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自殺した漫画家 山田花子の「からっぽの世界」を読んでみた

山田花子(漫画家)の「からっぽの世界」を読んでみた。
私がこの漫画家を知ったのは「完全自殺マニュアル」を読んだときだ。
その時に山田花子さんの世界観が気に入り、現在病気で外出する気力もないので、キンドルで読んでみることにした。

とにかく私が彼女の作品で気に入っているのは共感するエピソードがたくさんある点だ。
例えば、忘れ物をしたのをクラスメイトに告げ口されたら、先生に怒られたとか。
なんとなしに無邪気な行動をとったら、周りから酷いやつだと言われたりだとか。
好きな人に近づこうと思ったら、嫌われたりだとか。
あー、あるあるというエピソードが満載なのだ。
自分が必死に気を使って導き出した答えが相手を不快にさせて、相手のことを想いたいから「どうすればいいの?」と聞くと「そんなことくらい自分で考えなさい」と言われる始末。
この生き辛さ、ほんとによくわかる。

あれは私が幼稚園生の頃。
給食時間の出来事だ。
ある男子が突然、配膳された給食をまだ「いただきます」の前なのに先生にばれないよう少しだけ食べた。
するとそれを見ていた他の男子も先生にばれないよう少しだけ食べた。
別の男子も真似して、さらに別の男子も真似をした。
女子はその様子を見て「もうー」みたいな感じだった。
いよいよ、クラスで食べてないのは私だけみたいな感じになった。
私も先生にばれないよう少しだけ食べてみた。
先生は気づいてなかった。ほっとした。
そしたら私の目の前に座っていた女子が「先生、竹下君がまだいただきますしてないのに食べました」と大声で告げ口したのである。
私は焦ってしまって、咄嗟にその女子の頭を叩いた。
先生は私のところにやってきて周りの子に事情を聞いた。
さっきまで先生にばれないように給食を食べていた子達もこぞって「まだ食べたらいけないのに竹下君が食べて、それを注意されたら怒って叩きました」と告げ口した。
私は先生に頭を叩かれ(当時はまだ先生が叩いていた)、大泣きをした。
なぜ自分だけが叱られるんだろうと悔しかった。

山田花子さんの漫画からはそういう理不尽さを感じた。
「だってあんた悪いことしたことには変わりないんでしょ? まあ、あたしも言い過ぎたわよ」という周りの圧力を感じる。
それでも許せずこちらがムキになると「どうせ、あなたを傷つけたあたしが悪いのよね。そうよね」と開き直る周りの人たち。こういうもやもやする感じがとてもリアルだ。

山田花子さんの世界観をもっと見たいので、「自殺直前日記」を読んでみたいが、中古品しかないので購入を悩んでいるところだ。

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