雪になりきれなかった雨

夜、雪になりきれなかった雨で、
路が濡れていた。


それは、どこか、

今日は「雨るぞ！」って、
そのつもりで、空から降った、
雨じゃなかった。


「4回転するぞ！」って、
そのつもりで、滑り出して、
空中で「やっぱり3回転半かなぁ」って、
「飛んでみたジャンプ」みたいに…。



そんな跡が、
街のあちこちで、
路を濡らしていたような夜でした。

空も悩むんだなぁ。

冷たくなりきれずに、流れた涙？
覚悟しきれずに、手放した言葉？
流れた？
固まらなかった？
それとも引いた？


春の気配に負けた？
譲って、溶けた？


水分が、一気に冷えきれずに、
寸前で緩むと、トロむ。


冬が溶け始めた？
何かを赦した？




積もった雪は、
翌朝、みんなをちょっと困惑させる。
ヤバイ、
昨日の空は、怒ってたんだと、
路の表面に残る、雪かきに追われる。


雪になりきらなかった雨は、
翌朝、
何事もなかったかのように地下深くへ染み込む。
路の表面は乾き、その上を人々は歩き始める。

天気予報をお伝えします。
今日は、
午後から、晴れるでしょう…。