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日中ビジネスの専門家が見た「アフターコロナの中国」

※本記事は 『CoCoKARAnext』に寄稿した記事の転用・編集したものです。

筆者は日中の政治経済、医療は専門外であるが、約20年間日中ビジネス界隈で活動している視点からのコロナ観である。

昨今、世界規模となった新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)自体の発生や現状はやはり専門外であるが、中国における2002年のSARSコロナウイルス(以下、SARS)と今回の新型コロナの収束後について述べてみる。

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<中国でのアフターSARS>

SARSの時はまだ中国は日本にとって「工場」の要素がまだ高く、両国の貿易面の打撃は当然ながら大きかった。

ただし、中国ではSARS以前は外に出ずに買い物をする習慣が根付いてなかったが、外出を控えることで結果的に中国国内のECが急成長した。

元々、モバイル通信インフラを国策で強化する発展途上であったので結果的にSARSが後押しになってしまった感もある。これがアフターSARSである。

<中国でのアフターコロナ>

そして現在の新型コロナだ。

中国は従来からの「工場」としての機能を持ちつつ、現在はその内需に対して海外が事業を仕掛ける「市場」としての要素が大きくなっている。

今回の新型コロナ騒動でも、中国に工場を持つ日本企業は往来出来ず、やはり貿易面での影響は多々あった。

しかし、今は日中間では越境ECと言われる日本から中国に物を販売するスキームに代表されるように、中国に直接販売し、サービスを提供することが活発になっている。

よって、国際物流は一部滞ったものの、対中国を市場としてとらえている日本事業者の中には決定的なダメージを受けずに事業を継続されている日本企業も多々ある。

むしろ衛生的な商材及びサービスを持つ事業者は、新型コロナが結果的に事業展開の後押しになっている側面すらある。

アフターコロナで言えば、中国は先行して対処し、この記事を書いている時点では、地下鉄以外ではマスクをする人も少ない。

中国での新型コロナのピーク中には武漢にて病院を10日間という短期間にて突貫で建設したことが話題にもなっていたが、実は注目すべきはその病院の通信環境が5Gで構築されたことだ。

やはり結果的であるが、膨大な通信データを一気に捌く実験台になってしまった側面もある。

5Gの通信網でいえばアメリカを中心に中国の関連事業者であるファーウェイを排除する動きがあったが、欧州を中心にファーウェイ製の通信機器を採用する動きがあり、それも加速する見通しもある。

そういう意味ではアフターSARSでは中国国内ECの成長であり、アフターコロナでは中国5Gが成長する可能性も高くなってきた。

もちろん中国を称賛するわけでは全くなく、ただでは転ばない印象だ。

中国は、その経済格差や地域格差、それに伴う衛生観念から次なるパンデミックリスクも内包する国であるが、いわゆるそのネクストコロナを見据えての取り組みも始動しつつある。

次回、現在のアフターコロナとネクストコロナについて掘り下げてみる。

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自己紹介

山本 岳志

維新の地の山口県で生まれ、神話の国の島根県で育つ。

教員を志して上京するものの、ゲーム企業でキャリアを開始し、モバイル企業で中国と出会い、現在に至る。

現在までの約20年間の日中ビジネスキャリアは、前半は進出する主体であり、後半は進出を伴走支援する立場にて経験を積む。

◆1998年 埼玉大学 教育学部 小学校教員養成課程 教育学専修 卒業
◆1998年 株式会社バンプレスト(現:株式会社BANDAI SPIRITS)
◆2001年 株式会社インデックス(ホールディングス)
(子会社:株式会社インデックス・イマジナック 代表取締役社長 )
(子会社:中国 厦門掌通信息科技有限公司 副総経理)
◆2010年 株式会社アイ・エム・ジェイ(現:アクセンチュア傘下)
 経営企画室 シニアプロデューサー 中国事業担当
◆2015年 SRBTechコンサルティング株式会社
 取締役副社長 パートナー (現職)
◆2020年 一般社団法人亜洲一帯一路国際開発協会 総監(現職)

現職活動領域について

<中国進出支援業務(アウトバウンド)>
中国企業や政府関連機関のトップ層とのパートナーシップによる展開支援
1.国営や上場企業・業界有力企業のトップ層とのパートナーシップ構築
2.事業提携や合弁設立、代理店構築の実務
<訪日中国人集客・日本送客支援(インバウンド)>
中国の富裕層や中間層を集客して、日本の高級機関や店舗、施設に送客
1.中国大手旅行代理店との集客と送客(訪日ビザ代理発行可能な代理店)
2.中国での各種ネット媒体を活用した訪日サービスへの導線策定
<戦略の見直し(レスキュー)>
中国の事業が軌道に乗らなかった企業に対する支援事業
1.事業全体の再構築(既存代理店の見直し、切り替え支援)
2.事業の撤退支援(合弁解消や契約解除等) "

講演例

「あまり知られてない、中国ビジネス裏常識」
主催:IT Search+ イベント事務局 (株式会社マイナビ)
マイナビ社 IT SearchHPにレポート掲載有り

取得資格

・1996年 日本プロボクシングC級ライセンス取得
・1998年 小学校教員免許状取得
・2016年 漢語水平考試2級(中国語HSK)
・2017年 漢語水平考試3級(中国語HSK)

個人ブログ


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