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5G線上のアリサ【第5章#7話】逆転

#7話:逆転



【視聴時間=04:00】


「30兆円。それが岐阜県揖斐郡池田町から生み出された利益です。もう一度言います。彼女たちが出したIOT化のアイデアは30兆円分の価値があるのです」

加護からもらった最後の紅茶を飲むことすらも忘れながら、現実味のない数字の額を算出されて現実を見た。

どうやら愛利沙たちが5年で出したアイデアの経済利益、それは30兆円の額に及ぶと総理は確かに言った。

「日本中のインフラ整備に貢献をした愛利沙先生たちを責めるということは、この30兆円を否定するに等しいです。だからこそ、皆に受け入れて欲しい。さて、これを聞いて愛利沙先生の炎上がどうなったかな? 洋次郎、現場からの報告をよろしく頼む」

勝利の瞬間。

真っ赤な視界は綺麗な緑に変色をする。

さらなる変化は春の桜さながらピンクを彩り出した。

総理は言った。

「VR上も開花宣言を告げたな」と。

「民度の高さと民意の可視化に感謝する。愛利沙先生、遠く離れた場所で言うのもおこがましいが、私たちのしたことを許してくれ。君の答えをどうかつぶやきに乗せて、私の元へと届けて欲しい」

お金の額より謝罪のことより胸を打つのは彼らの気持ち。

愛利沙に対する感謝の気持ちと5年間の授業料が、さらに加わり八名自身から当然のように告げられた。

「100分の1で申し訳ないが、私は池田町にこの額を寄付する。池田町町長、あなたとは本当によく理想の田舎町、地方都市の在り方について話し合ったな。洋次郎を通してでありましたが、実に有益な時間でした」

「……わ、わしは今まで加護さん越しに、八名さんと喋らせてもらっとったんかい……」

「えぇ、すべてクラウド上に残して後で総理が見聞きできるようにしてありました」

「……30兆円の100分の1て……」

「落ち着いて、井口さん。3兆円の1つ下だから……えっと……」
加護/池田/井口/平野

池田町に3000億が行き渡ることが知れ渡ると、教室周りのVR画面はさらに桜満開となり、それは見事な花を開いて愛利沙は承認をされた。

「どれだけイイネが付くより、気持ちがいいと思いませんか?」

「……えぇ……東京にまで行って怒鳴りつけてやろうと思っていたけれど……」
加護/清水

手のひら返しのように感謝。

コメント弾幕は池田町を賞賛。

清水愛利沙の居場所は保たれ世間の見る目が180度がらりと変わり、田舎の町に続けというようネットは呼応。

連鎖反応。

「総理、清水先生の炎上は無事に収束しました」

「3000億円の予算を還元すると共に、池田町をモデルとしてお金の使い方や流れを全国の地方まで並列化。IOE化Internet of Everythingインターネットオブエヴリシングスへの基盤とするのが加護と共に考えた今後の国の方針です」

“ジジイのGG計画プラン”の先は今を生きる大人たちや、若者たちが個人と個性を大事にしながら繋がり合える、オートマチック、システマチック、サスティナブルな社会の上に、人間だけしかできないことを人間が求める形になると、八名と加護は狙いと願いを定め演説を終えた。


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『”Breath of Air”perfomed by Klimenko Music,used under license from Shutterstock』

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