見出し画像

料理本を読む楽しさ、豊かさ。

久しぶりに料理本を読んでいます。
タサン志麻さんの本です。
彼女の存在は以前から知っていましたが、著書を読むのは初めてです。
図書館の料理本コーナーで目に留まりました。
とても面白いです。
レシピと共に彼女の来歴が詳しく書かれています。
どのような人生を辿ってきた結果、今のようなレシピや考え方に至ったのか。
私はそんなところに興味があるようです。

私は食べることや料理に全く関心がありませんでしたが、
2年前くらいから興味を持ち始めました。
自炊をほぼしてこなかったのですが、ホットケーキを焼いてみて、
47歳にして初めてお味噌汁を作ってみて、
料理の面白さや奥深さに気付き、そして生きていくためにとても重要なことだと感じるようになりました。
今では毎日自分が作ったお味噌汁を食べています。
豆腐や油揚げ、野菜も数種類入った具沢山のものを作るようにしています。
そして外出しない時は3食自宅で食べるので、味噌は少なめ、薄味にしています。

料理に関心を持ち始めた頃、何も解らなかったため、何人かの料理家の著作を読むことにしました。レシピ本というよりはその人の来し方や考え方がわかるような本で、自分に合った考え方の料理家を探すことにしました。

色々な料理家の本を読みました。
土井善晴さん、ウー・ウェンさん、小林カツ代さん、高山なおみさんなどを中心に、ほか食べ物周りでは郷里鳥取県でタルマーリーというパン屋さんを営む渡邉格さん、山田奈美さん、久松達央さん、甲田幹夫さん、樋口直哉さんなどの著書を読んでみました。他にレシピ本なども多数目を通してみました。

そしてどうやら私は家庭料理や郷土料理など、それぞれの地域の文化や風土とともに発展してきた料理に関心があることがわかってきました。私自身が日常的に食べてきた、当たり前の料理です。毎日食べても身体に負担がなく、健康的でいられる料理です。

そのような方向性がわかってくると、何を作ったら良いのかわかってきました。
まずはお味噌汁。そして和食。家庭料理です。
そんなことに辿り着きました。
そして簡単な煮物なども作ってみました。
毎日なにがしか作るようになると、調味料の配分なども感覚的にわかるようになってきました。

書店に行くと料理本コーナーに行くようになり、テレビの料理番組を観るようにもなりました。以前何度か撮影させて頂いたことがあるdancyuという料理雑誌も写真だけでなく記事も読むようになりました。
そしてこの春から市民農園を借りて野菜を育て始め、収穫した野菜を食べるようになりました。

わずかな量ですが自分で育てたものを自分で料理し、食べて自分の身体の一部に変えている。今までになかった循環が生まれている。大地と自分と太陽を介する循環が。
こういうことだったのか。
そんな感慨を持ちました。

このようにして古来より人間は生きてきたのだという、
当たり前だけど、少し壮大で大げさな感慨を持つに至りました。
このような人間の所作の上に私がやってきた写真などの表現活動があるのだろうと同時に実感しました。

そして食に携わる人々や物事はとても尊いことがわかってきました。
かつての私のように食べることに無関心になるほど、ならざるを得ないほど、現代に生きる人は忙しくもあります。しかし身体やその人の人生を作っているのは、実は実際にその人が食べてきたものでしかありません。その人が食べてきたものが、その人そのものなのですね。

写真家の著作も随分読んできましたが、料理家の本も面白いですね。
やっぱりその人の生き方が料理として結実するから、
料理家の来し方を辿るのも興味深いと感じます。

山あり谷あり。そんな起伏が激しい人ほど面白い。
不器用な人ほど面白い。
地獄を見た人ほど面白い。
いま読んでいるタサン志麻さんはそんな人のような気がします。

写真家の森山大道さんの40代は厳しいものだったと著書で読みました。
そんな時代があったからこそ、50代以降の復活と大躍進があったのかもしれません。80歳をとうに超えられた現在も一線で活躍されるスーパースターです。いつまでも少年のようで、そして色気もあります。目指すべき遠き到達点のひとつですね。同じ時代に生きられて嬉しく思います。

私は地元の鳥取県はおろか、日本各地の料理や食べ物をよく知りません。
行ったことのない都道府県もたくさんあります。今後は少しずつそんな広大なフロンティアを楽しんでいきたいと思っています。あまり食べすぎないように、運動を交えながら。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?