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規格外野菜の活用でフードロス削減を謳う事業を作ろうとするすべての担当者に届け【中編(規格がある理由)】

前編で規格が厳しいのはわかったと。じゃあなんで規格が存在しているの!?というのが次に浮かび上がってくる疑問じゃないでしょうか。

(前編まだの人こちらからぜひ!)

その前に、規格は誰が決めているかというと、JA(農協)です。主に卸売市場(八百屋さんがセリやってるイメージあるよね!)を流通する際に決められたりしています。

規格を決めるJAは本当に悪者なのか?実はそうでもないかもしれない。
いくつか理由はありますが私が考える主な理由を3つご紹介します!

1. 流通の効率化のため

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市場に通う八百屋は驚くほど薄利多売です。
知り合いの業者に聞いた話では玉ねぎ10kg(段ボール小箱1箱分ぐらい)売って利益は5円なんだとか。

野菜は売値を上げるのは非常に難しいので、となってくると利益率を改善するにはコストを下げるしか方法がない。

トラック一台を動かすのにかかる運送コストは空っぽだろうが満載だろうが一緒です。となると少しでも多くの野菜を載せて動かすことが最も効率的。

しかしトラック一台に載せられる段ボールの数は決まっています。となると、いかに段ボールの中に効率的に野菜を詰め込むかが重要になるのです。

規格外野菜の代表例として曲がったきゅうりの話がありますが、曲がったきゅうりがなぜダメかと言うと箱に綺麗に入らないから。すなわち積載効率が悪いからです。

みんな、曲がったきゅうりがおいしいことなんて知っているのです。

...

さあここまで読んだらきっと「多少非効率でも運んだらいいのに!」と思う人もいると思います。

じゃああなたはスーパーできゅうり1本が100円になっても良いのですか?と言われると、うーんってなるのではないでしょうか。

あれだけ安い値段で、しかも(夏野菜にも関わらず)年中きゅうりが食べられる仕組みを作り上げたのは紛れもなく市場の仕組みが実現したからであり、規格が存在しているからなのです。

#規格があるから今の産業が成り立ってるんだよね
#みんな一生懸命考えた結果なのです

ちなみに、規格外は確かに出荷できませんが、規格通りに作れば全量買い取ってもらえることが法律で決まっています。

#そういう意味では農家は安心!

2. 効率的な加工業を実現するため

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形が悪いなら加工しちゃえばいいじゃない!という意見をよくもらいますが、実は加工業者が規格を決めているケースもあります。

結論からいうと、【機械のサイズにハマる野菜しか使えない】からです。

小さい加工場で人間が1つずつ切って加工するのであれば確かに形なんて関係ないのですが、

例えば大量のカットキャベツを作ろうと思うともちろん機械が必要で、機械も大きさが決まっているのでこのサイズ以上のキャベツは買えませんよ!となるのです。

#カットキャベツが100円代で買える理由
#業界みんな一生懸命

3. 小売業者が売りやすいか

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スーパーの野菜売り場をふと見渡すと、

玉ねぎ 1個 60円
きゅうり 1本 70円
ブロッコリー 1個 180円

といったように1個・1本という売り方をしていますよね。あれが大きさがバラバラだったらどうでしょうか。そりゃあ大きいやつから買いたくなります(笑)

売り側からするともちろん原価率も違うので1個ずつ売値を買えなければならない=オペレーションコストの発生。

計り売りをしたらいいじゃない!という意見もありますが、本当に実現可能だと思いますか?

#外国だったらあるけどね
#一度楽しちゃうとめんどくさい方には戻れないよね

実は私たち消費者も、結果的に規格を決めているのです。というか規格がある農産物流通の中でしか生活していないのでそれが当たり前だと思っています。

編集後記的おまけ

なんで見た目や形が悪いだけで廃棄するんだ!!!という疑問が少しでも解消されたら嬉しいです。

みんな、必死にやってきた結果なんです。

ただ市場の仕組みってできた約80年前ぐらいから何にも変わってないんですよね...。

時代は変わり、農業・農家の在り方が変わり、消費者の志向性も変わり、市場以外の流通も増える中で、そろそろ仕組みが変わるべきタイミングなのも事実だと思います。

全体を見た中であなたの事業はどんなプレイヤーになるのか。考えるヒントになれば嬉しいです。

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