青い鯨(雑記)
道路脇に広がる森。その中を青い鯨が泳ぐ空想をする。
大きなお腹は植物の緑を飲み込んで、障害物なんてなんのその、といった具合に進んでいく。
その鯨があくびをする時、木々の隙間を風が通り抜けて、ザワザワと空気が揺れる。
ガードレールの向こう側が海や水族館の水槽で、例えばガードレールを乗り越えたとしたら僕は一瞬で塩水に飲み込まれる。
目を開けると僕の呼吸から生まれた泡が空に向かって昇っていく。
水の中でも蝉の声が聞こえて、揺蕩う海水の中で僕はどこかへ向けて歩き始める。どこに行くかは決めていない。
道沿いの歩道やカーブミラーを頼りに進む。
人や車が通りかかる気配はほとんどなく、じりじりと焼けるような日差しのもとで僕はひたすら歩き続ける。
鯨が静かに、大きく呼吸をする。
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