見出し画像

日本語の文字体系

現代の日本語では、現代仮名遣いに則って記述された平仮名主体の文章に、形態素単位で漢字や片仮名を随所に取り入れた、口語体の漢字仮名交じり文が事実上の標準的な表記方法となっています。

文語体では、漢文と和文の2つの表記体系が源流となっています。

古代では、『日本書紀』のように公的な場では漢文を用い、訓読の際には助詞や送り仮名を小書きの片仮名で補うのが習慣でした。戦前に制定された法律の条文などが漢字と片仮名なのはこの名残です。

一方、私的な場面では、大和言葉がメインの和文が用いられていました。『枕草子』などの宮廷文学が該当し、平仮名が主体でした。

両者はやがて合流し、院政期には和漢混淆文が誕生することになります。『今昔物語』『平家物語』などにみられるもので、漢字と平仮名で書かれたものもあれば、漢字と片仮名のものもあります。

現在では、文体こそ口語体ですが、漢語と和語を織り交ぜながら文章を書くことが一般的です。その始まりは和漢混淆文にあったというわけです。

皆様からの尊いご寄付は、今後の執筆活動に活用させていただきます。なにとぞご支援を賜りますようお願い申し上げます。