見出し画像

中古カメラ屋さんでの決意

先日、久しぶりに中古カメラ屋さんに行った際、価格の上昇に改めて驚いた。

私が主に観るのは中判カメラと35ミリの一眼フィルムカメラ。中判はペンタックス、一眼はニコンを中心に観る。

私が写真を始めた2000年代初頭に比べると随分上昇している。緩やかな物価上昇に加えて昨今のフィルムカメラ人気、需要と供給の関係による比率が多いようだ。
特に中判カメラの値段には驚くばかり。マミヤも加えて当時の新品価格を超えている。状態がそれほど良くないものを含めても。数年前からのフィルムカメラ人気もあるが、外国人のニーズが高いのだろう。この日も店内では外国人の姿が目立った。

日本を遥かに凌ぐそれぞれの国の経済成長と円安で日本は「安い国」になっていることを、ここでも強く実感した。個人的に良かったことは、求めていたほとんどのカメラを底値で買い、不要になったカメラを高騰している最中に引き取ってもらったことだ。これはたまたま私の需給が世間と逆転していたからだが、今後はそうもいかないだろう。

その日も店内では中国語が溢れていた。そして30年前、船で中国へ行ったことを思い出した。これからは中国の時代だと言われ、疑心暗鬼で行ってみたが、実際にそうなった。というか、はるかに想像を超えている。

当時大学2回生だった私は、初めての海外旅行を中国に選んだ。本当は欧米に行きたかったのだが、お金がなかったのだ。夜間必死に働いたが、船便で3週間弱の旅費を工面するのが精一杯だった。しかし今思えばその選択は良かった。

船中で華僑の人々との出会いがあり、港での簡易な手続きを体験したり。北京では日本の戦後のような市井の雰囲気に驚き、市民馴染みの飲食店で食事をしたり。一転上海ではその発展ぶりに驚いた。街並みも近代的で、デパートも日本と変わらなかった。当時の中国人の公共マナーも印象深い。また短期間だが、鄧小平の時代を体験できたのも良かったと思う。

当時の中国の物価はとても安く、大変助かった。程度の差こそあれ、当時の日本人は世界中どこに行ってもそう感じたに違いない。しかし栄枯盛衰。今では逆にそう思われているだろう。バブルは終わっていたがまだその余韻が残り、私の青春は日本のいい時代と重なっていた。今の若者を思うと少し気の毒だが、そもそもそんな実感もないかもしれない。多分遠い国の昔話になっている。むしろ貧富の差が拡大し、感じ方も個人差が大きいだろう。富める者には時代は関係ない。

「そんなにゴネるなら、他国に売りますよ!もっと高く買ってくれる国があるんですから!」
20年以上前に会社員をしていたころ、海外の取引先に言われた言葉だ。そんなやり取りはどこでもあっただろう。今の状況は知らないけど、さらに辛辣かもしれない。


中古カメラ屋さんでいろいろ感じ、考えたけど、こんな状況下でもカメラを買い、作品を創っていくんだと、決意を新たにしたのでした。いまあるカメラを大切にしなきゃ。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?