【猫】繊維肉腫に勝った猫 手術編
精密検査で線維肉腫の診断確定後、約1ヶ月で手術に。
全身麻酔の広範囲な切除手術に不安が募る飼い主ですが、手術に際して飼い主が出来ることは何もありません。
手術当日
手術の日は、飼い主に出来ることは、麻酔対策として絶食させて無事に病院に連れていくことくらい。
「ひょっとしたら帰ってこられないかもしれない」などとメソメソしながら、入院中に食べるいつものゴハンやらオヤツ、お気に入りのブラシなどを支度しました。入院当日に手術をするので、前日から絶食させてます。
多頭飼いにとって、この絶食というのは厄介です。いつも一緒にいる兄妹、誰かが絶食となれば全員が絶食となるので、「メシクレーメシダセー」の大合唱となります。手術で気分が張り詰めているのと、このメシクレコールのおかげで前夜は眠れませんでした。
3猫ズのメシクレ攻撃はうるさかったけど懐かしくて涙が出そう
手術成功!
朝一番で猫を病院に預けて、そのまま仕事に戻りましたが、夕方になって担当医から手術が終わった連絡が。
「手術は無事に終了しました。かなり広範囲に切除できました。当初予定していた組織再建までは必要ありませんでしたので、身体への負担も小さくて済んだと思います。今日はまだ麻酔が効いていますし退院までは少し日がありますが、お見舞いにも来てあげてくださいね」
とのこと。
どうしても悪い方へと考えが向いてしまう私として、心からホッとした瞬間でした。
術後のお見舞い+治療費に納得
後日、時間をとってお見舞いに。入院しているケージではなく、スタッフさんが患畜を待合室につれてきてくれる方式。私が持ってきたキャリーに入れて連れてこられました。
「何が起きてるのかわからないわ…」
傷を舐めないようにエリザベスカラーをつけ、術後服でガチガチに固められていました。
研修医の女医さんが言うには、
・腫瘍とその周辺の部位を大きく切除
・その一環として肋骨も一部削り取った
・大きく切除したので縫合時に皮膚が足りなくなる可能性があったが、皮膚を寄せて縫合できたので皮膚再建は不要
こんな小さな身体で大きな手術を頑張ったな!
本猫は手術の疲れか、痛み止めのせいか、はたまたこの環境にスネているのか、始終ブスッとしていましたが、女医さんがいうには「昨日はちゅーる一本を完食しましたよ」と…。いつもは兄たちと争いながらのちゅーるだもんね(笑)。こんな時くらいはゆっくりと食べさせてもらいなさい。
但し、手術費用という診療費というか治療費の支払いが怖い…退院時の支払い明細は以下。
診察料 1,770円
注射料 23,305円
薬剤料 3,090円
手術料 120,955円
処置料 9,715円
検査料 6,450円
麻酔料 55,090円
物療料 7,120円
入院料 15,480円 (5日間)
診療材料料 14,830円
合計 257,805円
もろもろ色々と掛かってますが、前回のCT検査費に比べれば、金銭感覚が麻痺しているのか、さほど衝撃を受けませんでした。むしろ、入院費なんかは安い方では…
帰宅後に豹変!ブチギレ!!
その後、経過も良好で1週間程度を予定していた入院期間も5日に短縮できました。次回は傷の消毒に通院し、その後は抜糸。傷がふさがったら放射線治療という今後のおおまかなスケジュールを確認。
担当医いわく「会心の手術でしたよ。入院中もいい子にしてましたし」。どうも外面は良いらしい。というか、相当に我慢していたようです。
帰宅すると、兄猫二人に何をされるかわからないので、療養用のペットサークルに収まってもらったのですが、
特製の個室!トイレ完備!
これがどうもものすごく気に入らなかったようで、サークルの中でゴハンや水のお皿をひっくり返す、猫砂をひっかき出す、でかい声で喚く…
どうも入院していた病院のケージを思い出したようで、「なんで家に帰ってきてまでこんなところに押し込められなきゃいけないのよ!」と彼女の逆鱗に触れたようです。彼女が私に対してこんなに激しく怒ったのは17年半の猫生のなかで、後にも先にもこの一度でした。
根負けしてサークルから放して自由にさせると、兄二人のところへ行って猫団子に。意外にも兄二人も傷を舐めたりすることなく自然に受け入れていました。やっぱり入院中は猫たちにとっても相当寂しかったようです。
ごめんね、分かってあげられなくて。
家はやっぱりこうでなくっちゃ…!
痛々しい術後痕…
覚悟していたとはいえ、術後の痕はかなりグロテスクです。下半身の毛は剃られ、縫合した部分は皮膚が固定するように極太の糸で縫われており、モイストヒーリングの透明テープ下は血が滲んでいます。
痛いのか、筋肉の一部も切除したのか、歩き方はぎごちないものの、自分で水を飲みにくし、ゴハンも食べればトイレも行くという通常の生活になっていました。
しかし、猫というのは本当に我慢強い生き物だと痛感しました。
人間だったら「痛い痛い」というところですが、痛がる素振りは微塵も見せませんでした。ひたすら、食べて飲んで出して寝るということを粛々と続ける姿に、文句ばっかり言っている自分が恥ずかしくなりました…生きることになんの疑いもない姿に改めて教えられたような気がしました。
傷は塞がった。次は癌細胞を叩く!
その後の数回の消毒と、最終的に抜糸を経るころは、剃られてつるつるだった猫の肌にも毛が短いながらも生えてきました。痛々しかった縫合痕も、ピンクの肉芽がきっちりとつながっており、歩く姿はちょっとびっこを引く程度にまで回復。
15歳という老体とはいえ、手術に耐え、リハビリも無事に終えました。
担当医も研修医も会うたびに嬉しそうな顔をしてくれました。そんな先生方も、「動物の力って凄いんです。我々も何年やってもそう思うんですよ」と仰ってました。
手術後、約一か月後。傷は塞がっています。
しかし、それの反面として、猫は痛みを感じていたり、体調が悪いときも、なかなかそれを表現してくれないということです。猫がしんどそうにしている時は、それは相当に状態が悪いということです。15歳を超えていた猫たちも、この後は歳をとるたびに歩く音が大きくなったり、足を引きずったりすることが増えてきました。人間だって中年過ぎると膝や腰が痛くなるもの。それでも猫は「あー、痛い痛い」とは言わないですもんね…反省です。
猫飼いの皆さまもご自宅の猫ちゃんに、「アレ?」と思うことがあったらどうぞケアしてあげてください。
手術は成功、傷もふさがったので、最後の治療である放射線治療へと進みます。
最終章の放射線治療はこちら!
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