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『ファートンいきもの記』【30】

今日の「いきもの」は≪小田氏治≫である。
奴は、鎌倉時代から続く名門の家柄であり、自らの城を持っていた。そんな輝かしいステータスでありながら、奴は戦上手かと言われると残念ながら、むしろその逆の戦下手だったのである。そのため、楽勝と思われる戦でも負ける始末で、奴は何度も自らの城を追われ、敵に奪われてきたのである。私も今年に入って奴と3度戦ったが、そのたびに奴は敗北し、城を追われ、捕虜となった。だが、奴は粘り強く捕虜としての生活を続けるので、その姿に圧倒され、解放しようという気持ちになり、3度とも奴の城の近くまで送り届けた。私が奴を解放したときは、奴の家臣が城を守っていたようで、奴は静かに城の奥へ消えていった。ただ、そうして捕虜を経験しても奴はこちらに従順になるわけではないので、私と奴は繰り返し戦った。初戦で刀を交えたときはまだまだ若武者で髭(尻尾?)もほとんど生えていなかったが、3度目の合戦のときには立派な髭(尻尾?)が生えていた。

奴の「とくしゅ(特殊能力)」は「フェニックス・ハート」である。
ここまでの話だけ聞くと、奴は単なる弱い存在になってしまいそうである。合戦での強さはないのは連敗の事実から確かである。しかし、奴には何度負けようとも、何度城が奪われようとも、そこで諦めてしまわずに、そのたびに立ち上がり、見事に城を奪い返すのである。それゆえ奴の噂は各地に広まり、「常陸の不死鳥」と呼ばれている。記録によって違いがあるものの、8ないし9回も城の奪還に成功しているのである。それだけ奪還しているということは、同じだけ敗北し城を追われているわけだが、諦めずに戦い続けるハートの強さは尋常ではなく、まさに「不死鳥」なのである。そろそろ季節は秋に向かう。果たして奴との戦はもう一度くらいあるだろうか。

#ヤモリ   #小田氏治   #常陸の不死鳥   #フェニックスハート
#生物がすき
(以下で今日の「いきもの」をスライドにて紹介)
(城への帰還の動画も紹介)

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