物語から身につけるサバイバルスキル-大学生時代友達が1人もいなかった営業マンの話-

大学生時代、僕自身は人との折衝ごとを仕事にするような営業マンは到底なれないと思っていた。高校生の時には、人見知りすぎて、入学して友達ができるのに3ヶ月ほどかかったことや大学時代には2年間メンバーが同じの語学のクラスで1人も友達ができなかった。幸い1年の終わりから始まったゼミでなんとか友達ができた。それくらいに引っ込み思案で、人見知りも強く、コミュニケーション能力が低かった。

現職では、営業を初めて4年目となる。今もこの職種が向いているかというと自信を持ってYesとは言えない。けれどもある程度経験を積んできた中で、この仕事をやっていけないこともない、そんなふうに思えるようになった。営業マンといっても、業界が異なれば、求められる素質やスキルも異なってくる。ありきたりだが、就活生の時には、営業職につくような人は、笑顔が爽やかで明るくハキハキしていて、大勢の飲み会が好きで会話の中心にいつもいるような社交性の塊。そんなキャラクターの人だった。そんなイメージが学生の頃から強くあり、対人力やコミュニケーション能力を求められる仕事を遠ざけていた。

お客様からの第一印象という意味では、確かに先のような素質はあるに越したことはない。僕自身がIT関係の営業の仕事を実際にやってみて、それ以上に相手の言っていることを理解し、その内容から言外にある顧客課題も想定しながら、課題を整理すること。そして、その解決に向かえるようなプロセスを示し、その解決に向けた自社商品の有用性とストーリーを語れるコミュニケーション能力が必要と感じた。

僕自身は、「人生は食わず嫌い。やってみないと適性はわからない」「体験が大事」ということがテーマだと感じている。

この考えに至ったきっかけとなる本「物語のつくり方」という本がある。物語の特に設定やプロットを考えることは、メタ認知能力の向上と、自分に足りない要素に気づくことができる。特に僕が興味があるのが、主人公の成長物語だ。中でも、漫画のスラムダンクが好きだ。

スラムダンクの桜木が魅力ある人物として感じられるのは、自信満々でケンカも負け知らずな少年が、バスケと出会い、己の実力不測を知り、そこを努力で超えていく姿や真摯さ、チームプレーを覚えたからだ。そして、根っこにある人としてのまっすぐさや熱さが周りを感化し、チーム自体も変わっていく。

ここから書く話は、前段に書いていた自身の営業の話につながっていく。
自分自身のキャラクターやテーマを理解していれば、自ずと必要なクライマックスがわかる。例にあげたスラムダンクでは、天上天下唯我独尊の性格の流川がその好例だ。全国高校バスケのトップに君臨する山王との試合で、試合を決定づけるラストパスを流川がし、そのボールを受けた桜木が得点し、勝利する。そのあと、2人がハイタッチするシーンは多くの読者にとって印象的で気持ちが込み上がる瞬間だ。

なぜ読者がここに感動を覚えるかといえば、桜木との関係が犬猿の仲であったことや流川は孤高の道を行く天才タイプあり、そのようなシーンがそれまでにいくつも作品中に描かれており、しっかりとフリが利いていたからだ。

翻って、自分自身の性格やキャラクターに合わせたらどうか。
自分自身は、幼少期から引っ込み思案でコミュニケーション下手、社交が苦手、人前で話すことに緊張で苦痛を感じるようタイプだ。
自身とは真逆の方に性格が作用されるようなことが起きれば、それは物語における起承転結の承である。先の本を読んで、これがクライマックスに向けたシークエンスだと思えるようになった。

逆転の発想で、承や転(起きている事象)から自身のテーマを考えさせられることがきっとあるのではないか。この本の中で「物語のつくり方」で語られている一節に「起の機能の1つは、アンチテーゼ。テーマの逆という意味です。」とあり、非常に興味深いと感じた。

同書では、桃太郎の物語を例として語っており、鬼を倒すときに仲間が一致団結する、がテーマだ。起はテーマに対するアンチテーゼになれば良いので、桃太郎であれば、「桃太郎、誕生。人付き合いが苦手」とったものだ。

僕の場合も、先述のように人見知りで、人前に出るのが苦手だ。これらが逆に今後起きるフリだとしたら、今後の人生で想定できる事柄が起こってくるのではないかと思う。そして、どんな行動を起こせば良いかもなんとなく予測がつく。
予期しない困難に出会った時、悲観せずに楽観でいるために僕らが物語を学んでおくことは、長い時間をかけて生きてくるものだと思う。

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