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フジロック2021から帰宅して

フジロックの前2日に参加して先程帰宅しました。SNSでは有観客での開催について、感染症対策の在り方についてさまざまな意見が飛び交っている状況について、参加者である僕の体験と考えを気持ちが冷めないうちに文章にしたいと思います。

行こうと思ったことについて

僕にとっての自粛生活の弊害はゆっくりゆっくりと進行してきたので気付かぬうちに心が運動不足を起こしていました。サブスクで音楽は聴けるし配信ライブがあるし、最近はライブハウスでも感染対策をしっかりとしてライブをやってます。十分ではないけど死ぬわけじゃない。そんな状態でしたが、やはり活力は減り続けて日々のご飯や生活もどこか空虚でした。リモートワークでコミュニケーションも減り、いつの間にか本当の意味での笑顔も減っていました。運動不足の体と同様に感動不足の心が悲鳴をあげていたのです。そんな中でフジロックの開催が発表されました。フジロックは僕が本当に自由に解放される場所です。美しい自然や芸術や音楽や文化を鑑賞して心を大いに動かすことのできるかけがえのない場所です。

夏フェスと聞けば頭空っぽのパリピが馬鹿騒ぎして出会った男女が一夏のワンナイトラブでしっぽりハメハメする全日本おばか天下一武道会と想像されることでしょうが、僕にとってフジロックはフェスというよりは美術館に近い位置付けです。そこに行くことで未だ知らない音楽や芸術、文化や考えに触れるられる偶発的な美との出会いがあり、そうして自分が知り得なかったものと出会い認識することで視点を高いところに上げて視野を広げるきっかけをくれる場所。故にこのコロナ禍で僕の苦境を救えるのはフジロックしかないと思いましたし、フジロック以外のフェスだったなら参加していなかっただろうと思います。フジロックならこの社会の状況に何か導きを示してくれるかもしれないという期待もありました。

オリンピックに反対していてフジロックに参加するというのはなんとも虫がいい、矛盾した行動だということは自覚していました。それでも、心が飢えて死にそうだったんです。

会場の感染症対策について

実際に現地で過ごしてみて、素直に感じたことです。

来場者を大幅に減らしていることはトイレに行列ができないことから実感できました。入場時の検温とアルコールはもちろんとして、今回は酒類の提供持ち込みの禁止でした。会場とキャンプサイトでの手荷物検査でもチェックしており、会場でも酒を飲んでいる人はいないようでした。ステージでの公演前にはMCがマスクなどの対策の徹底を呼びかけ、セキュリティスタッフが歩き回って取り締まりをしていました。話は前後しますが、来場者には抗原検査を呼びかけ、専用アプリに体温と身元の登録も実施していました。これらのことからも国のガイドラインに沿って開催されていることはよくわかりました。

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SNSで取り上げられたフロントエリアの密についてですが、足元には写真のように1m間隔で印が付いていて観客同士が密にならないようにしていました。これはガイドラインに記載されている距離です。

https://www.jame.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2020/10/covid-19_guideline_20201008.pdf

本当に全員がこの印の上にいたかと言われれば肯定はできません。僕はグリーンステージのフロントには行っていないので本当のところはわかりません。しかしホワイトステージやレッドマーキーではできるだけ距離を取り、近すぎる人がいたら互いに注意しあう光景を目にしました。このフェスを安全に乗り切ろうと貢献する参加者がいたことも事実として受け止めていただきたい。

ただ個人的にはこの印はもっと広くしてほしかったというのが本音です。ガイドラインに則ってると言ってもやはり「近いな」という実感はあり不安にはなりましたし、側から見れば密に見える距離感でした。1.5mにしていたら印象は違ったかもしれません。これはフロントエリアの収容人数との兼ね合いがあって、溢れた人がその周りに群がる可能性があるので一概には言えないのかもしれませんが。

個人的にはステージよりもフードエリアでの飲食店待ち行列や話しながらの食事の方が感染リスクがあるかもしれないと思いました。フェスなのでやはり友人と会話しながらご飯を食べたい気持ちはよくわかりますが、マスクを外す時がもっとも危険です。感染するとしたらここだろうなと思いました。僕は1人で参加してたのもあって黙食をしていましたし、できるだけ他人と距離をとるようにもしていました。食べ終わればすぐにマスクをつけましたし、ゴムが伸びて顔にフィットしなくなれば新しいものに交換することもしました。こまめな手洗いなど個人でできる対策はしたつもりだ。

もう一つあげれば1日の演目が終わった後の風呂場も感染リスクが心配でした。食事と同様にマスクを外す場所であるからです。僕は苗場プリンスホテルの内湯を利用しましたが、タイミングがよかったのか幸い混んでおらず密ではなかったですが、混んだ時はどのような対応をするのか気になりました。入場規制などあるのでしょうか?キャンプサイトにある無料シャワーはどうだったのでしょうか。

最後に、僕の実感では参加者の99%はマスクをちゃんとつけてましたが、1%はずらしていたり鼻だけ出していたりする人もいました。暑かったりメガネが曇るなどそれぞれ理由はあるでしょうがいずれにしても残念なことだと思いました。そう言った行動がこのフェスの立ち位置さえ危うくしてしまうことに配慮してほしかった。スタッフも人員が限られているとは思うが、ステージだけでなくフードエリアやキャンプサイトでも見回りして声かけをするなどして感染症対策を徹底していただきたかったと1参加者目線では思う。参加者の自主自立を重んじるフジロックのカルチャーは大好きだけれども、状況は人命の生死に関わるので、もう一歩踏み込むべきだったんじゃないかと僕は思う。

とはいえ、対策については結果を見なくてはなんとも言えない。参加者もスタッフも演者も誰も感染していないことを祈るほかない。

フジロック2021

昨年が中止となり、2年ぶりとなったフジロックだったが、やっぱりこのフェスが必要なんだと再確認したのだった。

今年3日間のトップバッターとして登場したKOTORI。we are the music. we are the future. と歌う様と歌声で、どれほど希望を感じたことか。ああそうだ僕は未来に向かって生きていくためにここにきたんだと確認して目から涙が溢れた。グリーンステージで草むらに座って聴いたくるりの奇跡。お互いに見張り合うような生活が早く終わってほしい。坂本慎太郎が歌う通り、この日々にはトキメキが足りないんだ。サンボマスターは僕たちは間違ってないと言ってくれた。誰も間違ってないんだと思う。

2020年の音楽フェス市場が98%消失していたという衝撃的なニュースがありました。フジロックをはじめ、ライジングサン、大作戦、ロッキン、ラブシャなどの音楽フェスが軒並み中止となった結果がこれだった。

誰も死んでほしくないし誰も不幸になってほしくない。みんなで幸せになる方法を探したい。フジロックに行った人と行ってない人で石を投げ合うんじゃなく、開催者側の事情、参加者の事情、医療関係の事情、色々理解しあってこれからどうするかを考えていきたいと思ったのでした。みんな望むのはコロナ禍の収束とのびのびできる日々を取り戻すことだ。

僕はひとまず、向こう2週間は外出を控えてなるべく誰とも接触せずに経過観察をしようと思います。



(ここは穿った意見なので読まないでいいです)本来、みんなで幸せになる方法を探すのが政治の役割だと思う。イベントエンタメ業界、飲食業界の困窮を置いておいてオリンピックを開催してワクチン接種が遅れている状況はやはり納得が行かず、こうして困窮の末にフジロックが開催されて騒動になるのは政治の責任だと僕は思う。



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