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【福祉用具にまつわるコラム】「介護用シューズ」のあるある話

デモ

色やサイズ違いの靴を2~3種類客先へ持参。選定・相談を行ってからの販売。そんな対応が標準化されていた時代がかつて存在した。

しかし、同業他社の乱立やデフレ不況などを起因とした価格競争にまきこまれる形で、どの事業者も人手や収益などの面で余裕がなくなっていったのだろう。

デモ対応をしなければ値引きも一切しない。それどころか「すみません、うちは靴を取り扱わなくなったんですよ」

介護用シューズからの撤退を決断した福祉用具貸与・販売事業者も出始めている。

以前勤めていた会社で靴の選定業務を何百回とやっていたからわかるのだけど、試用品をメーカーから取り寄せる、もしくは他営業所から試用品を引っ張ってくる。これら一連の業務ははっきりいって手間だ。

送料もかかるため、「試さなくて売ることはできないの!?なんでもかんでも試せばってわけではないよ。」とチクチクやられる。

「知っとるわ、そんなこと!」心の中でその都度そうつぶやく。

靴を何千足売ったとしても考課査定には反映されない。そんな事業者は少なく見積もっても80%程度はあるのではないだろうか?

オンラインサービスを利用できる人や家族がそれを利用できるケースなら大手の通販サイトで購入することができるのかもしれないが、使いこなせない利用者や家族がまだまだ多いため、「実物を見ないと決断できない」

そんな人がかなり存在している。

かといって、ドラッグストアやホームセンターに介護用靴が豊富に展示されているのかといえば、そういうわけでもない。だから要望が細かな人に対する靴の手配は一筋縄ではいかない。

7Eとか9Eなどの特殊サイズ(短下肢装具用)に対応した靴を探し求める場合は特に顕著である。

いかにも・・・なデザイン

学校の上履きを彷彿させるようなデザイン性の低さも課題の一つ。

もちろん、デザイン性については人それぞれで価値観は分かれるところだと思うが、「カッコいいね」とか「形きれいだね」という満足度に由来して買う人は少ないような気がしている。

大抵は「これしかないんだから仕方ないよね」「あるだけ良しと思わなきゃ」

自分自身に何とか折り合いをつけて使用する人が大半だ。それは今も変わっていないように思う。

まとめ

「転倒防止につながり、安全性が担保されている」ってな具合に介護用靴に社会保障費削減につながるような相関性が認められれば、特定福祉用具販売(ポータブルトイレや入浴用いす)と同じような位置付けで介護保険給付対象に指定される可能性は開かれ、それに連動して業者の商品開発力や顧客対応の質も強化されるだろう。

「うちの会社は社会に貢献し、人生を豊かに創造させる」みたいなことを掲げた採算度外視のアンテナショップ的なものでもよい。

介護用靴のラインナップに特化した会社が大型ショッピングモールの空きテナントに入ってくれないかなと密かな期待を抱きながら、店内を歩き回ることがたびたび。

そんな今日この頃である。



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