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【読書OP#10】「実力も運のうち 能力主義は正義か?」(マイケル・サンデル)

読書アウトプットも10回目を迎えました。
まだまだ至らない点も多いけど、このアウトプットを継続させたい。

アウトプットすることでインプットする際の意識が変わる。

よく言われることを実感として掴んできた。

きっかけ

この書籍に出会ったきっかけは、マイケル・サンデル著「それをお金で買いますか?」に強い衝撃を受けたんだよね。

過去の自分を振り返ると恥ずかしいんだけど、これまで経済合理性を最優先してきた自分の考え方に対して大きな疑問が投げかけられ、価値観を見つめ直すきっかけとなったんだ。

そんな自分に衝撃を与えたマイケル・サンデルの新書(当時は)という事で、即買い。

学びのポイント3つ

  1. 能力主義社会における問題点
    能力主義が個人の成功や失敗を自己責任とすることで、貧しい人々の自信喪失につながると指摘しています。
    それは社会的な不平等が個人の責任とされ、構造的な問題として捉えることを見過ごす危険性を示唆しています。

  2. 教育格差が生む社会的分断の危機
    高学歴のエリートと大学の学位を持たない人々の間の断絶が社会的分断を生んでいると指摘されています。
    これは「2016年、大学の学位を持たない白人の3分の2がドナルド・トランプに投票。ヒラリークリントンは、学士号より上の学位を持つ有識者の70%超から票を得た」という書籍の中で指摘された事実からも裏付けられます。
    教育格差が政治的対立にも影響を及ぼしている現状を示唆しています。

  3. 才能は共有財産
    個人の才能が遺伝や環境など本人の努力だけでは説明できない要因に影響されると指摘し、才能によって得られる恩恵は社会全体で分かち合おうと著者は主張しています。
    これは、「自分の才能が、遺伝的な運あるいは神によって授けられた贈り物」だとすれば、能力主義を乗り越えるためには、才能を個人の所有物ではなく社会の共有財産として捉える視点が必要不可欠という著者のユニークな視点をもたらしています。

感想

現代社会における能力主義の問題点について、かなり理解が深まった。

「自己責任」というのは、社会的・経済的な不平等が個人の責任だとされて、構造的な問題を見過ごしいる。それを加速させたのが「スマート」という表現を使ったオバマ氏にもあるという指摘は大変興味深かった。

この「自己責任」と「スマート」の問題は、「親ガチャ」問題と似たような構造を持っているかもしれない。
「親ガチャ」は、個人の努力では変えられない環境が、人生に大きな影響を与えるという問題を指していると理解しているけど、それはつまり、親の経済状況や教育方針などが子供の将来を左右するということ。

そのような社会背景で、個人の成功や失敗が自己責任とされ、「スマート」であることが重視されるのは「親ガチャ」問題と同様に、個人の努力だけでは乗り越えられない構造的な不平等を見過ごしてしまうというリスクがある。

また、高学歴のエリートと大学の学位を持たない人たちの間の断絶が社会的分断を生んでいるという「教育格差が生む社会的分断の危機」の指摘は、2016年の米国大統領選挙でのトランプ氏の勝利の背景を理解する上で、とても重要な視点だと感じた。教育格差が政治的対立にも影響を与えているっていうのは、世界が分断されてきている理由の一つだと言えるんじゃないかな。

同じ著者の「それをお金で買いますか?」でも、市場原理主義の限界について鋭い指摘がなされていたけど、本書では能力主義という現代社会の問題点に光を当てている。彼の著作は、常に新たな視点を提供し、洞察を深めてくれる。

彼の著作のすべてをお勧めしたい。

では、また!!

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