Takeru Nagaoka

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    長岡ゼミのnoteマガジンです。 Vol.1、Vol.2、と定期的に文章を投稿していきます。

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    F&Nは長岡研究室で発刊しているマガジンです。 Foot&Networkの略であり、半年間の活動で出会った人や活動について紹介していきます。これまでは冊子の印刷をしていましたが、オンラインでの発刊を行います。

記事一覧

ここにいると、いつのまにか世界は変わる

 「組織論」の講義を3つの科目で担当してもう10年以上になる。学部1年生向けの入門科目、学部の専門科目、MBAコースの科目、どの組織論でも モチベーション(動機付け)…

Takeru Nagaoka
10日前
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越境活動のエスノグラフィー

長岡研究室のメンバーは、自分たちのことをMELC (Management Ethnographers' Learning Community)と呼んでいる。学生向けの説明で言及することはあまりないが、実は、長岡…

Takeru Nagaoka
2か月前
1

「創造的なコラボレーションのデザイン」の経験と語り

「創造的なコラボレーションのデザイン」という活動テーマは、私が法政大学にきて、ゼミを始めた時から変わらず使っている。もう13年になる。当初から「経営学部っぽくない…

Takeru Nagaoka
2か月前
4

プロジェクトという方法

6/27にカフェゼミ#61を開催した。ゼミ生たちにとっては今年度2回目のカフェゼミ・プロジェクトだ。この「プロジェクト」という言葉、ゼミ生たちは日常的に耳にしているけ…

Takeru Nagaoka
3か月前
6

健全じゃない自分に気づく

春学期の折り返し地点、大学は「中弛み」の時期かもしれない。体調を崩したり、サボってしまったりするのは避けたいけれど、無理やり頑張ろうとしてもうまくはいかない。心…

Takeru Nagaoka
4か月前
5

直感と好奇心で動く

長岡研究室(MELC)の2024年度の活動が始まった。新ゼミ生を9名加え、総勢19名のメンバーでの活動だ。毎年のことだが、新ゼミ生には「関心ある10のテーマを探して卒業しよう…

Takeru Nagaoka
5か月前
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ジンザイイクセイ

経団連が学校に喝「人材育成の気概を持て」 教育のデジタル化・オンライン化を推進すべきってことを言いたいのだろう。その通りだと思う。同意。 だけど、「人材育成」っ…

5

オンライン・ゼミをめぐる「始まりの記憶」

 「オンライン化」に向けて走りだしたのは2020年2月27日の木曜日。その10日後に予定していたワークショップの中止を決定した翌日のことだった。そして、春学期のゼミを終…

13

お医者さんとはオンラインの方が話しやすいと思う

新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、「オンライン診療」が注目されているようだ。オンライン・ビデオチャットを通じて医師の診察を受けられるので、当然のことながら通院…

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ゆらゆらと歩み続ける

2020年2月、食道がんの手術から5年が経過した。多くのがんでは5年が意味ある数字となる。医師は「5年生存率」に着目し、患者たちは5年先にあるゴールを目指して頑張る。201…

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ここにいると、いつのまにか世界は変わる

ここにいると、いつのまにか世界は変わる

 「組織論」の講義を3つの科目で担当してもう10年以上になる。学部1年生向けの入門科目、学部の専門科目、MBAコースの科目、どの組織論でも モチベーション(動機付け)というトピックは取り上げているし、学生たちの関心も高いようだ。マズローの欲求段階説などの有名な”古典理論”は学生たちにも知られているのだが、3つの科目全てで議論の中心となるのは 内発的動機付け という考え方。

 何か目的を達成するた

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越境活動のエスノグラフィー

越境活動のエスノグラフィー

長岡研究室のメンバーは、自分たちのことをMELC (Management Ethnographers' Learning Community)と呼んでいる。学生向けの説明で言及することはあまりないが、実は、長岡研究室(長岡ゼミ)の活動レパートリーには様々なスタイルの「エスノグラフィー」が散りばめられている。

私たちが「越境」と呼んでいる活動は「参与観察型のフィールドワーク」と呼ぶこともできる。ゼ

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「創造的なコラボレーションのデザイン」の経験と語り

「創造的なコラボレーションのデザイン」の経験と語り

「創造的なコラボレーションのデザイン」という活動テーマは、私が法政大学にきて、ゼミを始めた時から変わらず使っている。もう13年になる。当初から「経営学部っぽくない」と言われていたし、確かに、消費者行動論、管理会計論、組織行動論のように学問分野に対応させた活動テーマを掲げるゼミがほとんどなので、「経営学部っぽくない」という評価はその通りだろう。

そして、「経営学部っぽくない」という評価について、私

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プロジェクトという方法

プロジェクトという方法

6/27にカフェゼミ#61を開催した。ゼミ生たちにとっては今年度2回目のカフェゼミ・プロジェクトだ。この「プロジェクト」という言葉、ゼミ生たちは日常的に耳にしているけれど、意味については何となく曖昧な理解でとどまっていたようだ。

私が担当している「経営組織論」の授業では、「プロジェクトチーム」について、こんなスライドを使って説明している。

授業では、4つの箇条書きにある「一定期間」「多様な専門

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健全じゃない自分に気づく

健全じゃない自分に気づく

春学期の折り返し地点、大学は「中弛み」の時期かもしれない。体調を崩したり、サボってしまったりするのは避けたいけれど、無理やり頑張ろうとしてもうまくはいかない。心や体はなかなか思い通りにはならないものだ。

さて、頑張るだけではうまくいかないことを認めた上で、私たちにできそうなことは、心と体のちょっとした変化に敏感であることかもしれない。

自分自身のことに関するエスノグラフィーをオート・エスノグラ

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直感と好奇心で動く

直感と好奇心で動く

長岡研究室(MELC)の2024年度の活動が始まった。新ゼミ生を9名加え、総勢19名のメンバーでの活動だ。毎年のことだが、新ゼミ生には「関心ある10のテーマを探して卒業しよう」という活動ビジョンを提示している。経営学部のゼミとしてちょっと異質かもしれないが、「越境活動」のスピリットがこの言葉に凝縮している。

越境活動とは、慣れ親しんだ世界から飛び出し、自分にとって未知の世界の人々や活動に関わるこ

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ジンザイイクセイ

ジンザイイクセイ

経団連が学校に喝「人材育成の気概を持て」

教育のデジタル化・オンライン化を推進すべきってことを言いたいのだろう。その通りだと思う。同意。

だけど、「人材育成」っていう活動が、営利企業の利潤最大化に資するための特殊な学習の一形態だとか、能力開発が人間の学習という営みのほんの一部に過ぎないという感覚はないことが、じんわり伝わる言葉で文章が締めくくられている(この記事の執筆者の意識かもしれない)。

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オンライン・ゼミをめぐる「始まりの記憶」

オンライン・ゼミをめぐる「始まりの記憶」

 「オンライン化」に向けて走りだしたのは2020年2月27日の木曜日。その10日後に予定していたワークショップの中止を決定した翌日のことだった。そして、春学期のゼミを終えたのは、ぴったり20週間後の木曜日、7月16日のことだ。怒涛の20週間を走りきって、今はすっきりした気分だが、始まりは最悪だった。春学期のゼミを終えた今、intangibleな感情が私の中から霧散する前に、「始まりの記憶」を残して

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お医者さんとはオンラインの方が話しやすいと思う

お医者さんとはオンラインの方が話しやすいと思う

新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、「オンライン診療」が注目されているようだ。オンライン・ビデオチャットを通じて医師の診察を受けられるので、当然のことながら通院は不要で、いわゆる「院内感染」のリクスも遮断できる。それが注目される理由らしい。

実は私もオンライン診療を受けている。2015年3月、食道がんの手術を終えて自宅療養を始めたのだが、がん再発はなかったけれど体調管理にはなかなか苦労した。動悸

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ゆらゆらと歩み続ける

ゆらゆらと歩み続ける

2020年2月、食道がんの手術から5年が経過した。多くのがんでは5年が意味ある数字となる。医師は「5年生存率」に着目し、患者たちは5年先にあるゴールを目指して頑張る。2015年の私もそうだった。でも、ゴールインした今、想像していたような達成感はない。それが「5年生存率60%を生きる」ということなのだと思う。

自分が生きる可能性が数字で示されたのは初めてだった。しかも、「60%」という中途半端さ。

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