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🇹🇭タイ猫とオッドアイ@マレーシア国境近く2016

「親戚の家で猫が産まれたって。あんた動物好きだから見に行くでしょう?」

100ccオーバーのスーパーカブのエンジンをかけ、後部座席に乗れ、と促す。

日本では車も運転できない、原付も怖い。という彼女が、なぜサンダル履きで軽々と原付2種に乗れるのか理解できない。

「ああ、あの家か。いくよ。俺は何も話さないけどね」

彼女は『勝手にすれば』と肩をすくめた。
ノーヘルで飛ばすカブ。

後部座席は私だ。安定した運転に驚く。

ここは、マレーシアに手が届くタイの南部である。方言の訛りが酷く、バンコクで理解できるタイ語が庶民の会話の20%くらいだとして、それが1%くらいになった気分だ。つまりタイ語に聞こえない。さっぱり分からない。

まだ、ラオスやイサーンの方が聞き取れる。

言っても仕方ない事だが、
彼らのまるで怒ったかのようなトーンのタイ南語を聴くと頭が痛くなる。

私は猫と遊ぶ事に決めた。

タイの田舎。典型的な庶民の家だ。
庭には鳥が、マンゴーが、ドラゴンフルーツが、犬、猫、ピックアップトラック。

玄関で大騒ぎで話す村人達から離れ、室内の産まれたばかりの子猫達を勝手に触った。

ひときわ目を引く猫が一匹いた。
子猫ではないが、左右の目の色が異なる。
「オッドアイ」だ。初めて見た。

脇腹を抱えて写真を撮った。
終始動きは緩慢で、床に置いた後も私の脚に擦り寄って甘えてきた。

タイ猫もタイ犬同様にやる気がない。
犬を飼う田舎の家にはセットで猫もいる。

猫は勝手に子供を作り、増え、近所の子供達がいじくり回して遊ぶ。
そして各家庭に配られていく。

犬と異なり狂犬病の心配はないが、
やはり怒らせると爪が攻撃してくる。

出血した時はバイ菌でも入ってないか、
心配でたまらなくなる。

それでも、触りたくなる誘惑になかなか勝てない。ひとえにタイ猫のけだるそうな動きに騙されて油断してしまうのだ。

(日本の猫と違って逃げない、のもある)

これもタイの田舎でよく見る風景。
大概床は冷たい石で出来ている。
人間も動物もこのように腹を横にしてねる。

冷たいから涼しいのだそうだ。

田舎ですることは何もない。
犬も猫も人間も皆んな昼寝。


カブで市場に行く事にした。

「こんなに暑い昼間に出かけたらアホかと思われるわよ」と彼女は眉間にシワを寄せた。

「余計なお世話だ。チキンとレッドブルだけ買って戻るよ」

ーータケシ

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