カスタマーサクセス(CSM)の役割をフェーズ毎に分業化して、半年経過。良かったことと今後の構想をまとめてみる
私はだれ?
不動産会社向けのクラウドサービス(SaaS)を提供している会社、イタンジ株式会社という会社で、CS(カスタマーサポート/カスタマーサクセス)をやっています。
僕はノマドクラウドというサービスの担当で、ノマドクラウドは不動産会社向けの顧客管理&営業支援のシステムになります。
また、業務範囲は結構広く、色々やっています。
・オンボーディング
・導入後のフォロー(アダプション)
・問合せ対応(サポート)
・事例作成
・各種コンテンツ作成
・CS OPS 的なこと
2020年9月頃にCSMをフェーズ毎に2チームに分離
2020年9月あたりに、CSMの分業化についてnoteを1本書きました。
それまでは以下のように1人のCSMが導入から更新まで1人で行っていました。顧客の規模関係なく完全担当制で、ハイタッチ中心。
一方で、おかげさまで導入社数も増えてきたため、完全担当制が色々な面で辛くなってきました。。そこで、オンボチームとサクセスチームにCSMを分離することにしました。
分業化の狙いは大きく以下の通りです。
・属人体制の脱却
・より多くの顧客に対応できるようにする(キャパを増やす)
・それぞれの場所(チーム)で業務改善や施策を早く実行できるようにする
その後、半年経ったのですが、ある程度分業化して個人的にはめちゃくちゃ良かったと思っています。
詳細は後述しますが、それぞれのチームで改善が早く進むようになりましたし、チーム毎にKPIを設定したことで、やることも明確になりました。
備忘録も兼ねて、各チームでやったこと、分業化のメリット、そして、今後の方針ついて、簡単にまとめたいと思います。
思いつきで、ザクッと書いたので、誤字脱字はお許しくださいw
なお、大きく2つのチームに分けていますが、あくまで主要業務をがどれになるか、というように緩いチーム分けです。なので、場合によっては他のチームの業務も行ったりしています。(この少し緩い感じが個人的には良さそうだなと思っています。)
分業化してそれぞれのチームでやったこと
それぞれのチームの役割
それぞれのチームの役割を話しておきます。
【オンボチーム】
導入準備とサービスを使い始める際に必要な対応を行います。本業務がメインの業務となっていますが、他にも、お問い合わせ対応や業務に関する関連コンテンツの作成なども行っています。
【サクセスチーム】
利用開始の準備が整い、実際に利用開始ししたら(契約開始したら)オンボチームから顧客を引き継ぎます。
顧客がきちんとサービスを使えるようになるまで支援を行い、その後は3ヶ月に1度定期フォローを行い、更新の対応も行います。
チーム毎KPI設定
チームを分けましたので、チーム毎にKPIを設定しました。現状ボトルネック担っている部分や改善したい、今後進めていきたいことに対して、KPIを設定しています。
【オンボチーム】
[サポート対応に関するKPI]
1)問い合わせの初期対応時間
[オンボ業務に関するKPI]
2)申込み獲得から契約開始までの期間
3)セルフオンボード率
オンボ業務に関する2と3については、効率化に加えて、顧客満足度も上げられるように、少し工夫したつもりです。
これまで利用開始までに少し時間がかかってしまうこともあったので、早く進められるように(2)を設定しました。
一方で、効率化ばかり進めて、一方的に「はい、準備出来ました!後はマニュアル渡すからご自身で頑張ってね!」というスタンスだと、カスタマーサクセスにはもちろん繫がりません。
なので、きちんとお客様ご自身で利用開始できるようにコンテンツなどを充実させるために、セルフオンボード率というのを設定しました。セルフオンボード率とは、説明会などを実施せず、既存のコンテンツだけで利用開始までに至った顧客の割合です。効率化重視して変な方向に行かないように相反するようなKPI設定をした感じです。
【サクセスチーム】
1)チャーンレート
2)アップセル / クロスセルの件数(割合)
3)顧客満足度アンケートのスコア
サクセスチームでは、上記3つを設定しましたが、オンボチーム側の影響が多少なりとも出るKPIです。
とはいいつつ、そこはサクセスチームの頑張りどころなので、上記3点で置いています。(チャーンレートは部署全体で持っているので、オンボチームでも意識しています。)
2については、今回新たに設けた数値です。契約ベースのチャーンレートも1%を切っており、かなり低い数値を保てるようになりました。で、次は何をするか?と考えたときにNRRの向上だ!と思い、アップセル/クロスセルのKPIを設定しました。
NRRはこちらの記事が参考になります。
チーム毎の施策
では、次に各チームでやったことをザックリまとめていきます。細かいところを書くとかなりの量になりそうなので、ザックリと記載しますw
もっと細かいところを聞きたい方は、TwitterでDMプリーズ!
【オンボチーム】
・サービス説明 / 利用説明動画の刷新
以前は1社1社レクチャー会を行っていたのですが、最初は質問が出づらく、かつ、同じ内容での説明が多かったため、少し前にサービス説明/操作説明動画を作成しました。
しかし、長くて観られないこともあったため、動画を短くしたり、コンテンツを一部削りました。
・初期設定ガイドの刷新
これまでにも初期設定ガイドがあったのですが、初期に作ってそのままになっていました(あるあるw)。なので、このタイミングで設定ガイドを分かりやすくしたのと同時に、何故この設定が重要なのかの理由を記載し、きちんと設定してもらうようにしました。
・導入時のタスク管理シートの作成(スプレッドシート)
これまで、導入開始までにどんな流れで進んでいくのか顧客にみえていませんでした。また、作業をお願いするときにわざわざメールを書いていたのが非常に非効率だったため、やることをスプシに記載して、これをベースにコミュニケーションをとるようにしています。
「次、2-1をお願いします。」みたいなイメージですね。
そうすることで、今後の作業も分かるようになりますし、要領が良いと先に進めてくれる場合もあるようです。
・Zendeskのマクロ(定型文の自動挿入機能)を作りまくり、導入時のメールのやりとりを効率化
当社はZendeskを導入しています。通常、サポート対応ツールとして使うことが多いと思うのですが、うちのチームは顧客とのコミュニケーションは基本的に全てZendeskでやるようにしています。共有メーラー的な使い方って感じです。
Zendeskには定型文を作成する機能があるのですが、導入時にお客様に依頼するようなことをほとんどZendeskに登録し、サクッとメールを送れるようにしています。メールを書くのは本当に時間かかりますよね。。
・チームで導入進捗管理ができるようにトレロを導入
オンボチーム内で導入までのタスク管理ができるようにトレロを入れました。
【サクセスチーム】
・利活用促進の動画コンテンツの作成とブラッシュアップ
これまでは、ある程度基本機能が使えたタイミングで、さらに便利な機能の紹介やサービスをうまく使うためのポイントなどを話していました。これを動画にしたのですが、これも長くてイマイチ観られませんでした。。
そのため、動画で説明して良いところは動画にして、口頭でご説明した方が良いところは口頭で説明するようにするなど、色々工夫をしています。
・ハイカスタマーを導入して、設定状況や利活用度合いを可視化
カスタマーサクセス管理ツール HiCustomerを導入しました。これまではRedashという分析ツールを使って、顧客の利活用監視をしていたのですが、そろそろ限界を感じて、ハイカスタマーを導入しました。
ミーティング前やきちんと利用されているか監視するためにハイカスタマーを観るようにしています。
現在、少ない人数で導入対応しているのですが、利用店舗数としては1000を超えているため、このようなツールがないと導入しても一部の店舗が使っていない...という状況を把握するのはもう限界です。
今後は、アクション管理も行って、もっと活用していく予定です。
・テックタッチとロータッチのハイブリッド構成に
上記でも書いたのですが、現在、一部のレクチャーを動画にしています。しかし、「動画観てくださいね!」だと、観られない場合もあるため、何かコンテンツ閲覧を依頼したら、次回ミーティング時にきちんと確認したり、観られていない場合は口頭で説明しています。
・3ヶ月の電話定期フォロー時のオプションのご紹介
お客様にとって有益な新しいオプションや未提案のオプションがあれば、電話できちんとお話するようにしました。営業でめっちゃ売り込むというわけでなく「こういう効果があるオプションが〜」という感じで紹介しています。
で、やっぱり話すことは重要で、契約途中でのオプション追加は普通に増えました!
・他社事例等の資料作成と更新前のミーティングの実施
お客様に最新事例を共有したり、有益なオプションをきちんとご紹介できるように、更新前にミーティングをするようにし始めています。(全てのお客様にはまだできていない。。汗)
「ふーん...」と終わる時もあれば、話が膨らむ時もあり、きちんと
分業化した感想
このように分業化を行いましたが、本当に良いことばかりだったなと思っています!
メンバーに聞いたらちょっと違う反応が来るかもしれませんが、良い方向に進んでいるなと思っています。
明らかに改善が進むのが早くなりましたし、役割がきちんと明確になったことで、これまで個人の判断で、「この問合せ対応は後でいいか。。」みたいなことも無くなりましたので、お客様にも良い面が多かったのではないかと思っています。
一方で、最初から完全分業体制が良いのかは、なんとも言えないところですね。。
メリットを記載しようと思いましたが、ほぼ前の章で書き切ってしまいましたw
分業化のデメリットとデメリットに対する対策
分業化することで、多少なりともデメリットもあるかなと思っています。正直、分業前は、以下の懸念がありました。
1)途中で担当が変わってしまう(顧客からみたデメリット)
2)他のチームの業務が見えづらくなる
3)セクショナリズムが働き、関係値が悪くなる
ですので、上記3つについては、気にしながら進めています。
それぞれのポイントを以下にまとめてみます。
1)途中で担当が変わってしまう(顧客からみたデメリット)
顧客からすると担当が途中から変わるのは、どちらかというとネガティブな印象になるかと思います。特にすごく担当が良かったりすると、「あ、、別になるのか。。」みたいなイメージですね。
ですので、オンボチームでは、ミーティングなどは積極的に行わず、あえて関係値が深くなりすぎないようにしています。
メンバーの方からの提案でしたが、これは成功だったなと思っています。
2)他のチームの業務が見えづらくなる
完全担当制だった時に在籍していたCSメンバーは全ての業務を把握していますし、フェーズ毎にどんな問題があるのかも理解しています。
しかし、分業化してから入ってきたメンバーは、全体を把握していません。
その解決策として、導入から更新まで、必ず全ての業務を1度経験してもらうようにしています。
全体の流れとそれぞれのフェーズ毎の課題や対応を経験してもらうことで、他チームの苦労も経験・理解することができます。
3)セクショナリズムが働き、関係値が悪くなる
分業化すると、
「別のチームのせいで、自チームにも影響が出ている」
「この仕事は、別のチームの仕事」
のようなセクショナリズムの考えが出てくる可能性があります。
こちらについては、(2)が解決策の1つになるかなと思っています。他チームの業務を経験しておくことで、負の感情が軽減されるのでは。。と。
あとは、完全分業化という感じで無く、他チームの業務でも必要に応じて助けあってやってもらうようにしています。この助け合いができるのも、1度全体の業務を経験しているからこそ、できるものだと思っています。
今後やる予定のこと
1)大規模向けCSM(エンタープライズCS)チームの組成
一部の大手企業に様については、まだ属人的な対応なっています。そのため、エンタープライズのCSMチームを別途組成予定です。
大規模なお客様だと既存の業務フローに乗せることは難しいため、別でチームを組成し、導入後のフローも別にし、きちんとフローも固めていく予定です。
2)リニューアルセールスチーム(仮称)の組成
分業化して良い感じになってきましたが、導入後の顧客フォローや顧客への有益な情報提供活動にまだまだ改善の余地があります。
理由としては、サクセスチームのカバー範囲が広すぎることが原因だと思っています。そのため、サクセスチームの業務をさらに細分化する予定です。
以上となります!
最高のCSを作るメンバーを募集中です!
イタンジ株式会社では、CSを含め、様々な職種で仲間を探しています!!
上記には触れていませんが、ウェビナーやったり、プロフェッショナルサポートサービス(コンサルサービス)やったり、顧客とのミートアップをやったり、色々やっています。
しかし、まだまだ片手間でやっている状況です。。
好きなことができる職場ですので、少しでも興味のある方は、ぜひ、一度声をかけてください!ご連絡は、wantedlyからでも、twitterのDMでもオーケーでっす!
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