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文化的にセンシティブな話題に関するコミュニケーション術 (要約)

はじめに

今年7月に入社した新しい職場では、グローバル採用*を通して組織のグローバル化を推進するという立場から、異文化コミュニケーションDIBs*などについて考える事が増えてきました。

* グローバル採用 : 国籍/居住地/日本語能力を問わず世界中の優秀人材をターゲットとする採用活動
 * DIBs : Diversity, Inclusion and Belongings

こういったトピックはきちんと体系的に学んだことがなかったので、LinkedIn Learning Courseでいくつかコースを受講しています。

この記事では最初に受講した「Communicating about culturally sensitive issues (文化的にセンシティブな話題に関するコミュニケーション術)」コースの内容について、備忘を兼ねて要約をしていこうとおもいます。

*本コースは英語で提供されており、私の日本語訳には曖昧さや間違いがあるかもしれません。
*情報量はおそらく30%くらいになっているので、気になる方は是非ご自身でも受講してみてください。

目次

1. なぜ文化に関する会話はトリッキーなのか
2. 文化的にセンシティブな会話における原則
3. 多様性のある環境での対話テクニック

1. なぜ文化に関する会話はトリッキーなのか
Why Conversations around Culture Are Tricky

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同じ対象を見ていても、見方が違うと、違って見える。

『ものの見方(Viewpoint/Perspective)』というものは、例えば「宗教」「年齢」「人種」「性別」「性的指向」「国籍」「身体的特徴」「民族性」などの多くの要因によって影響を受ける。

上の図で左の人が右の人の言っていることを理解するには、数字の右側に移動する必要がある。つまり、相手の『ものの見方』にたつ理解する必要がある。

会話相手がもっているコンテクスト(ものの見方に影響を与えている要因)を理解する努力が求められる。

特に、異なる文化間での会話においては、相手がもつ『ものの見方』を理解することを会話のゴールにすることが、相互理解の第一歩である。

■ アンコンシャス・バイアス (無意識バイアス / Unconscious Bias) 

人は誰しもバイアスをもっている。バイアスは必ずしも悪いものではなく、良いものであることもある。

バイアスをもっているかをチェックする「潜在的連合テスト (Implicit Association Test)」というものがある。

バイアスをもっていると、自分と異なる『ものの見方』を理解することが難しくなる。

自分はバイアスをもっていると自覚することが第一歩目である。

■ マイクロアグレッション (微細な攻撃 / Microagression)

例えば「会議中に男性としか目を合わさないこと」や「相手の出身国や出身文化圏を何度も執拗に確認すること」などもマイクロアグレッションになりうる。

前者は女性が会議の場で重要視されてないと感じさせ、後者は相手に対して外部から来た人間であるという意識を植え付ける。

マイクロアグレッションは、受け手にとっては重大だが、与える人や周りからは非常に見えにくい。

また、一回だと気にならないが、積み重なることで大きな精神的ダメージを相手に与えうる。

2. 文化的にセンシティブな会話における原則
Principles for Culturally Sensitive Conversations

4つの大原則

① オープンマインドでいること
② ステレオタイプを避けること
③ 居心地の悪い会話をする勇気を持つこと
④ トリガーに気づくこと

故意かどうかではなく、与えてしまったインパクトに目を向ける

もし、センシティブな話題で、相手を傷つけてしまったりした場合、自分の発言が故意かそうでないかに関わらず影響にフォーカスし、すぐにケアするべき。

例えば、コーヒーをこぼして相手に火傷を負わせてしまった場合、「わざとじゃない」といくら言っても火傷は治らないし、服に付いたシミは消えない。

インパクトに目を向けるということは、物理的なダメージだとできるのに、精神的なダメージになると、とたんに難しくなり、故意かどうかに気がいってしまう。

討論(debate)ではなく、対話(dialogue)を行う

討論をするときは、アイディアの良し悪しを比べたり、反論しようとする。

対話は双方の『ものの見方』を理解することを目的にする。そのためには、相手の視点をよく聞き、理解することに努める必要がある。

ただし、自分の『ものの見方』を無理に変える必要はないし、相手に無理に同意する必要はない。

しかし、相手の『ものの見方』を理解することは、自分自身をより理解することにもつながる。

3. 多様性のある環境での対話テクニック
Techniques for Dialogues around Diversity

アライ (Ally) になる

アライとは、社会的に置き去りにされている/不公平に扱われているグループの人々が置かれている環境を改善に努めることを選んだ人のこと

共感を持って接する

対話において、理想的な反応は「共感を示す」こと。

具体的には、
・PCやスマホを閉じて、集中して相手の話を聞く
・相手に合わせたボディランゲージをとる
・相手の感情や経験を復唱して確認する
・シンプルな援助を申し出る (例:できることがあったら何でも言ってね、など。)

逆に望ましくない反応は「アドバイスする」「問いを投げかける」「疑問を呈する」こと。

センシティブな話題について質問をするテクニック

センシティブになりうる話題について質問をする場合は、相手に対する敬意と、純粋に知りたいということを示しながら尋ねるのがよい。

具体的には、
・パブリックな場や空間 (他の人がいる会議など) を避ける
・まず、質問することに対して、許可を取る
・より理解を進めたいという気持ちを伝える
・相手の個人の経験について尋ねる (⇄ グループの代表として答えを求める)

【例文】
> I'm interested to find out more perspective on the gender neutral bathroom initiative and I was wondering if you were comfortable talking about it.
> I'll be honest, I don't have it on my radar but I would love to find out about the issues and I was wondering, what's your experience been like?
> And why is it important to you?

もし、あなた自信が相手の発言によって不快な気持ちになったら

🙆 生産的な反応
・二人だけになれる、ただし中立な空間を選ぶ (相手のオフィスなどは中立な空間ではない)
・言葉を慎重に選ぶ
・3つのFについて話す
  Facts : 起きた事実や発言
  Feelings : 自分が抱いた気持ち
  Future : 今後、相手にどうしてほしいか
・自分自身についてのみ話す (「Aさんも同じ気持ちです」などはNG)
・常に "I(私)" を主語に話す
・相手が故意だったかどうかについては言及しない

🙅 非生産的な反応
・相手に何も言わず、ネガティブな感情を心に抱く
・相手に何も言わず、他の人に愚痴る
・その場で、反射的に反論する

謝罪するときに意識したいこと

🙆 Good
・相手に与えた影響/ダメージに対して謝罪する (仮に、自分の振る舞いが故意でなかったとしても)
・問題の解決を申し出る
・後悔の念を伝える
・何が間違っていたか説明する
・問題がおきたことを悔いる
・許しを請う

🙅Not Good
・自分自身を守る言葉を使う、言い訳
・「もし〜だったら」「でも〜」といった言葉をつかう
・本心でない謝罪をする

まとめ

「文化的にセンシティブな話題」に限らず、バックグラウンドの違う人間同士のコミュニケーションとして、忘れてはいけないことが盛り沢山でした。

そして、どんだけ似た境遇を生きた人でも、『ものの見方』には違いがあるはず。

相手と自分は違うということを常に意識しながら、色んな人の『ものの見方』を理解することで、もっともっと地球上の多様性を楽しんでいきたいと思えました😊

英語で聞き流すとなかなかアタマに残らないから、また他のコースもこうしてまとめていきたいです。


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