噂のオンライン飲み会をやってみたお話
「流行りに乗ってみよーぜ」
休日の昼過ぎにLINEが届いた。相手は地元の友達。高校時代から続く縁で、年に一回二回連絡を取るような仲のひとりだ。
どうやらLINEのグループ通話を利用すると、カメラで顔を見せながら話ができると知ったらしい。巷で流行しているオンライン飲み会というやつだ。
唐突な連絡だったが、いい機会だと思った。
何年も前に地元に帰って飲んだとき以来、顔を合わせていない。結婚したとか子供が生まれたとか猫を飼ったとか連絡が来るので、元気なのは知っている。今どうしているか……対面で話を聞くのも悪くない。
新しいことに触れるのも大切なこと。心の若さを保つための秘訣だ。
ほかにも仲のよい二人に連絡してみると快諾。なんなら今晩でもいいよという話になり、夜7時から開始が決まった。
面白そうなことにノリがいいのは高校時代から変わっていない。
自分のスマホではグループ通話ができなかったので、パソコンにLINEのアプリをダウンロード。
パソコンでLINEが出来ることを知れたのは飲み会のおかげ。スマホよりも返信が早く打てるので便利だ。
準備を整えて時間通りに飲み会開始。画面に変わらない顔ぶれが映る。誰一人、歳を取っていないように感じた。
「じゃあかんぱ~い!」
各々カメラにグラスや缶を近づけて飲む姿に、地元で飲んでいたときの雰囲気を思い出してきた。
話は尽きなかった。近況を話し合ってみたり、高校時代の話が出たり、LINE通話の機能で遊んでみたり、歳を取ると疲れていても睡眠が浅かったりするなど。真面目な話が半分、しょーもないやりとりが半分。
久しぶりによくしゃべって、よく笑った。めちゃめちゃ笑った。
オンライン飲み会はとてもいい。飛行機に乗って地元に帰らなくても、簡単に会える。自宅だから気楽にいられるし、帰宅もゼロ秒。もちろん友達同士という気兼ねのなさもある。職場のつき合いなら空気は全然変わるだろう。
難点はクロストークになると音声が聞き取りにくかったり、回線の不安定で会話や画像に遅れが発生すること。こればかりは仕方がない。途中でコツが分かってきたので、間を空けて返したり、意識して聴き手に回る。
ひとりが寝落ちしそうなのを頃合いに飲み会はお開き。あっという間の3時間だった。飲み会の費用は300円もかかっていない。自分は家にあるコーラとスナック菓子を食べ飲みしていたから。
開催連絡が当日じゃなければ飲み物を用意したんだけどね。酔わなくても楽しかったから問題ない。
「年内にまたやるかんな~絶対にぃ! じゃあな~」
一番の酔っ払いが締めの挨拶をして通話終了。今度はもうちょっと飲み会っぽい食べ物を準備しておこう。
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