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【第13話】意外と知らない火葬場の清掃事情を教えます! そして不思議な体験も…【下駄華緒の弔い人奇譚】


―第13話―

掃除はとても大事です。
これはどんな業種でもそうなんだろうと思いますが火葬場も特に大事です。当然、毎日綺麗に掃除する必要があります。
亡くなった大事な人が掃除も出来ていない火葬場で火葬されたら悲しいじゃないですか。だから掃除には力を入れていました。
が、毎回どうしようもない悩みがありました。

それは炉前ホールと言われる、いわゆる広いホールです。遺族さん達が最後に火葬炉に入っていく故人を見送る所でありお骨あげをする所です。
僕の働いていた火葬場は炉前ホールの床がとても綺麗でピカピカに研磨された白い石床でした。この白さが仇となっていて細かい骨の破片が全然見えないんです。
もちろん、前の時間のお骨あげが終わると職員全員で掃除道具を使ってホールを掃除します。大きいモップから最終的に小さいほうきを使って次のお骨あげが始まるまでに細かく掃除します。
ですが、どうしても、どうしてもその掃除が終わった後に確認のために床の上を歩くと「ジャリ…」と音がする事があるんです。これはもうどうしようも無い問題でした。

僕は職員として従事してしばらく、この問題が気になって仕方がなかったんです。仕方がないといえばそうなのですが変に悩んでいました。

そしてその時期、僕はずっと変な体験をしていました。
どういう体験かというと火葬場と全く関係ない、たとえば休日のショッピングモールで買い物中に「ジャリ…」と足元で音がするんです。……え? と思いつつ暫くして次はファミリーレストランにいくとまた「ジャリ…」と。

たぶん、あまりに気にしすぎた事で幻覚や幻聴が聞こえていたのかなあと今となっては思いますが不思議でしたね。

著者紹介


下駄華緒 geta hanao

2018年、バンド「ぼくたちのいるところ。」のベーシストとしてユニバーサルミュージックよりデビュー。前職の火葬場職員、葬儀屋の経験を生かし怪談師としても全国を駆け回る。怪談最恐戦2019怪談最恐位。

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