで、友人曰く、阪神が嫌いなわけではなく、阪神ファンが嫌いなんやと。
　確かにマナーの悪そうな50代、60代が私の付近にいることに気づいた。20代のヤンキーたちがそのスタイルを貫き通して30年以上、自分たちの年齢も忘れて、当時のままの振る舞いは見ていて、すごく複雑で物悲しさを感じた。
　昨日の試合は勝ったからよかったものの。
　でも確実に昔ヤンキーたちの数は減ってきている。球団が求めているファンの姿になるのも、そう遠くはないように思う。

　私は試合が終わるとさっと帰路に就いた。帰る前にトイレに入ると
「オエッツ、オウエッツウウ、ウオウェ～～～」吐きまくってる。何しに来たんだろうか？？？

　阪神ファンとは無縁の方から見れば私も迷惑な者で、帰りの電車はとにかく込み合う通勤ラッシュ並みになる。遅延もある。野球とは関係のない方々に、すみませんという気持ちをもって。せめてもの。