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*SOFU TO SOFU (そふとソフ)*

  父方、母方それぞれの父親、私にとっては二人の祖父。約30年~40年前に二人共、大往生したが、孫達つまり私のいとこにあたる人たちにとっては各々のキャラのインパクトの強さから ずーっと記憶に残る、見た目でいうと父方の祖父は仙人で、白髪交じりの髪は背中が半分隠れるほどのロン毛で、あごひげが胸の辺りまであった。一方、母方の祖父はどこかの偉い和尚様のようでつるっぱげでべっ甲ぶちの眼鏡をかけていた。

 彼らの幼少期の頃は誰も詳しくは知らないが、本人や親、親戚の人達から聞いた話を整理すると、一見、対照的な二人だが、どこか通じるところがあるように思う。

 見た目は全く対照的なのは先ほど書いたが、生き様もそれぞれで、父方の祖父は職を転々としてそのうえ、家族引き連れブラジルに行き、帰国してからは田舎の自宅でカイコの養殖を始めたり、50歳で画家になったりと、好き放題に人生を謳歌したと思うが、「男のロマン」という感じがしてちょっぴりうらやましい。

 母方の祖父の職は警察官で田舎の署長まで勤め上げた堅物で厳しい人だったが、早期退職でいただいた退職金を使って田舎から都会の店舗付き住宅を購入し、貸本屋を始めたのも50歳過ぎのことで、しかも家族には内緒だったようだ。こちらも好き勝手なことをしている生き様にちょっぴり憧れを感じる。

 しかし、2人の行動を黙って支え続けたそれぞれの奥さん、つまり私のおばあちゃんたちが本当に偉いと頭が下がる。
 
 そういう私も、二人を足したような生き方をしていると気付いた。定年前にずっと続けてきた菓子職人を辞め、(これは母祖父で)田舎暮らしを始めた。(ブラジルではなく四国だが。これは父祖父)
 理由は何であれ、街に帰ってきて、芸術家として生きていこうとしている自分がここにいる。(これは両祖父)こうして考えてみると、ある意味両祖父に負けないくらい好き放題、やりたい放題な気がしてきた。その分、亡き家内には苦労かけたと思うが、、、、、、

 話を戻す。父祖父はとにかく器用で芸術面にもたけていた。性格は気が短くけんかっ早かったように聞いている。一方、母祖父は不器用で芸術センスのかけらもないが頭は良く何でも知っているという印象だった。温厚で真面目で優しかったがルールには厳しかった。

 父が養子だったので、私は母方の家で育った為、父祖父のことはあまりわからないが、遺伝について考えると孫たちはそれぞれ出し、私と兄も全く違う。
  
 兄は不器用だが、勉強はできた。英語の教師として定年まで勤め上げた。
ただ芸術センスはなく、人物を描くと皆口がタコチュウみたいで、アメトークの絵心ない芸人レベルである。きっと、母祖父の血が濃いのだろうと思う。
 私の場合、今は右手が不自由だがそれでも器用な方だと思う。勉強はできないわけではないが、高校時代にテストで33点を狙うなど(私のエッセイ『33 サーティースリー』を参照してください。)ロクなことを考えない。
 芸術センスはある方だと思うので、多分、父祖父の血が濃いのだろうと思うが。

 現在の両親を見ていてふと思う。二人のどこを私は受け継いだのだろうかと...んーーーーッ!!

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