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『ファ~トンいきもの記』

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いろいろな「いきもの」の様子を紹介しています。『「ファー」ブル昆虫記』と『シ「ートン」動物記』を組み合わせたような「いきもの」紹介です。日本・シンガポール・ラオス・インド・ネパー…
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2021年11月の記事一覧

『ファートンいきもの記』【25】

今日の「いきもの」は≪東洋リベンジャーズ≫である。 奴が所属する不良グループは、ラオスを拠点としながら、東洋全域に勢力を広げている。しかし、対抗する不良グループも巻き返しを狙って、常にグループ同士の抗争が絶え間なく続いている。奴は、ビエンチャンの守りを任されているようで、タイからメコン川を渡って攻め込んでくる敵との戦いに明け暮れている。 奴の「とくしゅ(特殊能力)」は「釘バット」である。 常に敵の来襲に対応できるようにと、奴は武器を肌身離さず持ち歩いている。奴が持ち歩いてい

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『ファートンいきもの記』【24】

今日の「いきもの」は≪Jennyanydots(ジェニエニドッツ)≫である。 奴はミュージカル『CATS』では仲間から「Gumbie Cat」と呼ばれている。このネーミングは「Gum(ガム)」に由来していて、床にくっついて、はがそうと思ってもへばりついてなかなか剥がせないくらい動かずに過ごしている様子が、まさにGum(ガム)のようでそのように呼ばれているのである。奴は日中、階段や窓枠や敷物の上などでゴロゴロしている。そうして座って座って、寝そべって寝そべって、奴は「Gumbi

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『ファートンいきもの記』【23】

今日の「いきもの」は≪ケガトカゲ≫である。 奴はどこかで強力な敵と戦ったのだろう。奴の後ろ足の一方は指が大きく曲がってしまっていて、もう一方は指がない状態であった。そして、そのケガを温暖なシンガポールで癒そうと思ったようだが、それだけでは回復が期待できないと考え、人間の医学の恩恵にあずかろうと見つかりやすい場所にいたのである。 奴の「とくしゅ(特殊能力)」は「我慢強さ」である。 見つかりやすい場所で人間を待つということは、他の動物に発見され攻撃されてしまうというリスクが高い

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『ファートンいきもの記』【22】

今日の「いきもの」は≪Spaローマ≫である。 ラオスで出会った奴は、昼間からスパ(風呂・温泉)に入ってきたばかりだったのか、身体全体がまだ乾ききっていない状態だった。奴がスパをこよなく愛しているのは、古代ローマの伝統に憧れていることが関係しているらしく、古代ローマ人の社交場であったテルマエ(大浴場)のように、ラオスのスパを活用していたのである。奴と出会った時期はちょうど乾季で、多少濡れたままスパ(テルマエ?)から出てきたとしても、しばらく散歩すればあっという間に乾いてしまうか

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『ファートンいきもの記』【21】

今日の「いきもの」は≪孤アラ≫である。 オーストラリアのパースの動物園で独り寂しく過ごす奴の背中には哀愁が漂っていた。元来、奴はそれほど集団行動を好むわけではないのだが、かといって本当に独りぼっちになってしまうと、それも嫌であるという面倒くさいタイプである。 奴の「とくしゅ(特殊能力)」は「ふて寝アピール」である。 奴はそんないわゆる「かまってちゃん」の状態のため、動物園に来る人たちにもそのアピールを欠かさない。そのため、来園者が近づいてきても、愛嬌のある動きは見せず、背中

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『ファートンいきもの記』【20】

今日の「いきもの」は≪ボウHula‐Hula‐Dance≫である。 ネパールの山奥でボランティア活動をしていたとき、作業場の近くに放置されていたポリタンクの中では、世界水泳やISL(International Swimming League)に引けを取らない激しい戦いが行われていた。ポリタンクにはいつ降ったのか分からない水が溜まっていた。シンガポールでこのようなものが庭先などにあったりしたら罰金であるが、ネパールはそうではないのだろう。その結果、ポリタンクという常設プールを使

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『ファートンいきもの記』【19】

今日の「いきもの」は≪円卓の菌糸≫である。 シンガポールで私が日課にしていたサイクリングのお気に入りコースは、ウェストコーストパークとフェリーターミナルの間を通る見晴らしの良い一本道であった。ここは海沿いで貨物のターミナルに用事のある車両しか利用しないため、コンテナを積んだ大型トラックが通るが、時間帯によっては全く誰もいない状態になる。そんな素敵な場所で、ある時は黙々と自転車を漕ぎ、ある時は担任クラスの合唱曲を歌いながら漕ぎ、またある時は途中の休憩がてら趣味で少しだけかじった

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『ファートンいきもの記』【18】

今日の「いきもの」は≪無形文化遺産flower≫である。 奴と出会ったのは、夏の後半であった。8月も最終日となり、9月1日から夏休み明けの授業が始まるというスケジュールの学校が多い。去年や今年についてはコロナの影響で、例外的に夏休みが続くこともあるが、8月の終わりは様々な区切りという印象があることは間違いないだろう。季節が夏から秋へ移行していく区切りがその一つである。夜に散歩をしていると、夜風の冷たさや勢いなどからも秋の雰囲気が感じられるようになってきた。そんな秋に向かう雰囲

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『ファートンいきもの記』【17】

今日の「いきもの」は≪ベテラン・ガイDOG≫である。 北インドでのボランティア活動は山奥ということで、思いもよらないアクシデントに見舞われることがある。国際ボランティアのNGOのサポートはあるものの、野生の勘でなければ対応できないアクシデントに備えて、宿泊施設から活動場所まで、奴は毎回私たちを先導してくれた。その姿から、何十年もガイドの経験を積み重ねてきた頼もしさが感じられた。奴は、私たちが活動を始めると、小屋の近くで仮眠をとっていざというときのために備えてくれていた。私たち

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『ファートンいきもの記』【16】

今日の「いきもの」は≪フードファイター≫である。 自然豊かな国であるラオスで活動する奴は、日々その恵みを受け取って楽しく元気に暮らしている。奴を含め、様々な生き物が生息するラオスにあって、昆虫類の多さは特筆すべきものがある。ラオスの大部分は熱帯雨林気候とサバナ気候の間に属する「熱帯モンスーン気候」であり、雨季と乾季(特に3月から5月は暑季と呼ばれることが多い)がはっきりしていて、雨が降らない時期の夜になると外灯に信じられないくらい羽虫が集まってくる。うっかり窓を開けていたりす

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