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ケニア体験記④陸の孤島トゥルカナその1

こんにちは!記事を開いてくださりありがとうございます。

今回の記事では、私がケニア滞在中に訪問させていただいた北部の乾燥地帯、トゥルカナ地方での経験について書かせていただきます。3回くらいに分けて書く予定でいますので、今回はトゥルカナ地方とはどんな場所か、何を見に行ったのか、についてお伝えできればと思っております!


トゥルカナ地方について

基本情報

人口:約92万人
気候:1年を通して乾季と雨季に分かれていて、非常に暑い。1年を通しての平均気温は約30度くらい。
主な都市:ロドワ
面積:約98000㎢(大体韓国と同じくらいの面積です。)
参考:https://en.wikipedia.org/wiki/Turkana_County

左上の色が濃いところがトゥルカナ地方です。

基本情報をまとめると、韓国くらいの面積に、約92万人が暮らしており、気候は1年中30度越えという地域です!また、絶対的貧困率(absolute poverty rate)という、国や地域における生活レベルとは関係なしに、衣食住といった必要最低限の生活水準が満たされていない人の割合のことを示す数値はなんと79.4%で、人口の約8割が必要最低限の生活を送ることができていない状況にあるということになります。アクセス方法も、基本的にはナイロビから飛行機で1時間半くらいかけていくのが一般的で、まさに陸の孤島と呼ぶのにふさわしい地域です。実際、僕がエンブやナイロビで出会った人たちに聞いてみても、トゥルカナ地方に行ったことがある人はいませんでした。おそらく人口の90%以上がトゥルカナ地方で生まれ育った人々で、外国人はおそらく開発援助の関係者しかいないと思います笑

人々が直面している問題について

さて、次にトゥルカナ地方の人々がなぜこんなにも貧しいのかについて書きたいと思います。トゥルカナ地方の人々は遊牧民です。主にヤギ、そして牛、ロバ、ラクダなど様々な動物たちとともに1年中牧草を追い求めて家族みんなで移住する生活を送っていました。もちろん、昔から厳しい気候のせいで豊かとはいえない生活でしたが、そのギリギリの生活をさらに厳しくしてしまう出来事が起こります。

それが気候変動です。昔からトゥルカナ地方では20年に一度ほど干ばつが起こっており、干ばつが起こると家畜が大量に死んでしまい、飢餓が起きるということがありました。しかし、気候変動の影響により近年では3~4年に一度干ばつが起きるようになってしまい、以前は次の干ばつが来るまでに家畜の数が戻っていましたが、現在は干ばつから立ち直る前に次の干ばつが来てしまう、という状況にあります。そのせいで、元々貧しかった人々の生活はさらに苦しくなり、貧困層の数が増えてしまった、というのが主な問題になります。これは、私がイギリスの大学で学んだことでもありますが、気候変動、地球温暖化などの影響を真っ先に受けるのは、一番その原因から遠い発展途上国の人々なのです。今回JICAが行っているプロジェクトも、この気候変動による干ばつの多発の影響を受けた人々を支援するものです。

今回視察させていただいたプロジェクトについて

ここからは、今回私が4月3日~5日の3日間視察させていただいた開発プロジェクトについて書いていきたいと思います。主に3つに分けられると思うので、順に説明していきます。

①人々の栄養改善への取り組み

栄養改善の取り組みでの大きな目標は、「人々に野菜を食べてもらう」ことです。というのも、遊牧民であるトゥルカナ地方の人々には元々農業を行う習慣がありません。そのため、多くの人々(特に成長過程にある子供たち)にとって欠かせない栄養素であるビタミンやタンパク質を取る機会がほとんどないのです。干ばつが少なかった昔は家畜の肉からタンパク質を取り、血を飲むことでビタミンを摂取していました。しかし今では干ばつのせいで、遊牧民たちの生活形態が、完全遊牧民から、半定住という形態に変わっています。普通の遊牧民は一年中草を求めて家畜とともに移動しながら暮らします。一方半定住では、雨季で牧草がある時期は今まで通り遊牧して、乾季には家族の中の男性たちだけがそのままより遠くまで家畜を連れて牧草を探しに出かけ、女性、老人、子供たちは町付近で定住する、という生活形態です。そのため、男性たちは今まで通りタンパク質、ビタミンを摂取することができますが、町に残った人たちは比較的安価なトウモロコシ、小麦などの炭水化物だけを食べてやり過ごすことになってしまい、栄養失調になってしまいます。

今回視察したプロジェクトでは、野菜を学校で育て、それを給食に入れることで人々に野菜を食べる習慣をつけてもらおうとしていました。また、子供たちに宿題として野菜の成長を絵日記で書いてもらい、親に見せるという取り組みも行っていました。ですが、なぜわざわざ学校で育てたり、絵日記を書かせるのでしょうか?普通に野菜の作り方を教えるだけでいいのでは?と思うのが普通ではないでしょうか。
実はそこに、開発援助においてとても重要な、でも達成することがとても難しい問題が隠れています。詳しいことについては次回の記事で書こうと思っていますので、現時点では、「へえ、そうなんだ」くらいに思っていただければ大丈夫です。


子供たちが宿題としてやっている絵日記帳

②干ばつ対策としての農業の取り組み

もう一つ、似ているのですが少し違った取り組みをJICAは行っていました。それが、人々に牧草を育てる方法を教えることです。家畜が命の遊牧民にとって牧草が無いことは文字通り致命的です。そのため、もし干ばつが起きても自分たちで牧草を手に入れることができるように、畑で牧草を作るやり方を教えていました。作り方としてはいたってシンプルで、種をまき、家畜が入らないように柵を建て、あとは雨を待つだけです。しかし、この一見すごく簡単そうにみえる手順でも、トゥルカナ地方ではとても難しいということが実際行ってみてわかりました。イギリスや日本にいると草はどこにでも生えているので感覚がよくわかりませんが、トゥルカナで牧草はすごく貴重です。実際に育てている人にお話を伺ったところ、1キロ1000シリング(約1000円)で取引されるそうです。①の栄養改善のプロジェクトもそうですが、次回の記事でもっと詳しく書きたいと思っています。


農業で育てた牧草

③AAR(難民を助ける会)が行っている、緊急食糧支援の取り組み

最後に、これはJICAとは違う組織による取り組みなのですが、ご縁があり視察させていただいたので紹介します。
今回仕事内容を見せていただいた難民を助ける会というNGOでは、主にカクマ難民キャンプというケニアの中でも最大規模(25万人の方が暮らしています)の難民キャンプで活動されていますが、私が視察させていただいた時は、現地住民である遊牧民の方々に食料を配布していました。というのも、カクマ難民キャンプはその大きさもあり有名なため、世界各地から支援物資が届きます。しかし、その裏で干ばつに苦しむ現地住民たちがいるのも事実です。難民を助ける会の皆さんはその見落とされがちな人々にも支援を届けていました。次の記事で詳しく説明していこうと思います。


食糧支援の様子

まとめ

今回の記事では、私が今回訪問したケニア北部トゥルカナ地方についての基本情報と、私が視察させていただいたプロジェクトの概要について書かせていただきました。文字ばっかりで見にくかったかもしれませんが、次の記事では私の経験をもとにより詳しく、鮮明にお届けするので次回の記事も読んでくださると幸いです。

最後まで読んでくださり本当にありがとうございます!よかったらいいねとフォローしていただけると嬉しいです、それでは!

たける


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