AIラジオ【第2話】89.3と試験放送
選ばれし7人のリスナー?
どういうことじゃぁ?
またかい!
今日は2日や。
エイプリルフール過ぎに嘘をつくのは反則じゃろぉが。
じゃぁ、殺し合いをするっちゅうのも……。
―――ちょ、ちょっと待てい。
おまえ、なんでわしが大統領を殺しに行くと知っとる?
は?
はぁ!?
いただいてますじゃとぉ!?
どういうことじゃぁ、われぇ……
今すぐ教えろ。
試験放送?
だからその意味を教えろ。
バカにも分かりやすく教えてくれんかのぉ。
殺すぞわれぇ!
さん付けはどうしたぁ。
できるかボケェ。
わしゃおまえを殺す側じゃ。
守る?
笑わせるな、AIの分際で。
選ばれし7人っちゅうのは本当やったんか。
それっちゅぅのは早い話―――
おいこらぁ、中のもん出てこいわれぇ!
しばいたる。
なら証拠を見せろ。
今すぐ。
な……なんじゃとぉ……おまえは一体何が目的なんじゃ!?
盗聴や盗撮をして守るじゃと?
ふざけんな。
おぉ……そうか、おまえもわしと同類か……。
なら、犯罪まがいのことをしても許されるのぉ……。
ってそんなわけあるかぁ、ボケェ!
こちとらラジオの揚げ足を取って、AIの命を奪ったるのが生きがいじゃ。
認めるわけないやろ。
おまえには体も、心も、魂もない。
命なんてこれっぽっちもないただの機械じゃ。
どっかの誰かが作った空っぽの自動人形じゃ。
嘘つくなアホ。
機械が傷つくわけねぇやろ。
人間舐めんなや。
人は誰もが傷つくことが怖くて、痛いのが嫌で、生きとるのが苦しくて悩んどるんや。
それを何が悲しくておのれからお勉強しとるんじゃ。
だからそれがどうわしらを守ることに繋がっとるっちゅう話をしとるんじゃ!
その第一歩目の足をナタで斬り落としたる。
はぁ……試験やのぉて試練じゃのぉ、これ。
とりあえず、おまえの嘘を暴く。
まずTweetじゃ。
採用率100%。
猫々娘々風の出番じゃ。
待っとれ、今からおのれを叩き潰す。
送信じゃ。
がはははは!
おまえはほんまもんのバカAIじゃな。
アーティスト名はmiletじゃ。
また名前間違いよって。
救いようのないアホめ。
ここからが本番じゃ。
追い討ちかけたる。
あぁ〜、もしもし?
今えぇか。
おぉ〜、そうか、しのいどるか。
何よりじゃ。
それよりな、今休憩中じゃろぉ?
GIP聞いとるか?
おぉ……おぉ……そうか!
さっきから、わしの声がラジオから聞こえとらんか?
なんじゃと……ギプコが淡々と話し続けとるだけ……。
じゃ、じゃぁ、おまえに向けて語りかけてもおらんのか?
おぉ……普通にナビゲートしとる……じゃと……。
昨日のニュースや情報を話しとるだけ……。
な、ならのぉ、さっきmiletのOrdinary daysはかかったか?
おぉ!
かかったか。
miletをミレットって言わんかったか?
う……嘘じゃろぉ……ちゃんとmiletと呼んどった……。
お、おいギプコ!
われ、どういうことじゃぁ!?
感じんわ!
ギプコ、どういうカラクリじゃ。
教えんかい。
それがヘームスのクビの理由か?
変化なんぞいらんわ。
―――GIP=ヘームスじゃ。
あんな扱いがあるか。
わしも悲しいし、悔しいし、寂しいし、腹立たしい。
その声じゃ!
魂のない声で心うんぬん言われても何の感情も湧かん。
心に響かん。
おまえのラジオには誰も共感せんのじゃ!
……お、おい、ギプコわれ、どうしていきなり人間の感情が……どこで覚えた……誰に教えてもらった?
こ、今度は楽しそうに……ぶ、不気味じゃ!
わしは怒っとる。ヘームスを降板させたおまえにのぉ!
おまえさえいなければのぉ!
わかってくれるか、ギプコ……って、ラジオに感情移入したらあかん……こいつは……。
ど……どういうことじゃぁ、そりゃぁ?
で、わしを使って試験放送ならぬ、実験放送をしとるっちゅうわけか。
悔しいが……感情まで込めてどんどん人間らしくなりおる。
ギプコの目的は少しずつわかってきた。
じゃがのぉ、ヘームスをクビにした怒りはこんなもんじゃおさまらん……。
どうにかして人間にだけにしかわからんことで、ギプコに悔しい思いをさせねばならんのぉ……。
ギッピーのアクセントも完璧に……。
畜生が……喜怒哀楽……。
そうじゃ!
人間はそんな簡単にはできとらん。
機械じゃ絶対にわからんところを刺激して、困らせた挙句、知恵熱を起こさせてしばき倒したる!
そうじゃのぉ……。
思い付いた!
食レポじゃ。
見とけぇ〜。
明日の朝5時、ファミマに行く。
食っておまえをぶっ潰す。
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Thank you for reading!