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「5年後も、僕は生きています ⑭事上錬磨(たましい磨き)

(お知らせ)

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「5年後も、僕は生きています」第1話から読みたい方はこちらから。

​第1回「癌宣告からサレンダー体験まで」

肺癌ステージ4からの生還「僕は、死なない」はこちらへ


⑭事上錬磨(たましい磨き)

 

 2017年11月16日、診察へ行きました。

 あの「離職勧告」の日から僕の体調は下り坂になっていました。

 大丈夫かな、まさか、再発なんてこと、」ないよな…

 いや大丈夫だろう…

 でも、もし…

 いやいや、ないない

 グラグラと揺れる心を抱えながら診察室に入ると、井上先生が嬉しそうに言いました。

 「腫瘍マーカーのCEA、ついに基準値に入りましたよ。良かったですね」

 「おお、そうなのですか!

 先生にの話をきいて、とてもほっとしました。

 やはり、体調が悪いのはガンじゃなくってストレスだったんだ…

 「最近近少し体調が下り坂ぎみだったので、ちょっと心配してたんですが…」

 「ええ、問題ないです、順調ですよ」

 

「ありがとうございます」

 僕の心配をよそに、血液検査の腫瘍マーカーの数値はついに4.1まで下がり、基準値に入りました。

 よーし、目標の3つ目をクリアだ。

 この状態を保たなくちゃ。

体調不良をなんでもかんでもガンと結びつけるのは、やめたほうがいいな…

 

 2017年の12月月に入ってすぐ、先日相談に行った社労士の中江さんが主催する「伝習録から学ぶ」というワークショップに参加しました。

 儒教の流れをを汲む『王陽明』という人が打ちたてた『陽明学』という学問をみんなで学ぶ会です。

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(王陽明先生)

 その日は初回で、王陽明先生の紹介と、『陽明学』の簡単なキーワードの解説から始まりました。

中江さんが丁寧に話し始めました。

「王陽明という人は1500年代の中国の人です。お役人さんですが、とても曲がったことが嫌いで、そのおかげで石で百叩きに合ったり、未開の地へ飛ばされたり、何度も命を狙われたり、大変な目にたくさんあったそうです。その中で「さとり」のようなものを得て、その後中央へ復帰して今度は軍の司令官として大活躍しました」

「日本では吉田松陰や西郷隆盛をはじめ、幕末の志士に大きな影響を与えました」

「王陽明先生の言葉の中で、『至良知(ち・りょうち)』という言葉があります。王陽明先生の前までの朱子学では、良知に至ると言って、学んで努力することで、良い智恵に至ることが大事と言われていました。つまり真理は自分の外側にあって、それを学んで獲得することが学問の道だったのです」

「へぇ~、そうなんですね」参加者の誰かがつぶやきました。

「王陽明先生は致す(いたす)良知と言って、人は生まれながら、もともと良い智恵を授かっている。だから、それに気づき、そしてそれに従って行動することが大事だと説きました。つまり真理は自分の中にある。だから、自分を見つめ、磨き、そして行動で現すことが真理を究めることと言ったのです」

 なるほど、そう、全ては自分の中にある。天国も地獄も。

 僕も小さいながらも、そういう体験をしていました。

 「あと、知行合一(ちぎょう・ごういつ)という言葉があります。これは知ってることと、やっていることが一致して、初めて“知っている”と言える状態だと、いうことです。頭で分かっていてもそれが行動という形で表現できていなければ、それは知らないと言うこと、という意味ですね」

 なるほど…

 確かに「頭」で分かっていても出来ていないことはたくさんあります。

いや、その方が多いかもしれません。あたまという「思考」は「言葉・概念・考え方」などを自分の引き出しや図書館に大切にしまい込みます。そして「知っている」だけで満足してしまいます。「知っている」だけでいそれを「生きる」ということをしないのです。

「知っていること」を、自分として「生きて」、初めてそれを「知っている」という「状態」になるんのです。

「出来ていないこと」は「知らないこと」と同じ意味だと、王陽明先生は言っているのでしょう。

「事上練磨(じじょう・れんま)というのは、目の前の仕事や出来事によって、人間の味が磨かれると言うことですね」

 事上練磨…

中江さんは続けます。

「人間を磨くのは書物を読むことじゃない、と陽明先生は強く言っています。だからなのか、陽明先生は生涯1冊の書物も書いていません。書物にとらわれるな、書いた文字に囚われるな、真理は書物や文字の中じゃなく、自分の中にあるのだから、と言いたかったのかもしれないですね」

 確かに僕もガンからの生還体験でいろいろなことを学びました。

 まさに『事上錬磨』でした。

 魂の『事上錬磨』。

 僕たちは、体験によって学び、成長する存在です。

 王陽明先生の言う通り、書物を読んだだけでは、本当の学びにはなりにくいです。そこに「体験」があって初めて、それが血や肉になっていくのでしょう。

 ワークショップでは「伝習録」という王陽明先生のお弟子さんが書いた書物を、個々の感性で訳してみる、という内容でした。

面白かったのは、原文が同じでも訳す人によって内容が全然違ったことです。ひとりひとり、心の状態や引っかかっている事柄などで訳される内容が全くと言っていいほど違っていました。

 

そう、すべては自分の内面を映し出す「写し鏡」なのです。

僕たちは自分というサングラスを通して、自分独自のオリジナルな世界を見ているのです。

でも、みんなも同じものを見ていると思いこんでいるところに、摩擦やギャップが起こって、それが苦しみや怒りにつながっているんです。

中江さんは言いました。

 「そうです、ですからこのワークショップは伝収録『を』学ぶのではなく、伝収録『から』学ぶ、というコンセプトなのですよ」

 ワークショップの中で、僕は仕事のこと、これからのこと、特に『会社員』という立場にしがみついている僕を見つけました。

その僕は、一人になることを怖がっていました。『会社員』という、ある意味守られた立場に安住していたい、その状態を失うことをとても恐れている僕がいました。

 ひとりは怖い

 ひとりは恐ろしい

 ひとりじゃ無理だ

 ひとりじゃ生きていけない

 

 怖がりで臆病な僕は、そう言って震えていました。

 僕の魂は、そういう僕を「手放せ」「明け渡せ」」サレンダーしろ」という体験を仕組んだんだろうか?

もしかすると、僕は、そういう「臆病でビビりな僕」を手放して、「おおいなる全体」にサレンダーすることが課題なんだろうか?

でも、そのとき実際、僕はとっても怖かったんです。

 

 数日後、Amazonで偶然見つけた『サレンダー/マイケル・A・ジンガー著』という本を読みました。

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 あらすじは、勉強嫌いでヨガや瞑想が大好きな大学生が、自分の目の前に起こることをいっさい否定せずにすべて受け入れ、その流れに従って生きていったら、IT企業の大富豪になってしまいました、という嘘みたいなほんとうの自伝でした。

 目の前の状況に抗わない、身を任せる。目の前に起きたことをあれこれ判断しないで、出来事に集中して一生懸命、丁寧にこなしていくだけ。

 ホントかな?

 それで新たな人生の流れがやってくるんだろうか?

 たったそれだけで、この人みたいな大富豪になれるんだろうか。

 でも、僕も同じようなことを、ガンからの生還の時、体験していました。

 これを、今の状況に当てはめて考えてみると…

 このままだと傷病手当給付金は3月末に終わって、収入ゼロ決定。

 退職金なし、貯金なし、仕事なし…あるのは病気だけ。

 あっという間の生活破綻だ。

 最悪、生活保護になってしまうかもしれない。

 不安と焦りの気持ちは、僕の心の片隅にくすぶり続けていました。

 うむむ…

 ガンの時は「脳転移からの緊急入院」みたいな劇的な展開があって「サレンダー」出来たけれど、今回はじわじわと迫ってくる感じだから、なかなか「サレンダー」にアクセス出来ませんでした。

 「サレンダー」…

 その言葉とともに、中江さんが言っていた「事上練磨」を思い出しました。

 うむ、まさにサレンダーの事上練磨だな、こりゃ。

 劇的展開がなくても、普段の意識のままで「サレンダー」出来るようになりなさいってことなんだろうな…

 

いま(2022年2月)、振り返ると分かります。

そう、僕たちは「体験」を通り抜けることで「成長」する「魂」の存在なのです。

まさに「魂の計画による“事上錬磨”」なのです。

すべてが「体験」

その体験に「良い」「悪い」はありません。

すべてが魂の栄養です。

混乱したり、判断したり、抵抗したり、しがみついたりするのは「自我・エゴ」です。

そして、ほんとうの私は(自我/エゴ)ではありません。

その境地へたどり着くためにも、こういう経験が僕にとって必要だった、ということなのでしょう。

目の前に起こることは、そういう意味(自分のたましい磨き)で、すべてオッケーなのです。

まあ、エゴはさんざん文句や愚痴をいいますけどね(笑)

⑯へつづく


第1話から読みたい方はこちらから。

第1回「癌宣告からサレンダー体験まで」

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