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コンダクターシップ実践事例:イキイキ基盤実証とフィールド・フローの事業推進

コンダクターシップの実践事例というよりは、コンダクターシップそのものともいえるのがイキイキ基盤です。DBICのイノベーション・プロジェクトから生まれ、フィールド・フローの中核事業として育っていっています。関係各所との連携により、さらに発展していける仕組みにしたいと、フィールド・フロー株式会社の代表として想いを持っております。


〇イキイキ基盤 プロジェクト概要
イキイキ基盤は組織内の人と人の関係性を見える化し、改善するためのプログラムです。実証成果を踏まえ「働き方改革」や「生産性向上」などを実現するための施策として、システムに関しては現在ビジネスモデル特許を申請し、組織満足度・幸福度診断プログラムと人財育成・組織開発プログラムのサービス提供を開始しています。

関係性を見える化するシステムの特徴は、活動記録を取っておくと人と人の関係性が見えるようになる、というものです。しかも通常業務をほとんど変えることなく、例えば議事録や営業日報などをつけていればいい、とうものです。環境としてもスマートフォンかPCでもあれば大丈夫というもので、現在開発中のバージョン3のテストが完了次第、サービスとしても提供開始する予定です。将来的にはIoTを組み合わせてユーザの入力負担を極力減らしつつ、AIエンジンを組み併せてより高精度に関係性を見える化し、改善の提案ができるようにしていきます。

組織満足度・幸福度診断はクウジット株式会社の協力を得て、慶応大学 前野教授の幸福学に基づいた幸福度指標と、従業員が主観的に自己評価を答える従業員満足度アンケートを組み併せて、組織が陥っている問題を明らかにするプログラムです。特定の誰かを評価したり、誰かに評価されたりすることがない仕組みになっているので、一般的な360°評価よりも本音が引き出しやすく、組織全体が共通して陥ってしまっている問題を抽出しやすくなっています。

人財育成・組織開発プログラムは、”コンダクターシップ”を身に着け実践するためのコーチングプログラムとなっています。DBICなどで「イノベーターズ・マインド ベーシック」「イノベーターズ・マインド ブートキャンプ」として提供しているほか、個別組織の人財育成プログラムとして提供しています。また派生的に新規事業開発のサポートプログラムも動き出しています。


〇イキイキ基盤が生まれるまで
イキイキ基盤の大元のコンセプトはフィールド・フロー株式会社が設立した2014年段階からあり、ファースト・プロトタイプはサイボウズ社のKintoneベースで私が自力でつくっていました。そして自分自身で実験。その後、政策金融公庫からの融資で開発資金を調達し、パートナーに開発を依頼したのが2017年のことです。このころ並行して関係性に着目して、ファシリテーションのトレーニングプログラムを提供していました。また新規事業開発のためのファシリテーション/プロデュースも提供しており、その実践経験から必要となる要素を文書にまとめていたころでもあります。

そんな折、私がディレクターを務めているDBICにてイノベーション・プロジェクトを進めることになりました。もともとはヘルスケア分野で何か事業をやろうと、IT、メーカー、保険などの新規事業担当の方たちと対話したのが始まりです。けれどもよくよく聞けばすでに皆さんヘルスケアの取り組みをやっているという状態。だから誰もやってない領域をやろうと議論している中で”関係性”というところに着目し、人と人の関係性を”社会的健康”と位置付けてシステムやソリューションの開発をすることになりました。このとき、ちょうどマッチしたのが、フィールド・フローで開発していたシステムと、提供していたファシリテーションのプログラムだったわけです。ちなみに関係性はMIT・ダニエルキムの「成功の循環モデル」でも、世界につながる重要な要素として定義されています。またWHOの定義においても健康は、肉体的、精神的な健康に加えて社会的な健康が重要だと謳われています。

すでに具体的なシステムやソリューションがあったので早速実証へ、ということで参画いただいていたメーカーの新規事業部門でトライアルをしてきました。約3か月間のトライアルを行い、結果として19%の従業員満足度の改善が見られ、システムとしてもある程度”使える”ことがわかってきました。この成果を踏まえて、フィールド・フローとして事業化を進めてきています。なお、各社との協業は現在も検討中です。


〇将来の展望はソーシャルキャピタルの見える化
イキイキ基盤は本音を言うと、「働き方改革」や「生産性向上」のためのプログラムではありません。やりたいことはソーシャルキャピタル(社会関係資本)の見える化、信頼の見える化です。例えばある会社を評価するとしましょう。現在は財務諸表で評価するしかありません。しかしながら財務諸表には、その会社の培ってきた社会的信頼や協力関係などは見えないのです。しかしながら、経営を行っていくうえでは”電話一本でどれだけの人が助けてくれるか”が非常に重要です。助けてくれる仲間がいる、多くの信頼を得ている会社はピンチにもチャンスにも強いのです。このため正しく会社を評価できない、結果的に融資や投資、取引の機会を得ることができていない。そんな状況が起きているのです。だからフィールド・フローとしては、この仕組みを通じてソーシャルキャピタルを見える化し、よりよい状態を創っていくことに貢献し、”社会に求められる企業”が継続し成長できるようにしていきたいと考えています。


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