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酒をあえて飲まないライフスタイル「ソーバーキュリアス」の増加とノンアル市場の拡大を考える

酒の健康への影響がより具体的に解明されはじめ、酒は飲めるけど「あえて酒を飲まない」ライフスタイルの紹介と、市場可能性に迫ります。

ノンアルコール市場の急拡大

サントリーが2021年10月に発表したノンアルコール市場の調査リリースによると、2020年のノンアルコール飲料市場は2,313万ケース(対前年103%)と、2015年より6年連続で伸長が続き、過去最大の市場規模になったと推定されています。2021年には、さらに約2,570万ケース(対前年111%)と、市場規模の拡大がみこまれる発表しました。

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画像参照: ノンアルコール飲料に関する消費者飲用実態・意識調査 サントリー ノンアルコール飲料レポート2021https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000519.000042435.html

2021年7月に総務省の消費者物価指数に「ノンアルコール市場」が追加されました

道路交通法改正で、飲酒運転への罰則がさらに強化さたことをきっかけに、2009年4月にキリンが日本初のノンアルコールビールである「キリンフリー」を発売。このヒットを受け、アサヒが「アサヒポイントワン」を発売するなど、2008年に立ち上がりはじめたノンアル市場がこの13年ほどで大きく躍進しています。

コロナ禍で酒類の提供が規制されていることも後押ししてか、あえて「ノンアル」を選択する人も増えてきたように思えます。

酒は飲めるけどあえて飲まない「ソーバーキュリアス」が増えている

ソーバーキュリアスはイギリスやアメリカの若者を中心に見られるあえて酒を飲まないライフスタイルのこと。「しらふ」「賢明」を意味する「Sober」と「好奇心旺盛」の意味を持つ「Curious」の2つを掛けた造語です。

厚生労働省の19年国民健康・栄養調査によると、元々酒は飲めるが「ほとんど飲まない」と「やめた」の合計は18%。20代に限ると27%にものぼります。

自粛生活で健康志向が高まった結果とも見ることができますし、飲み会文化を嫌がる若者の傾向とも一致しているようにも見えます。

「酒は百薬の長」は嘘。新の皇帝が考えた税金キャンペーン

「酒は適量なら体良い」= 「酒や百薬の長である」は嘘であることも明らかになってきました。これの語源は、古代中国 新の皇帝が酒税をとって財政を潤すための一種のキャンペーンです。

WHOはアルコールを健康障害における最大のリスク要因としています。

アルコールが体内で分解されると発生するアセトアルデヒドが睡眠を破壊しします。高いカロリーが肥満を増やし、老化も促進させる。酔いの一時的な快感を得られたとしても、酒を飲んでもまったく得なことがないことが、徐々に認知されています。

「酒の味だけ楽しみたい」 ワイン、ハイボール、酎ハイもノンアル化。既存酒カテゴリーのノンアル化で新市場を開拓できるか?

健康リスクは避けたいけど「酒の"味わい"は楽しみたい」とい層に刺さっているのがノンアルコール飲料です。

サントリーは、ワインの味わいを追求したノンアル飲料「ワインの休日」を2022年3月より発売します。

酒の味わいを残したノンアルコール飲料というものが今後も普及していくと予想されます。街中で見かけるノンアル飲料は、ビール、ハイボー酎ハイが周流ですが、今後は、ブランデーや日本酒、ラム、ジン、ウォッカなど、あらゆるアルコールジャンルでのノンアル商品の市場可能性があるのではないでしょうか。

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