見出し画像

日本とドイツのディフェンスについて【前編】#1

ドイツのケルン体育大学で一緒だった てっちゃん(一場哲宏)が、子育てセミナーをやるというので、面白そうだったから参加した。

体験会に参加してみたら、案の定、面白く勉強になったんで、その後、本コースへの参加を決めた。

私の他にも10名ほどの勉強熱心な方々が参加している。他の曜日のコースも合わせれば、数十名が集まっている。

てっちゃんコーチから課題が出ていて、毎日、他の仲間とワークに励んでいる。

参加者のみなさんは、真面目にワークをするのだが、いつでも何でも、思ったことを口にする私の発言から、雑談が始まる。

私が大好きなキャンプ話を切り出すと、参加者の中にキャンプマニアがいて、ひと盛り上がり。

先日、私は、夏休みに長野県の上高地・小梨平キャンプ場で1週間テント生活をした。

最終日の夜中、キャンプ場にクマが出て大騒ぎになった話をすると、現在、北海道に滞在中の方が、熊の糞を見つけたと。

そこから、ヒグマとツキノワグマの話でもちきり。


参加者10名の中に、私と同様にサッカーコーチをやっている方が数名いるので、サッカー話でも盛り上がる。

子育てセミナーのワークグループなのだが、日々、サッカー話は尽きない。

そんな中から『岳生塾』を作ることになった。

なんだか自分的にベタな名前だが、シンプルで分かりやすいので。

岳生塾には、メンバーが7人。

子育てセミナーの主催者てっちゃん。

セミナー参加者のムラちゃん、ワコちゃん、ホンちゃん、ひろくん、それに大学サッカー部の同期のしょうぐん。

そんな中、ジャニーズの○○くんが教え子だと言うホンちゃんから質問を受けた。

ホンちゃんは、○○くんが小学生の頃にサッカーを教えていたらしい。

ジャニーズをよく知らない私でも、○○くんの名前は知っていた、笑。

それだけの有名な〇〇くんって訳です。


そんなこんなはさておき、ホンちゃんからの質問です。

日本とドイツのディフェンスについて

聞きたい。

と言うことで、ここからは、ちょっと真面目に。


サッカーには、攻撃と守備がある。

守備の目的は、ゴールを奪われないこと。

なぜならば、サッカーの目的は、

・ゴールを奪うこと

・ゴールを奪われないこと

だから。


サッカーは、とてもシンプルなスポーツ。

ゴールを奪って、ゴールを守り、ゲームに勝つ。

これがサッカーです。


では、その中でディフェンスとは何なのか。

ゴールを奪われない、という目的を達成すること。

それがディフェンスだ。


そのディフェンスにおいて、日本とドイツに大きな違いがあると感じている。


私は、ドイツのブンデスリーガのクラブでドイツ人を、Jリーグのクラブで日本人を、そして、町の子供たちのコーチをしてきた。

日本とドイツの両国で生活をし、両国のプロクラブで仕事をしてきた。

自分の目で見て、自分で聞いて、自分で感じたこと。


守備(ディフェンス)は、

・ゴールを奪われないこと


シンプルに失点しなければ良いわけだ。

失点しなければ、ゴールができなくても 0-0 でイーブン。

一発決めれば 1-0 で試合に勝利できる。

試合をするうえで、失点をしないことは、とても大きなウェイトを占める。


その中で

どのようにディフェンスをするか?

 でコーチの意見は分かれる。


1対1でマークをしている選手にボールが入る瞬間、


① 相手のボールを奪いに行くディフェンス(インターセプト)

② 相手にやられないように見て守るディフェンス


あなたの趣向は、① と ② のどちらですか?


どちらをとっても、失点をしなければディフェンスの目的は達成します。

しかし、その目的を達成するための 手段 が、違います。

それが、① と ②。


様々な監督が、様々なディフェンスの戦術を使います。

監督の哲学、クラブの哲学に基づいてディフェンスを構築します。

ですから、① と ② では、監督、クラブ、チームの フィロソフィー が反映されます。


ドイツでは、

① 相手のボールを奪いに行くディフェンス


が好まれます。

もちろん、ドイツ人、ドイツのチーム全てが、①を趣向しているとは言い切れません。

しかし、ドイツ人たちは、①を好むでしょう。

それは、ドイツのフットボール文化に大きく反映されています。


ドイツのプロリーグ・ブンデスリーガでは、

試合中に、選手が球際の戦いに勝ったシーンで大きな拍手が送られます。


ファウルをせずに相手からボールを奪う。

相手との " 球際真剣勝負 "  に勝つ。


ここにドイツ・フットボール界の美学があります。


Zweikampf

直訳したら 

2人の闘い

Zweikampf に勝てる選手が賞賛される。

ブンデスリーガでは、Zweikampf の勝率のデータも出るくらい、球際の闘いはフォーカスされます。

これが、ドイツです。


それは、ブンデスリーガ―、プロ選手たちだけではなく、育成年代の子どもたちでも、アマチュアの社会人、シニア年代のサッカーでも同様です。

どんな場所、どんなカテゴリー、どんなレベルのサッカーでも、相手との球際に勝ち、ボールを奪った瞬間に拍手が送られ、賞賛されます。

これは、ドイツでは自然で当たり前のディフェンスです。

そのようなドイツのフットボール文化ですから、育成年代では、子供たちにボールを奪いに行くディフェンスを求められます。



次に日本です。

私は、日本ではディフェンスの手段においては、コーチの意見が分かれていると思っています。

私がドイツから帰国してすぐの頃、湘南ベルマーレの育成部門の事務所で、まわりのスタッフとディフェンスのディスカッションになりました。

私は、ボールを奪いに行くディフェンスを主張。

しかし、あるコーチから言われた一言は、



ここから先は

2,572字 / 4画像

¥ 250

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?