見出し画像

5G線上のアリサ【最終章#7話】シェア

#7話:シェア



【視聴時間=02:40】


「……参りました。30億の力は凄いですね……」

「……自己愛の力と言って」

トレンド1位も視聴者数も二人にとっては関係がない。

愛利沙は仕掛け告白をする。

加護は年齢を口にするが、「そんなことも関係ない」と強気な姿勢を押し出した。

「あなたにはもっと若くて素敵な男性が―――」

「―――いないわよ! そんな人がこの5年間で現れたことある? いたとしても、全員隣の教室の可愛い子に吸い込まれていったじゃない」

VR上は固唾を飲みつつ同時にくすりと笑いが起きる。

目と目を合わせる二人は互いの本音をぶつけ合った末にーーー

「―――加護さん! あなたがあたしの最初のフォロワーだった! 今度はあたしの人生のフォローをして。あたしもあなたをフォローするから。加護さんと一緒に何てことないことをつぶやきながら生きていきたいから!」

逆プロポーズと加護は気付く。

ただの教室退会阻止に命を賭けたわけでもなく自分を求めて来たのが分かり―――

「―――お別れを言うために来たわけでは……ないのですね……」

「……むしろ、これからもよろしくお願いしますの気持ちで来たのです。加護さん、あたしより長生きしてね」

「勘弁してください……」

「あたしのお父さん、67で死んだの」

「知っています」

「残り8年の付き合いだとしても、あたしは後悔しない」

「そうなると私が後悔をすることになるので、できるだけ長生きをします」

つまり、それは「OKなのか?」とネット上がざわめき立った。

「嘘は吐いたがすべてを許す」と愛利沙は加護の前で言った。

そして伝えた。

「5年前よりアップデートできたか?」と。

「は、はい。以前よりかなり」

「こんなあたしで良ければ、人生をシェアしてくれませんか?」

次回の記事と作品です。ぜひご覧ください
5月のnoteカレンダーです。
新着記事と作品は19:00頃にアップします。

『”Panoramic Landscapes”perfomed by Evan MacDonald,used under license from Shutterstock』

Thank you for reading!