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言葉の覚え書き

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日本語の一貫したスタイル・ガイドとして、用字、用語や文章表現に関する情報をまとめています。「ココナラ」で、文章校正サービスも提供しています。詳細はこちらから https://co…
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2021年7月の記事一覧

「不倒不屈」?

「不倒不屈」ではなく、「不撓不屈」。 「撓」は「たわむ」と訓読みし、たじろぐ、屈服するという意味を表します。この場合のトウは慣用音です(本来は漢音でドウ)。

「問い正す」?

尋ねて明らかにする意の「といただす」は、「問い質す」と書きます。

「住民本意」?

「至上命題」?

「命題」とは論理学の用語で、「AはBである」のような真偽を判別できる平叙文のことです。従うべきもの、達成すべきものという意味ではありません。 絶対に従わなければならない命令であれば「至上命令」、必ず達成しなければならない課題であれば「最重要課題」などが適切です。

「大暑の侯」?

ほとんど間違えているマナーの指南書も少なくないのですが、手紙の書き出しに用いるのは「……の侯」ではなく「……の候」です。 「候」は、「時候」「気候」のように、季節を表す字です。 一方「侯」は、もと封建時代の領主を表す語で、爵位(貴族の称号)の一つでもあります。

「副作用」と「副反応」

薬学の見地からすれば、人体にとって元々の薬、元々の毒といったものは存在せず、体内に入ってくるものは全て異物でしかありません。入ってきた異物は、その化学作用が期待される効果を発揮した場合には薬と呼ばれ、望ましくない効果が現れた場合には毒と呼ばれるわけです。 当然、一つの物質のうちでも望まれる効果とそうでない効果とが同時に現れることもあり得ます。薬剤の場合、投与した化学物質による期待された働きを主作用といい、それ以外の働きを副作用といいます。 ワクチンにも同様の現象が起こり得

「悪どい」?

「あくどい」は、程度を超えていてどぎつい、やり方が行きすぎているの意。 ここでの「あく」は「悪」ではありません。 「灰汁(あく)」に接尾語「どい」がついて「灰汁(あく)が強い」を示したものとも、または「くどい」に接頭語「あ」を付けたものともいわれています。

新エディターのベータ版を使ってみました。

先日、「note」新エディターのベータ版が公開されたというので、使ってみました。 注目している機能マガジン『言葉の覚え書き』で文書のスタイルに関する情報を発信している筆者としては、特に以下の新機能に注目しています。 「Enter」/「Return」キーの挙動 従来のエディターでは、「Enter」(または「Return」)キーを押すと1行分の空白ができて段落が切り替わり、「Shift」と「Enter」を同時に押すと段落の中で強制的に改行されるという仕様でした。 新エディ

「他山の石」

2004年度の「国語に関する世論調査」では、「他山の石」の意味として「他人の誤った言行も自分の行いの参考となる」と回答した人の割合が26.8パーセント、「他人の良い言行は自分の行いの手本となる」が18.1パーセントでした。 続く2013年度の調査では、前者が30.8パーセント、後者が22.6パーセントでした。 正解は、前者の「他人の誤った言行も自分の行いの参考となる」。出典は『詩経』「小雅・鶴鳴」の「它〔「他」に同じ〕山の石以(もっ)て玉を攻(おさ)むべし」から。よその山

「乗るか反るか」?

成功するか失敗するか。「伸るか反るか」と書きます。 長く伸びるか反りかえるか、が文字通りの意味です。

「聞いた風なことを言うな」?

「聞いた風」ではなく、「利いた風」。 この場合の「利く」は、「目利き」などと同様、物事に通じているという意味です。

「折り込み済み」?

既に想定されているという意味の「おりこみずみ」は「織り込み済み」。 別の色の糸を入れて布を織ることから来ています。

「琴線に触れる」

2007年度の「国語に関する世論調査」では、「琴線に触れる」の意味として、「怒りを買ってしまうこと」と答えた人の割合が35.6パーセント、「感動や共鳴を与えること」の割合が37.8パーセントでした。 続く2015年度の調査では、前者が31.2パーセント、後者が38.8パーセントでした。 正解は、後者の「感動や共鳴を与えること」。「琴線」は、「物事に感動する心情を琴の糸にたとえ」(『日本国語大辞典』精選版)た語で、心の奥底のにある感じやすい心情の意味です。

ワクチン「摂取」?