マガジンのカバー画像

言葉の覚え書き

961
日本語の一貫したスタイル・ガイドとして、用字、用語や文章表現に関する情報をまとめています。「ココナラ」で、文章校正サービスも提供しています。詳細はこちらから https://co…
運営しているクリエイター

#誤字脱字

『言葉の覚え書き』目次

【第1部 表記】組版右横書き 文体口語体と文語体 常体と敬体 能動と受動 文のねじれ 「べき止め」 「さ入れ表現」 可能の表現 助動詞「れる」「られる」 可能動詞 「ら抜き言葉」 用言の活用と音挿入 改行・段落改行と段落 文字種日本語の文字体系 全角と半角の使い分け アルファベット、アブギダ、アブジャド ギリシャ文字 Unicodeについて ヘボン式ローマ字 漢字常用漢字 同音の漢字による書きかえ 字体・字形 仮名現代仮名遣い 「じ」「ず」と「ぢ」「づ」 漢語に続

「豆鼓」?

2文字目が違います。「鼓」ではなく「豉」。 「豆豉」の読み方は、日本語の音読みならトウシ、中国語読みであればトウチ、トーチーなどとなります。 「豆豉」とは、蒸した大豆を醱酵させ、水分を減らした中国の食品です。

「頭骸骨」?

ズガイコツは、「頭骸骨」ではなく、「頭蓋骨」。「頭蓋」とは、脊椎動物の頭部の骨骼を指します。 ちなみに、医学や生物学ではトウガイコツと読むそうです。

「耳を『そば立てる』」?

「そばだてる」は「欹てる」と書きます。

「狂乱怒濤」?

正しくは「狂瀾怒濤」。 「瀾」も「濤」も大きな波の意。荒れ狂う波のように、ひどく混乱しているさまをいいます。 「狂瀾を既倒に廻らす」は、波を押し返す意から転じて、傾きかけた形勢を元に戻すことです。

「もぬけの空」?

「蛻ける」とはセミやヘビが脱皮することで、「蛻」はその抜け殻をいいます。したがって、人が去った後の空間は「もぬけの殻」が正解です。

「魚貝類」?

シーフードのことを言うなら「魚介類」。 「介」は「甲殻」「甲殻で身を守る虫や貝」(『全訳漢辞海』第四版)を意味します。 ギョカイルイに「魚貝類」の字を当てるのは、単に「介」の字音カイを「貝」の字訓「かい」と取り違えたことによる誤記と思われます。それに、「魚貝」だと魚と貝のみを表し、エビやカニは入らないことになってしまいます。

「つば競り合い」?

「せり合い」の「せる」は「迫る」で、少しずつ間隔を詰める、少しずつ前に移動するの意。相手の刀を互いに鍔(刃と持ち手との間にある板状の部分)で受け止めて押し合うことから、激しく争う意の「鍔迫り合い」という言葉ができました。 よって、「つば競り合い」の表記は好ましくありません。

「行かざるおえない」?

「行かざるおえない」ではなく、「行かざるをえ(得)ない」。 こう書いてしまう人は、「行かざる」「おえない」というふうに、そもそも語の区切りを誤認しているものと思われます。 正しくは、「行かざる」「を」「得ない」。「得ない」は「やむを得ない」と同様、「得る」の否定形。通しで、「行かざる」ことができない、すなわち「行かないわけにはいかない」という意味になります。

「犬吠崎」?

関東平野最東端にある千葉県銚子市の岬は「犬吠埼」。「さき」はやまへんの「崎」ではなく、つちへんの「埼」です。 他に「埼」のつく岬として、和歌山県の日ノ御埼などがあります。

「非難轟々」

以下にもあるとおり、通常は「非難囂々」です。 「喧々囂々」の「囂々」ですね。 「囂」は、騒がしい、かまびすしいという意味です。 もっとも、「囂々」も「轟々」も、連綿語という一種のオノマトペであり、用いられる漢字は「表音的使用にしか過ぎ」ません(『全訳漢辞海』第四版、1684頁)。ホウフツの表記が「彷彿」「髣髴」など多岐にわたるのと同様です。 あくまで「囂々」と書くのが習慣だということです。

「振るい落とす」?

揺さぶって付いているものを落とす意ならそれでも構いませんが、基準に合わないものを選り分ける意味であれば「篩い落とす」が適切です。 「篩」は、粒の大小を分離するための網目状の道具のことです。

「ナルシスト」?

自己陶酔、うぬぼれの人は「ナルシシスト(narcissist)」。「シ」を2つ重ねます。「ナルシシズム(narcissism)」も同様です。 ギリシャ神話で、水面に映る自分の姿に恋い焦がれた後に水仙の花となった美少年の名ナルキッソス(Νάρκισσος)に由来します。

「雪は豊年の『端』」?

「端」ではなく、「瑞」。「しるし」と読みます。 雪が多く降るのは豊年の前兆と言う意味です。