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「5年後も、僕は生きています ㊸やってきたピンチ」

㊸やってきたピンチ

2019年11月18日、いまは4ヶ月に1回になったCT撮影を終えて、今では2ヶ月に1回になった定期診察を受けに東大病院へ行きました。

「体調はいかがですか?」

井上先生はいつもと同じように訪ねてきましたが、僕はその表情にちょっと心配そうな気配を感じたのです。

実は、少し前から左の座骨が少しジンジンと疼いていました。

「実は左の座骨が少し痛いって言うか、ジンジンするというか、そんな感じなんです」

「いつからですか?」

「1週間ほど前からです。以前も堅いところに座っていたり、同じ姿勢で長時間座っていると痛くなったりしたことがありましたけれど、今回は何もしていなくても少しジンジンするような感じです」

「そうですか…実はですね、今回のCTで少し疑わしいところが見つかりました」

井上先生はそう言うと、CT画像をスクロールして僕の座骨のあたりを映し出しました。

「通常、刀根さんが飲んでいらっしゃるアレセンサが効果を出していると、一度溶けた部分の骨が再生しますので、その再生した部分が白く写ります。ほら、こんな感じです」

井上先生がボールペンで指し示したところは、僕の骨の中に真っ白な部分がバッチリと写っていました。

「しかし、ここです」

次に井上先生の指した部分は、白い部分が少し薄く、灰色が混じっています。

「念のため、前回、4ヶ月前の画像と比べてみましょう」

PC画面に今回の画像と4ヶ月前の画像が並びます。
今回の画像は、明らかに白い部分が薄くなり、灰色に変わっています。

「今回、腫瘍マーカーの数値も基準値以内なのですが、前回と比較して1.0上がっています」


そうでした。前回は2.0、今回は3.0。

基準値以内ですが、上がり方がちょっと気になる、ということのようです。

「ガンの骨転移の基準として使っているALPの値が基準値をオーバーしています。前回は267と基準値内だったのですが、今回は急に100以上上がって基準値の322を越え、429となっています」


「…これは、どういうふうに考えたらいいんでしょう?」


「もしかすると…骨の部分、特にこの座骨の部分だけガン細胞が変異を起こして再発したのかもしれません」

「そういうことって、あるのですか」

「はい、肺や内臓はそのまま変異をせずに薬で抑えることが出来ていますが、一部、遺伝子が変化することもあります。それが左の座骨に出ているのかもしれません」

「う~む」

「これがほんとうにそうなのか、それとも違う原因なのか、それをはっきりさせるために脳のMRIとペット検査を追加したいと思うのですが、よろしいでしょうか?」

「脳もですか?」

「はい、念のために。よろしいですか?」

「あ、はい、もちろんです」



脳のMRIは11月28日、ペット検査は29日になりました。


「では、次回は12月5日にその結果を見てから、今後のことを検討しましょう」

「今後のこととは?」

「ええ、お薬を変えるとか、あるいは骨の部分に放射線を当てるとか、そういうことです」


井上先生は、僕を安心させるように丁寧で優しく話をしてくれましたが、再発をしている、と思っているようでした。


「わかりました」


「大丈夫です、刀根さん、もし再発していたとしても、アレセンサの次の薬も出ていますから」

井上先生は僕を安心させるように、優しく笑いました。


「ありがとうございます」


僕は病院を出ると、ちょっと左の座骨に意識を向けてみました。



ジンジンする…確かにちょっと痛い…

でも、ガンに侵されていたときと、なんかちょっと違う感じもしました。

しかし…いま、再発か…もうすぐ本が出版だというのになあ…

本が出たとき著者が再発していたら、ちょっとかっこ悪いな…

僕の“自我/エゴ”が少し騒いでいました。


僕は検査でひっかかったことを一応、吉尾さんに報告をしておきました。

「ま、でも、いまくよくよしてもしょうがない。先のことは分からない。未来のことを、いま、心配しても意味がない。再発したら、そのときに悩もう」


帰宅して妻に報告しました。

「もしかすると、座骨に再発したかもって言われたよ」

妻は心配そうに眉をひそめて

「舟橋さんに連絡してみたら?」と言いました。


あっ、そうだ、舟橋さんに診てもらおう!


気持ちが動転し絵知多成果、舟橋さんの存在をすっかり忘れていたのです。


その晩、さっそく舟橋さんに連絡を入れました。

舟橋さんはZOOMなどのビデオ通話で診断や治療が出来ます。

意識のち周波数が合っていれば、場所は関係ないのです。これは量子力学的にも実験などで証明されています。(量子もつれ)


「ああ~…、ちょっといくつかガンの素みたいなものがありますね」

「ガンの素、ですか?」

「ええ、私の診断では20段階で出るんですけれど、10を越えるとCTやペット検査で見つかる位の大きさ、つまりステージ1とか1未満、みたいな感じです。で、10以下だとそういう検査では見つからないけれど、細胞レベルでガンがあります、というような感じです」


「僕はどうだったんですか?」


「肺に5未満のものが2つほどありますね。それから左の座骨が13って出ています」

「やっぱり、出ていますかね」

「ええ、でもまあ、私の診断はCTとかレントゲンとかそういう目で見えるものではないので、何のエビデンス(証拠)もないんですけど、一応、そう出ていますね」

「治せますか?」

「ちょっと待ってくださいね」



舟橋さんは目をつぶって何やらブツブツとつぶやくと、目を開けて言いました。


「3回くらい、かかるそうです」

「3回で、治るんですか」

「ええ、そう出ています」
舟橋さんは笑って言いました。


おお、良かった…


「それじゃ、お願いできますか?」

「はい、わかりました」


3回の舟橋さんの治療を終えたころに、ちょうどCTとペット検査の日になりました。



11月28日、ペット検査が終わってから、次の診察の12月5日までの約1週間、僕は自分の成長を感じていました。


前回体調が悪くなった約1年半前の2018年の7月の体験で、僕は不安に心を大きく振り回されなくなっていました。


12月5日に、全てが分かる。

それまで、なにをどうあがいても、結果は分からない。



僕が不安や恐れにどっぷりと浸りきり、心の中に嵐が吹き荒れようと、平和な浜辺でリラックスしていようと、12月5日までは何もやりようがない。


いま、自分が出来ること、それは何か?

それは“いい気分でいる”それだけ。

自分の周波数を上げて、それを保つこと。

“いい気分”が“良い結果”を連れてくる、ということ。



自分が発する周波数が、それに見合った現実を連れて来る、ということ。



そうやって僕は毎日リラックスして、いい気分で過ごしました。

頭の中に“再発”という言葉や映像が現れたら、それはぼくの“思考”が作り出した“幻想”だと見抜き、それを手放していく。

そう、“思考”はネガティブで、そしてそれは“ほんとう”じゃない。それは“幻想”であり“フィクション”なんです。

この“思考”という“幻想”“フィクション”につかまってはいけない。

それはまるで現実のように僕を飲み込んで行く。

飲み込まれた僕の“身体”は、それがまるで『いまそこで』起こっているように反応し、するとそれが現実の体験となって、僕をさらに縛り付けていく。

 


全ては“思考”という“幻想”に飲み込まれてしまうことから始まる。

だから“思考”を手放す。



“思考”を採用しない。

“思考”を信用しない。


 つまり…

『考えない』ってこと。



 そうだ、何も考えない「アホウ」になろう。

「アホウ」は悩まない。「アホウ」は心配しない。

「アホウ」は気楽だ。

だって考えていないんだもん。

そもそも僕は最初っから「アホウ」なんだし。


僕は次の診察まで、「アホウ」に徹することにしました。

不思議だ。ほとんどネガティブに取り込まれることはありませんでした。

やっぱり、「アホウ」は最高で、最強です。

そして、12月5日になりました。



㊹へ続く

第1話から読みたい方は、こちらから読むことが出来ます。

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