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[Vision] やれるかやれないかを考えずにとりあえずやってみるでいいのか?

今週から夏休み明けでクラーク記念高校にて、SDGsの授業を再開しました。今週は久しぶりと言うことで、前学期の振り返りを行いました。その一つがビジョンです。一番有名なビジョンの話はケネディー大統領のムーンショットでしょう。1962年に60年代末までに人類を月面に送り無事に地球に戻してくることを宣言し、実際にそれを成功させた話です。


この話をしたときの質問で、「それではやれるかやれないかを考えずにとりあえずやってみる」と言うことですかと聞かれました。国連やその他の国際開発機関がプロジェクトの管理に使っている方法に、ログフレームワークがあります。これはビジョンをそのままプロジェクト管理に応用したもので、プロジェクトが達成したいプロジェクトより大きいゴールを設定して、そのゴールに達成する中間地点として、プロジェクトの目標を設定します。そのプロジェクトの目標を体現するためのアウトプットと、活動内容を決めます。SDGsも国連が決めたゴールなので、とても壮大なビジョンであり、ログフレームワークに落とし込むことも可能でしょう。SDGsの達成が可能かどうかの確率はちょっと微妙な部分もありますが、国際開発プロジェクトの達成率は90%かそれに近いものであると思います。



民間企業ではどうでしょうか、ログフレームワークに似たもので、OKR(オブジェクト、キーリザルト)があります。もとはインテルの元社長であるアンディ・グローブ氏が作り、John Door氏がGoogle社に持ってきたことで有名になった経営方法です。これも会社のミッションとビジョンに関連して短期的な目標であるオブジェクティブとその達成の前提条件であるキーリザルトが作られます。Google社は、このオブジェクトが達成される確率を60%から70%に設定しなさいとしています。その理由は、常に達成できるようなゴールを設定していれば、十分に会社のビジョンやミッションに貢献していない事になるからです。

公的機関の国際開発では、失敗したらその理由の透明性と会計責任が問われるため、どうしても失敗しないようなプロジェクトを作ってしまいます。そのため、60%から70%しか成功しないような目標を立てる事は公的プロジェクトでは難しいでしょう。私も公的機関のプロジェクトを行っていることが多いので、どうしても失敗しないような目標を立てがちです。それはそれで、評価されている部分もあるのですが、公的機関が絡まないようなプロジェクトはもっと挑戦的になるべきだなと、この学生の質問を受けて思いました。

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